芸理

UDOからはときどき海外のミュージシャンの来日情報がメールで送られてくるのですが、今日のUDOからのメールにはひっくり返りそうになりました。

『人間国宝』と呼ばれた孤高のギタリスト
【 ゲイリー・ムーア 】21年振りの来日公演決定!

人間国宝って、私の感覚だと能楽師ワキ方・宝生閑師とか、人形浄瑠璃・竹本住大夫師とかを思い浮かべるわけですが、Gary Mooreが人間国宝……。しかしこの惹句は理由のないものではなく、Wikipediaの解説によれば

ギターを泣かせることにおいて未だに最高峰の一人に上げられ、時代や流行に左右されない頑固一徹ぶりもあり、ジャーナリストの伊藤政則からは“人間国宝”と形容されている

んだそうです。

さて、Gary Mooreというと人によってはジャズロックのColosseum IIを思い浮かべるでしょうし、ハードロックバンドThin Lizzyを連想する人もいれば、ギターバラードの名曲「Parisenne Walkways」やブルースに傾倒した頃の作品に親しんだ人もいるでしょう。で、私が持っているCDの中でGary Mooreが参加しているのは、次の2作品。

まずは『King Biscuit Flower Hour: Greg Lake In Concert』。Emerson, Lake & Palmer解散後のGreg LakeがGary Mooreと組んで制作したソロアルバムのプロモーションツアーの様子を収録したものですが、まあ何と言うか、King CrimsonやEmerson, Lake & Palmerの名曲もこれだけあっけらかんと演奏されると深みもなにもあったものではありません。演奏自体は決して悪い出来ではないのですが、プログレと典型的なハードロック「Nuclear Attack」や上述の泣きのギターの「Parisenne Walkways」が同居するというのはやはり無理がありますよね。それに、Greg Lakeという人はあれだけ素晴らしいベースを弾けるのにベーシストとしてのアイデンティティが希薄で、このライブでももっぱらストラトを抱えつつ歌うことに専念しているのが私としては不満です。

そして、Rainbowに在籍していた頃のCozy Powellの初ソロアルバム『Over The Top』。これは発売当時にLPで買って気に入っていたものをCDで買い直したもので、お勧めできます。何と言っても参加ミュージシャンが豪華。ギターのGary Mooreに加えて、キーボードがDon Airey、ベースがなんと!あのJack Bruceです。オープニングの「Theme 1」はDon Aireyのきらびやかなシンセサイザー(YAMAHA CS-80)が印象的なミドルテンポの好曲ですが、圧巻なのは2曲目の「Killer」でしょう。Cozy Powellのツーバス・ハードシャッフルに乗ってGary Mooreの高速ギターが咆哮するさまは強烈で、この1曲だけのために本作を買ってもよいくらい。

で、それではGary Mooreのライブに行くのか?と問われれば、私は行きません(何のこっちゃ)。今の彼は、自分の居場所をブルースの世界に見出しているようですから。