塾長の渡航記録

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私=juqchoの海外旅行の記録集。遺跡の旅と山の旅、それに諸々の物見遊山。

エベレストBC滞在 (1)

2018/04/24

エベレストBCでの実質初日は、ひたすらのんびりする一日。

輝く朝日を浴びながらゆっくり目の起床となりました。SpO2もおおむね良好であった模様です。

緑の屋根はキッチンテント、向こうのオレンジと白のドームはダイニングテント、そして奥のタルチョの下には星条旗。氷河が運ぶ岩屑からなる起伏に富んだ地形を上手に活かして各種テントが機能的に並んでおり、高く聳えるプモ・リが巧まずして借景となるのも憎い演出です。と言っても実は、昨日急いで設営したテントであるだけに、本当の意味でこのAG隊BCがきちんと整備されるためにはまだまだ時間が必要で、しかも下地がこのような状態ですから、エベレスト隊の滞在中には随時補修や移設を要するのだそうです。

働き者のヤクたちと、氷河の水でせっせと洗濯をするトコちゃん。沙織さんも洗い物に余念がありませんでしたが、上流にたくさんのテントが立っていることを考えると、衛生面ではかなり問題がありそうです。

ところでトイレはどうなっているのかというと、ロブチェBCでは地面に穴を開けてその上にテントをかぶせ、穴がいっぱいにならない限りはそのまま使い続けて最後に埋めるという手順でしたが、ここでは排泄物を残置することが禁止されており、便器の下にビニール袋を設置してその中に出たものをとどめ、こまめに取り出しては容器に詰めてポーターの力で下界へ下ろすという仕組みです。ただ、尿までそれをしていたのでは運ぶ重量・容量が尋常ではなくなるため、小用に限り自然に還してもよいという扱いなのだそう。

こちらはトイレではなくシャワーです。キッチンテントの中で沸かしてくれたお湯を入れた袋を頭上にぶら下げ、袋の下部についているシャワーヘッドからお湯を出して浴びる仕組みで、足元にも足踏み式でお湯を出すバッグが用意されていましたが、ここは必要最小限のお湯の消費にとどめたいところです。そのためには事前に作戦をしっかり練ることが肝要で、私の場合は重点戦略目標を頭髪とお尻に決め、まずさっと全身にお湯を浴びてシャワールーム内を温めてから、おもむろに石鹸を重点対象に対して使い、ついで金だらいにお湯をため(テント内が温まっているのでお湯をためる間も寒くないのがミソ)て、効率よく石鹸を洗い流すという手順としました。

この日の昼食時には食欲はすっかり元に戻りました。よしよし。

午後はアイスフォールの入り口あたりまで氷河ツアーに行くことになっていたのですが、14時すぎにまったく唐突に雪が降り始めてしまい、残念ながらツアーは中止になりました。

懸念した通りゴラクシェプで買い求めたEverest LinkのWi-Fiカードはここでは使えないことが判明したため、プラチリの息子のジミーに案内してもらってWi-Fiカードを買いに行きました。売っていたのは専門の売店ではなく、ネパールのツアー催行会社Himalayan Ascentのテントの中でした。値段はやはり標高に比例した高さで、100MB-700ルピー、500MB-3,000ルピー、1GB-5,000ルピーです。

長い午後をすることもなくぼーっとしているのもつまらないので、ダイニングテントの裏に接続するバラサーブ専用の広いテントに遊びに行き、他のメンバーと共に酒盛りとなりました。バラサーブが持ち出したのはこちらではポピュラーらしい「Khukri」という名前のラム酒。さらに芋焼酎も登場して満ち足りた飲み会になりましたが、さすがに標高5350mで泥酔するほど飲むメンバーはいません(このテントは後日、タムさんをチーママとする「タム子の部屋」となっていったそうです)。

もうここより高いところに登ることはないと思うと、大変心穏やか。しかしエベレスト隊の皆さんは、我々がこのBCを去った後にここからほぼ富士山一つ分を登らなければなりません。