バンコク

2001/01/01

バンコクのユウコさんの自宅に帰り着いたのは12月31日の22時頃。日本とタイには2時間の時差があるので、日本ではちょうど新年を迎えたところです。

帰宅後一段落してから、ユウコさんと共に、2001年のカウントダウンを行うであろうワールド・トレード・センターへタクシーで向かいました。世界一の渋滞都市バンコクも正月は帰省する者が多いためいつもに比べて車が少ないのですが、交通規制がかかっていて思うように目的地に近づくことができません。それでも運転手が上手に裏道を行ってくれて、歩いても数分の地点まで近づいたところで残り10分。車を降りてワールド・トレード・センター方面に行ってみると、歩行者天国状態で群集(翌日の新聞記事ではMore than 10,000 people)が広い道幅いっぱいに詰まっており、伊勢丹前の仮設ステージ上では大音響で音楽を流しながら芸能人らしき人たちがカウントダウンの指揮をとっています。10秒前から秒読みに入り、群集が声を揃えて「シップ、カー、ペー、……ソーン、ヌン、スー!」となった途端、派手な打上げ花火が上がりました。町のど真ん中で打上げ花火とはやるなーと思いながらしばし花火を見上げていましたが、あまり長居はせずに帰宅することにして人並みを泳ぎつつスカイ・トレインの駅を目指すと、願いごとがよく叶うというエラワン廟の前には新年一番の願いごとを熱心に祈る人たちが花を捧げており、こちらも便乗して合掌しました。

1駅歩いてThanon駅からスカイ・トレインに乗り、2駅目のNanaで降りて帰宅。スクンビットからマンションまでの裏道に点在するクラブやディスコからも新年気分の景気のいい音楽が流れていて、町全体が浮かれた雰囲気です。そうした中でも、ファラン(西欧人)の中年男性とタイ人女性のカップル、母子の物乞い(そのうちの何割かは組織的な偽装母子)、満ち足りた風情の放し飼い(または野良)の犬、といったバンコク名物はやはり街角のそこここに健在でした。

明けて元日、今日は休養日。お手伝いのエトさんは年末から帰省しており、広い家の中にはユウコさんと私、そして毛がふさふさになってまるでモスラの幼虫のようになった白猫タイクー。相変わらずかつお節に目がなく、普段は見なれない私を警戒して容易に近づかせないくせに、こちらがかつお節の入った冷蔵庫の前に立つと好物をねだってテーブルの上に飛び乗ってきます。まったく現金なネコだ……。

夜になって、ユウコさんの運転する車で再びワールド・トレード・センターへ向かいました。その目的は7階の「MK」でタイスキを食べることです。店内は何組ものタイ人の家族連れで明るく賑やかでしたが、さほど待つこともなく席に案内されました。テーブルの上の鍋にはだし汁に薄切り大根が数枚浮かんでおり、山盛りの野菜や豆腐、春雨などの基本セットの上に、つみれやわんたん、肉、えびといった具をアラカルトでチョイスする仕組みで、タイ「スキ」とは言ってもどちらかというとちゃんこ鍋に近い感じ。タレはチリ系の茶色いドロッとしたもので、刻んだパクチーも入ったこのタレが顧客獲得のポイントになるらしく、その製法は各店の秘伝です。最初に野菜を片端から鍋に入れてしまい、具は後から順次入れていただくのですが、おいしいことはおいしいものの注文し過ぎてしまい、最後は必死の思いで雑炊(出汁が多過ぎてお粥になってしまいました)を食べて、2人合わせて595バーツ(1人800円くらい)でした。

その後は「ファミリーカラオケ BEE」なる店で、2時間カラオケを歌いまくりました。わざわざ「ファミリー」とうたってあるのは、タイでカラオケというと男性客の横に女の子がついて……という業態が一般的だからです。ここのカラオケルームには部屋ごとに日本の都市名がついており、我々の部屋はなぜか「高知」。高知市の人が入ったら怒るんじゃないかと思える狭い質素な部屋ですが、店員は愛想いいし日本語もなんとなく通じるしで、リモコンの表記がEnter=輸入、Reset=清除、First=挿播と中国風ではあってもバンコク在住の日本人にはなじみの店のようでした。