塾長の渡航記録

塾長の渡航記録

私=juqchoの海外旅行の記録集。遺跡の旅と山の旅、それに諸々の物見遊山。

スフィンクス展望台 / クライネ・シャイデック〜アルピグレン

2013/07/20

一夜明ければ雲一つない快晴、アイガーの山頂部には朝日が当たって白銀に輝いています。ブラボー!……と喜ぶ気持よりも、もったいない!登攀当日までこの好天をとっておいて欲しい、と願う気持の方が勝っていました。

さすが豪華ホテル、ビュッフェ形式の朝食はやはり豪勢です。各種のパン、ハムや干し肉、シリアル、フルーツ、さらにお粥やご飯、スクランブルエッグにベーコン、温かいソーセージとマッシュルームのバター炒め、そして各種チーズ。野菜が少なく動物性たんぱく質が主体になるのは、ここスイスではいたし方のないところです。

ホテルの目の前のグリンデルワルト駅に赴いて、まずは6日間有効のグリンデルワルトパスを購入しました。本来CHF250ですがスイスカード所持者ならCHF185ですんで、これでグリンデルワルト近郊の列車やバス、ゴンドラは乗り放題。私のように1週間グリンデルワルトに定着してあちこち足を伸ばすタイプの旅行者には強い味方です。ただし、ドル箱(フラン箱?)路線のアイガーグレッチャー駅からユングフラウヨッホまでは半額ながら有料で、CHF58もします。そしてこの日は、グリンデルワルト滞在の事始めとしてそのユングフラウヨッホに上がり、高度順化をすることにしています。

クライネ・シャイデックから見上げたアイガーとメンヒ。いつ見ても立派です。

クライネ・シャイデックからユングフラウヨッホに上がる車内は、中華大陸系の皆さんで満席で座れません。すると、検札にきたお姉さんがユングフラウヨッホでの飲み物券をプレゼントしてくれました。ありがとう!そして列車は、アイガーヴァント駅とアイスメーア駅で止まって、展望窓からグリンデルワルトを見下ろせたり、氷の海を見下ろせたり。

しかし私は、アイスメーア駅の窓から左の方に遠く、ミッテルレギヒュッテが見えているのを見逃しませんでした。

1年ぶりのスフィンクス展望台。相変わらずの賑わいです。

昨年登ったメンヒ。立派。

同じく昨年登ったユングフラウ。華麗。

展望台から見たクライネ・シャイデックやアレッチ氷河の眺め。何もかも皆、懐かしい……。

……と感慨に浸るのもいいのですが、そのままそこで高度順化し続けるのはあまりに寒いので、展望台の中に入って先ほどもらった飲み物券でコーヒーを求め、温室のような展望台の建物内のベンチにすわってぼけっと過ごしました。この展望台の標高は標高3570mほどで富士山よりも低いのですが、列車で一気に上がったせいでやはりかなり息苦しいものを感じます。それだけに、この日ここで時間を過ごすことは後日の登山を楽にしてくれるはず。

展望台の中に1時間ほどいてから、下のプラトーに出てみました。雪の上ではさまざまな国の人たちが歓声を上げながら雪遊びに興じていましたが、あらかじめ富士山で高度順化しているはずの私よりもこの人たちの方が息苦しそうには見えないのは、なぜなのだろう?

高いのは標高だけではなく、料理のお値段もでした。ソーセージにデミグラスソースをかけフライドポテトを添えただけのディッシュとりんご1個で、CHF20.30(2,100円余り)。うーむ。

14時頃クライネ・シャイデックに下りてみると、山の上には雲が広がっていました。

このまま列車に乗って下界へ下るのももったいないので、アルピグレンまでのショートハイキングをすることにしました。この道は昨年も下っていますが、右手の北壁と正面のグローセ・シャイデックの眺めが雄大で私のお気に入りのコースです。

雲に隠れたり日に照らされたりとめまぐるしく表情を変えるアイガー北壁。

この道を歩けば必ず待ち構えている牛たち。

アルピグレンからWAB登山鉄道に乗ってグリンデルワルトに戻り、その足でgrindelwaldSPORTSへ……と思ったら、スポーツセンター周辺は大工事中でかなり様子が変わっています。「?」と思いながらぐるりと見回すと、モンベル方向にある一番手前の建物に「grindelwaldSPORTS」の看板がありました。半信半疑になりながらカフェっぽいその建物の1階に入ってみると、確かに奥のカウンターは「grindelwaldSPORTS」。係のお姉さんに声を掛けて、あらかじめネットで予約していたアイガー山行のリコンファームをしました。お姉さんは私の名前を何度も確かめては予約システムを覗き込んで怪訝そうな顔をしていましたが、それもそのはず、ファーストネームとファミリーネームが逆に登録されていた模様です。私の名前はローマ字にすると下の名前の方が苗字よりも複雑ですし、スイス人を含む西欧人には発音しにくいらしく苗字の方で呼ばれることの方が多いのです。幸い予約フォームをPDFにして自分あてにメールしてあったので、これをiPhoneでお姉さんに見せて事情が判明し、無事に7月22-23日のアイガー登山のリコンファーム完了。「天気予報はどう?」「ここしばらくvery goodですよ」。そして気になる今回のガイドは、昨年と同じフリッツでした。

COOPで買い物をしてホテルの自室に戻りささやかなディナーとしていると、窓の外では雷鳴が轟き渡り、やがて車軸を流すような豪雨が降ってきました。これは凄い。東京のゲリラ豪雨を数倍パワフルにしたようなこの雨に、この時間帯にハイキング中だった人たちはひどい目に遭っていることでしょう。

朝から昼までは快晴、やがて積乱雲がもくもくと湧いて、夕方(18時すぎ)には豪雨というこの気象パターンは、このあと数日続くことになります。

▲この日の行程。