ヨセミテへの旅

2017/08/21-29

ヨセミテ。その名前は、世界最大の花崗岩の一枚岩であるエル・キャピタンや特徴的な形状のハーフドームの存在によって広く知られています。そしてもちろんクライマーにとっては、フリー及びエイドクライミングの聖地というべき場所でもあります。

昨年まで7年連続して夏はヨーロッパの山に登りに行っていた私にとっても、このヨセミテは一度は行ってみたい場所として常に意識の片隅にありました。しかし、クライマーとしてのアイデンティティーもアビリティも薄弱で山屋志向が強い自分の中では、ガイドの町でありアルパインクライミングの道場でもあるシャモニーにより惹かれるものを感じ続けていたために、これまでヨセミテは後回しになっていました。しかし、昨年のシャモニー行でミディ南壁を登った時点で自分の中に一区切り感が生まれたのと、仮に一歩進めてたとえばグラン・カピュサンを登るにしても花崗岩のフリークライミング能力を上げなければ太刀打ちできないという限界の自覚が生まれたことが、今年の夏は新大陸の国立公園で過ごすことを選ばせたのでした。

近代アルピニズムの発祥の地であり、ヒマラヤ黎明期に名を馳せたフランス人登山家たちの道場であり、今でも歴史あるガイド組合と世界最強のガイド学校(ENSA)とを擁するシャモニーと、フリークライミング(とりわけビッグウォールクライミング)の聖地であり、カウンターカルチャーの匂いもするヨセミテとでは違いがあり過ぎると思われるかも知れません。しかし実は、1970年代にビッグウォールで磨いた登攀技術を携えてヨセミテからヨーロッパに渡ったクライマーたちによるフリー化の波がシャモニーにも及んでおり、その代表的なルートとしてロイヤル・ロビンス Royal Robbins のプティ・ドリュ西壁「アメリカンダイレクト American Direct 」が存在することを思えば、両者の間には意外に深いつながりがあるのかも知れません。

今回のクライミングトリップは、ここ数年お世話になっている保科雅則ガイドのツアーに参加してのものです。ご自身も若い頃に自分のクライミングのためにヨセミテで多くの時間を過ごし、今はガイドとして毎年この地にゲストを案内している保科ガイドの引率で過ごした一週間は、緩やかな時の流れ方の中で様々な表情を持つ自然の造形と向き合う日々で、キャンプ生活も含め、心静まる穏やかなものでした。

なお、このレポートの中のルート解説には部分的に『Yosemite Valley Free Climbs』の記述を引用しています。ヨセミテ渓谷のトポ集は他にも何種類かあり、本書のようなルート解説のさらに詳細なものもあれば簡易なものも、さらにはボルダリング専用やビッグウォール専用のトポ集もありますが、今回の旅の目的に照らして内容と値段のバランスがとれたトポ集は、この一冊になるのではないかと思います。

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日程 場所 行程
2017/08/21 成田国際空港 成田国際空港からロサンゼルス経由フレズノへ。さらに車でヨセミテ渓谷へ。
22 ヨセミテ国立公園 チャーチ・ボウル
23 スワン・スラブ / サニーサイド・ベンチ
24 エル・キャピタン・ベース / グレイシャー・ポイント
25 チャーチ・ボウル / マニュア・パイル・バットレス
26 トゥオルミ・メドウズのダフ・ドーム南壁
27 パット・アンド・ジャック・ピナクル / フレズノへ。
28-29 成田国際空港 フレズノからサンフランシスコ経由成田国際空港へ。

今回登った岩場の多くはヨセミテ渓谷の中にありますが、8月26日のトゥオルミ・メドウズはヨセミテ渓谷から遠く離れたヨセミテ国立公園の中心〜東寄りにあり、また8月27日のパット・アンド・ジャック・ピナクルはヨセミテ渓谷を出てマーセド川沿いに少し下ったところにあります。

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