塾長の渡航記録

塾長の渡航記録

私=juqchoの海外旅行の記録集。遺跡の旅と山の旅、それに諸々の物見遊山。

帰国

2015/08/14-15

旅の最終日は雨模様の曇り空。ゆっくり起きて、最終パッキングを済ませてチェックアウトしたら、荷物をホテルに預けて昼食に出ました。

長らくお世話になったホテル「La Croix Blanche」よ、どうもありがとう。

足を向けた先は日本料理店「さつき」です。ただし開店は正午からとのことなので、予約をしておいていったん土産物屋を見て回り、その後に再び「さつき」を訪問しました。

現場監督氏は魚のフリッター、私はとんかつ。率直に言ってお値段は極めて高いのですが、これは致し方ありません。それでもとんかつは肉厚でいて適度な柔らかさがあり、ご飯も日本で食べるのと変わらないおいしさでしたから、私としては大いに満足しました。なお、同じタイミングで日本人のツアーの団体が「さつき」に入っていましたが、あちらはご飯お代わり自由であることに現場監督氏は相当羨ましいものを感じていたようです(笑)。

食事をしている間に稲光、次いで雷鳴が轟き、あっという間に強い雨が降り始めました。これではもう町の中を散策するどころではありません。よって「おいしかった」の感想と共に支払いを済ませたら、後はホテルのソファに身を沈めてぼーっと時間を過ごしました。

15時前にAlpyBusがやってきて、我々と我々の荷物を積み込んでくれました。さらにいくつかの宿を巡って恐ろしく細く入り組んだ路地を走り回ったバスは、雨足の強くなった高速道路を一路、ジュネーヴに向かいました。

参考情報

グレード

この記録の中でもところどころ引用していますが、『Mountaineering in the Mont Blanc Range』に基づく各ルートのグレードは次のように定義されています。

SERIOUSNESS GRADE

I: short route, accessible, easy descent.
II: longer or slightly more technical, descent that may require some care, little objective danger.
III: long, sometimes remote, tricky descent, possible objective dangers.

TECHNICAL GRADE

F (facile): no technical difficalty.
PD (peu difficile): requires competence in use of crampons, ice axe and belaying of the leader or second.
AD (assez difficile): route with steep sections (45-50°).
D (difficile): sustained high-angle slope technique and a good knowledge of belaying.

実はそれぞれの上にさらに「IV-VII」とか「1-7」とかがあるのですが、私たちが登るルートのレベルではそういうのは出てこないので、だいたい上記のグレーディングを参考にして準備をすることになります。

しかし、それは雪のコンディションによって変わってきます。まったくの岩稜・岩壁ルートであったとしてもアプローチのシュルントが核心部になることもあり得ますし、ミックスルートなら当然、雪が安定しているか、硬く凍っているか、それともなくなっているかでルートの性格ががらりと変わります。

今回は、各ルートに取り付く前に現場監督氏が「山の家」の中にあるシャモニー・ガイド組合でルートコンディションを確認してくれたのですが、どこもかしこも雪がなくて状態が良くないとのことでした。例年にも増して猛暑であること(ベルナデットさん談)、そして既に8月に入っていることから雪が溶けてしまったようなのですが、雪のコンディションを優先すれば6月から7月が良く、しかし安定した気候を期待するなら8月がベターという二律背反に苛まれ、やはりヨーロッパの山登りは我々極東に住む者にとっては難しいと再認識した次第です。

ワラ!

シャモニーはフランスですから、当然フランス語をたくさん聞くことになります。日常的には「Merci」や「Bonjour」をよく聞き、もちろん我々も頻繁に使ったのですが、岩場でしきりに耳にしたのが「ワラ!」でした。最初は「?」と思っていたのですが、利用シーンを注意深く見てみると、ガイドがゲストに、あるいは先生が生徒に、何か指示をした後に指示された方がその通りにできたときに指示をした方が指示された方に対して「ワラ!」と言っているようですから、ニュアンスとしては「そうそう」「よくできた」みたいな感じだと見当がつきました。

この「ワラ」は綴りでは"Voilà"で、正確には「ヴォアラ」と発音するようですが、我々の耳には「ワラ!」としか聞こえません。下の説明で言うと3:00くらいのところの説明が、上記の使い方に近いようです。

しかし、我々の場合は誰も「ワラ!」と褒めてはくれませんし、どちらかと言うとお互いに「ビビらず行け!」(ビレイヤーからリードへ)、「へこたれるな!」(氷河上で先行から後行へ)と叱咤激励し合っていたような気がします。