塾長の渡航記録

塾長の渡航記録

私=juqchoの海外旅行の記録集。遺跡の旅と山の旅、それに諸々の物見遊山。

フィルスト〜シュヴァルツホルン〜グローセ・シャイデック

2013/07/21

ちょっと雲が多いものの今日もいい天気。アイガーに登るのは明日・明後日なので、この日は体力的に軽く、高度順化の効果も期待できる標高2928mのシュヴァルツホルンへのハイキングに向かうことにしました。ただしこのシュヴァルツホルンへのコースは、たぶんグリンデルワルト周辺のハイキングコースの中では最も「登山」のテイストに近く、どちらかというと篤志家向けと言えそうです。

フィルストに向かうゴンドラに乗って高度を上げると、背後のアイガーがどんどん高くなっていきます。

フィルストからグローセ・シャイデックに向かう穏やかなハイキング道。左上に見えているシュヴァルツホルンへは、この道の途中から左に入って行くことになります。

高山植物は今がまさに花盛り。メンリッヒェンからクライネ・シャイデックへの道も花の多いところですが、こちらも負けてはいません。

フィルストから歩くこと20分、途中の分岐標識からシュヴァルツホルンへ向かう道に入りました。奥に見えているシュヴァルツホルンは、その名のとおり黒い山体が特徴的です。ルートは、左手の尾根のキレット状のところからヴィアフェラータを経て登るものと、正面の雪渓を辿って右上へ巻き上るものとの2本ですが、今回は後者を採用しました。

雪渓から流れ出る清流。この辺りまでは平和な雰囲気です。

雪渓の上にも踏み跡があって、道に迷うという心配はありませんが、上に行くにつれて傾斜がきつくなってきます。ピッケルとまでは言いませんが、ストックくらいはあった方が良かったかもしれないと思いました。

振り返るとカールっぽい地形が広がり、その向こうにシュレックホルンとアイガー。天気はまだまだ大丈夫そうです。

相当に高度を上げたところで雪渓上のトラバースとなりました。この写真ではわかりませんが、右側はかなり下まで切れ落ちていてスリップすればただではすみそうになく、ちょっと緊張しました。

雪渓を渡りきってから岩の斜面を登り、やがて頂上へ続く岩々した尾根を辿るようになりました。この辺のギザギザした岩はガメラの甲羅を連想させます。

ここはクライムダウン。手掛かり足掛かりはしっかりしており鎖もつけられているので、こうした岩場に慣れていればさして難しくはありません。

まったくの岩山だというのに、意外に花が点在しているのに驚きます。何を好き好んでこんなところで咲くのか……。

ケルンの立つピークの向こう側に本当のピークがあり、そこまで足を延ばして登りの行程は終了です。上述の分岐からここまでちょうど2時間かかっており、傾斜もあって思ったよりも絞られましたが、ユングフラウヨッホでの高度順化が効いているのか息が上がることはありませんでした。

山頂自体には潤いはないものの、眺めは抜群です。

ファウルホルン方面に連なるこのダイナミックな地形!造山運動に伴う地層の褶曲と侵食が作り出した景観だと思われますが、その真髄は後日、シーニゲ・プラッテへの縦走の中でさらにはっきりと見ることになります。

グローセ・シャイデック方面の眺め。左からヴェッターホルン(3701m)、シュレックホルン(4078m)、アイガー(3970m)。奥の方に小さく尖って見えているのはおそらく、ベルナーオーバーラント最高峰のフィンスターアールホルン(4274m)。こうして屏風を横に並べたような山々の姿を見ると、氷食の力の凄まじさを実感させられます。

持参したパンとリンゴと水の昼食を終えて、登って来た道をそのまま下ります。

雪渓の向こう側にキレットが見えています。意外に多くの登山者があちらのルートを登っていましたが、ヘルメットをかぶっている人が少なくありませんでした。

ここまで下ればもう安全で、後は本当のハイキングを楽しむだけです。

清流と草原に癒されます。幸せだなぁ……。

ヴェッターホルンの足元の峠=グローセ・シャイデックへの道。

花。

牛……。

そしてグローセ・シャイデックへ下り着きました。

売店で買い求めた冷たいコカコーラで喉を潤して、15時頃のバスでグリンデルワルトへ下りました。そしてこの日も18時すぎにはもの凄い夕立になりました。

▲この日の行程。