塾長の渡航記録

塾長の渡航記録

私=juqchoの海外旅行の記録集。遺跡の旅と山の旅、それに諸々の物見遊山。

アイガーグレッチャー〜アルピグレン / フィンクシュテック

2011/07/18

今朝のアイガー。ガスがかかっていますが、青い空が見えるのはやはりうれしいものです。この日は昨日とは反対のフィルストの方に登ってみようと思っていたのですが……。

そちら方面は思い切り曇り。

それならと晴れている方に向かうことにしました。午後にはgrindelwaldSPORTSに行かなければならないので、短めのコースである北壁直下のトレイルを歩くつもりです。

グリンデルワルト駅のホームの右側にいるのはインターラーケン・オストとの間を結ぶBOB登山鉄道で、左側に入線しようとしているのがクライネ・シャイデックへ向かうWAB登山鉄道です。そしてホームには、もの凄い数の日本人がいました。

車窓から見上げるアイガー北壁。高さがあって雄大です。

ガスが出てきてしまいましたが、光線の具合が神々しい感じ。

上方に雪の高峰も現れました。右の方がメンヒ?

クライネ・シャイデックの駅から、さらに上へと伸びているJB登山鉄道に乗り換えます。

列車の中から振り返ったクライネ・シャイデック駅。ここが鞍部になっていることがわかります。

1駅で着くアイガーグレッチャー駅までは、ユングフラウ・パスがあればただで登ることができます。右手に見えているのは駅名の由来であるアイガー氷河の末端で、そのずっと上にはメンヒが聳えているはずなのですが、ガスでまるで見えません。

これから向かうのは進行方向とは反対側、線路を渡ったところから始まる道です。

前傾壁!これがアイガー北壁の正体?もちろん、そんなわけはありません。ここから道は北壁の下を横断しつつ緩やかに下っていきます。

ひたすらガスの中の道。ところどころの花が慰めにはなりますが、北壁登攀ラインを示す看板には寂寥感が漂っています。本当はここから実物の登攀ラインが眺められるのでしょうけれど……。

おっ、少し晴れてきました。天気そのものが悪いというわけではなくアイガーがガスに取り巻かれている状態なので、高度が下がってくると見通しがきき始めるようです。

気持ちの良い水平道。前方の遠くに見えているのはヴェッターホルンの岩壁、その下の鞍部はグローセ・シャイデックです。

北壁も姿を現し、ここでしばらくみとれていたら、反対側から登ってきたハイカーに「クライマーが見えるのか?」と声を掛けられました。あいにくクライマーの姿は視界に入りませんでしたが、なるほどここを登りたくなる気持ちもわかります。写真ではわかりませんが、北壁の途中に窓を開けているアイガーヴァント駅も見えていました。

さらに高度を下げるとこんな滝もあり、かっこうの撮影ポイントになっていて各国のハイカーがここで記念撮影をしていました。そして滝から落ちた水は岩盤を穿ち狭く深いゴルジュを作っていて、この中に落ちたらまず助からないでしょう。もちろん、しっかりした橋がかけられていてハイカーは安全に渡れます。

やがてアルピグレン駅に到着しました。ここからさらに下界まで歩いて下ることもできますが、ここまででも2時間以上かかっているのでもう満足です。登山鉄道に乗ってグリンデルワルトに下り、COOPで買い物をしてホテルの自室で昼食をとってくつろぎました。

午後の町へ出てみると、相変わらず雲は多いものの青空も見えています。おっ、これは思ったほど天気が悪くならないんじゃないか?と期待しながらgrindelwaldSPORTSへ出向きました。しかし、昨日の打合せの結果では明日(火曜日)から明後日にかけてツェルマットのモンテ・ローザを登るプランを思い描いていたのですが、受付のお姉さんが言うには「火曜日に雨が降る予報だから、登山は木・金に延期した方がいい」とのこと。やれやれ……。試みに「金曜日にユングフラウだけ登るというのは?」と聞いてみましたが、この山群では雪が降ったらその後に丸2日間の晴天で雪が締まらないとガイドは出ないのだそうです。仕方ない、木・金の登山の可能性に望みを託し水曜日の午後に改めてここへ来ることにしてgrindelwaldSPORTSを出ましたが、そのままホテルへ戻るのもつまらないのでグリンデルワルトの奥の方を散歩することにしました。

スポーツ用品店が軒を並べる通りの向こうにはシュレックホルンの岩壁が聳えており、こうして下から眺めてみてもその迫り方は圧倒的。いわば普通の町のすぐ横に穂高の屏風岩をさらに大きくしたものがどんと置いてある感じです。

そこで、そのシュレックホルンの中腹まで伸びているロープウェイに乗ってみることにしました。ゴンドラに同乗したのは、もろにイスラムな大家族の皆さん、中国系の一家、西欧一家と異様にインターナショナルです。

ロープウェイのゴンドラからグリンデルワルトの町を眺めてみると、ツェルマットが深く狭いU字谷の底に密集するように作られた町であるのに対して、グリンデルワルト周辺は穏やかに開けた谷の斜面に建物が点在している感じで、建物と建物の間には草地がぜいたくに広がっており、とても開放的な印象です。

フィンクシュテック展望台に到着。風に吹かれながらテラスで寛ぐのもよさげ。

こちらはグローセ・シャイデック方面の眺め。ヴェッターホルンの岩壁の下に、ジグザクに登るバス道も見えています。

しばらく広闊な展望を楽しんでから、歩きやすい坂道を歩いて下ってみました。ところが下に着くころには雨がぽつぽつと降り出し、傘を持っていなかった私は走ってホテルへ戻るハメに。

この日の夜の天気予報では、明日の昼にはスイスの大半は雨雲の下でした。あらかじめ知らされていたこととはいえがっかりです。

▲この日の行程。