塾長の渡航記録

塾長の渡航記録

私=juqchoの海外旅行の記録集。遺跡の旅と山の旅、それに諸々の物見遊山。

再びモンテ・アルバン

2008/12/29 (1)

朝、早起きをして昨夜書いたメモをフロントのお姉さんに示し「タクシーを呼んで、これを運転手にスペイン語で説明してほしい」と頼みました。お姉さんは快く引き受けてくれてタクシー会社に電話していたようですが、OKとの返事です。よかったよかった。そうなればまずは腹ごしらえと、こじんまりしたパティオのレストランでフルーツにベーコンエッグを頼みました(←この順番に注目。日本ではフルーツはデザート感覚ですが、こちらではサラダ感覚なので最初に出てきます)が、出てきたフルーツは半端ではない量ですし、目玉焼きは卵2つ分、それに見合うベーコンとモレ、おまけにボーイさんが「アミーゴ!」とかワケのわからないことを言いながら注文していないトーストを篭いっぱいにして持ってくるしで、朝から満腹になってしまいました。

昨日と同じ道を今日はタクシーの後部座席に乗ってゆったりと登っていると、市街からモンテ・アルバンへの坂道はジョギングコースになっているらしく何人ものランナーがゆったりと走っている姿を見掛けました。なるほど、モンテ・アルバンの遺跡公園にお金を払って入場しなくても山の上からの眺めは文句なしですから、ひとしきり走って山上で休憩しながらオアハカ盆地を見下ろして帰りは緩やかな坂道をのんびり下るのはきっと楽しいに違いありません。

午前8時の開園時刻と同時にゲートを通って遺跡の中に進み、まず、昨日は登らなかった北の大基壇の上に立ってみました。うーん、これは素晴らしい!早朝で人影のない遺跡にまだ低い太陽が斜めに影を落としている様子を見下ろしていると、なんだか自分が古代にタイムスリップしたみたいな錯覚を覚えます。

北の大基壇上には小さな四角い広場を囲む建造物群があって、ここがモンテ・アルバンの最高所をなしています。

上の写真は広場の南側の建造物Eから見た北側(D)と東側(VG)の建造物、下の写真は同じく西側の建造物ですが、それら自体もさることながら、その向こうに広がっているオアハカ盆地と周囲の山々の眺めに感動しました。遺跡の旅の楽しみの一つは、はるか昔にそこに暮らしたであろう人々とこうして視線や感情を共有できることにあります。

北の大基壇上を南に進むと、右手(東)に沈んだ広場が出てきました。その中央には小さな神殿の跡があって、その構造にはテオティワカンの影響が見られるという注釈あり。

昨日大勢の観光客に混じって近くから見上げたシステマIVやシステマMも、下の写真のように朝の斜光の中に静かに佇んでいる姿を眺めると、厳粛な気持ちにさせられます。

そして、広場を縦断して突き当たりの幅40mの大きな階段を登れば、そこが昨日登り損ねた南の大基壇です。ここは幅112m、奥行き120m、そして高さ11mの巨大な構造物で、ここから北を向くと山上の聖地モンテ・アルバンの全景が目に飛び込んできました。そう、この光景がどうしても見たかったのです。

この頃には他の観光客も南の大基壇に登り始めており、中には単独の日本人旅行者もいましたが、階段の上に立つと皆一様に周囲の眺めに見惚れて言葉を失っていました。ここからもオアハカ盆地の広がりをはるか遠くまで見渡すことができて、最高の展望です。

このままいつまでもここに立ち尽くしていたいところですが、時間限定でタクシーを待たせている身ですからそういうわけにもいかず、南の大基壇の上をぐるりと一巡してから昨日も見た広場東側の建造物群を横目に広場を北上し、H形の球戯場を一瞥した上で出口に向かいました。

下の写真は球戯場の近くから広場を振り返った眺めで、昨日も同じ角度で同じように人気の少ない広場の写真を撮っていますが、昨日と今日とでは気分は雲泥の差です。考えてみると、昨日のペドロのガイドが不十分だったことでかえってこのように神秘的な遺跡の姿に接する機会を得ることができたわけで、まったく旅というのは何が幸いするかわからないものです。

最後にほんの少しだけ時間が残っていたので、遺跡の出口にある博物館に入って展示されているレリーフ等をひと通り見て回ってから、言いようのない幸福感に浸りつつタクシーの元へ戻りました。