塾長の渡航記録

塾長の渡航記録

私=juqchoの海外旅行の記録集。遺跡の旅と山の旅、それに諸々の物見遊山。

ブレヴァン「Crakoukass」〔敗退〕

2016/06/25

モン・ブランはまたしてもお預けとなりましたが、さしてめげることもなく、今日もブレヴァン周辺の岩場に向かうことにしました。夜半から夜明けにかけては雨が降り、地面はしっとり濡れていましたが、朝食をとる頃には雲がとれて青空が顔を出しました。

ブレヴァンの右下の岩場では昨年「La Somone」を登っていますが、今回はそのさらに右手にある「Crakoukass」に狙いをつけました。5ピッチ目が6bまたはA0というピリ辛ルートで、これはいかにもセキネくん向き(のはず)です。

しかしプランプラから見上げるブレヴァンの岩場は頭を雲に覆われており、何やら剣呑な雰囲気を漂わせています。

ロープウェイの車窓からは目指す「Crakoukass」の全容が見えました。ブレヴァンからプランプラへ下る雪に埋もれた道のすぐ上が取付で、そこから易しい4ピッチの後に顕著な尖塔Clocher du Bréventへ登るピッチが核心部。その後、いったん懸垂下降して斜面を歩いてから奥に見えている右のジャンダルムを2ピッチで登り、左手へクライムダウンの後に左のジャンダルム1ピッチで終了です。

昨日と同じく厚い雪に覆われた道を下りましたが、前日の経験を活かして今日は登山靴を履いているため、急な下降もまったく不安がありません。ブレヴァン・クラッグスからシャモニー側に下り、プランプラへ向かってしばらく歩くともうそこが取付でした。

しかし、この頃になるとシャモニーの谷は底面を黒く濁らせた雲に蓋をされるようになってしまいました。これでは完登するまで天気はもたないだろうなと思いながら、それでもせっかく来たのだからと登攀の準備を進めました。

出だしはセキネくんのリード。私の本能は目の前に見えているカンテの左面の弱点を登れと告げていたのですが、セキネくんは右のフェースに打たれたボルトを辿って「意外に難しいな……」と呻吟しながら登っていきました。ところが、セキネくんがここを抜けてその先の支点にセルフビレイをとる頃には雨がぱらつき始めました。これはダメだ、撤収しよう。

セキネくんには懸垂下降で戻ってもらって、手早くロープとギアをリュックサックにしまったら、はっきり雨模様となった雪道をプランプラに下りました。

かつて面白い見ものを見せてもらったパラパントの離陸ポイントも今日は人影皆無。そぼ降る雨に打たれながらゴンドラ駅に到着しました。

下界に降りてみると、ランナーたちが盛んな声援を浴びながら市内を激走していました。後でわかったことですが、これはモン・ブランマラソン2016で、80km、42km、23km、10km、バーティカル(昨日の下りのゴンドラから見たものがそれらしい)、ミニクロスといった各種競技が23日から26日まで実施されていたのでした。

このままホテルに帰るのもつまらないので、スネルスポーツを覗いてみることにしました。ここでセキネくんは、3月の南沢大滝で成仏してしまった厳冬期用登山靴の後継としてスポルティバのネパールEVOをお買い上げ。さすがプロだけあって、商品選択の手際の良さは勉強になりました。その後ホテルでしばらく寛いだ後、セキネくんは私の勧めにしたがって山岳博物館見学など市内名所を遊覧し、私の方は部屋にこもって持参したMac上に会社の仮想デスクトップを呼び出しひたすら仕事です。

夕食は少し早い時刻に、シャモニーにホームステイしていたことがあるというセキネくんの知人が勧めてくれたリストランテ「Casa Valerio」に繰り出しました。

正直に言って味は「こんなものかな?」という感じだったのですが、メニュー片手にレコメンドしてくれるお姉さんがとても美人&セクシー。おかげでワインが進むと共に、セキネくんの知人がこの店を推奨した理由がなんとなくわかったような気がしました。

セキネ語録

25日 シャモニー 停滞

雨予報だったものの、曇り空の下天気がもってくれる事を期待して昨日と同じくブレヴァンの岩場にあるCrakoukassというマルチルートに取り付きました。1ピッチ目、登り始めたと同時に雨。どんどん強くなり、1ピッチ目終了点からすぐさま懸垂で撤退しました。

折角のオフになったので山岳博物館やスポーツ用品店などで有意義な時間を過ごしました。

この日、我が山梨県富士吉田市とシャモニーが姉妹都市である事を知り衝撃を受けました。なんと富士吉田公園なるものまで存在(しかも山岳博物館のすぐ上!)。勝手に運命的なものを感じております。

明日も雨予報、、、

▲この日の行程。