旋律

『ベース・マガジン』の2015.9号の目玉は、先日亡くなったChris Squireの追悼特集。

「低音旋律学の物語」と題してChrisの事跡や機材、奏法を紹介すると共に、何人かの日本人ベーシストがChrisのベースの魅力について語っていますが、何と言っても注目は、1975年のLP三枚組ライブアルバム『Yessongs』のほぼ全曲解説です。

10ページにわたる解説の中で各曲ごとにキーになるベースフレーズを取り上げて譜面化し、そこからChrisのベースセンスを読み取るというこの記事は、どこを切り取っても読み応えがあり、ついベースを手にとって弾いてみたくなってしまいます。そして、攻撃的なベースリフのテクニカルさだけでなく、メロディの美しさ(Bravo! to 70’s)や弾きながら歌うChrisのコーラスの巧みさに対する目配りもできているところも、我が意を得たりという感じ。Yesファンなら、ベース弾きならずとも必読です。

さらに雑誌の後ろの方には、Rickenbacker4001をトレードマークとしたChrisへのリスペクトからか、「リッケンバッカーのすべて」というコーナーも。記事の中でも「じゃじゃ馬」などと表現されていますが、Rickenbackerベースは思い通りの音作りが難しいと言われることが少なくなく、おまけに見るからにヘッドヘヴィーな感じがして私は手にとったこともありませんが、私が敬愛するGeddy Leeは1970年代にRickenbackerユーザーだったことで有名で、当然彼の紹介もこの記事の中でなされていました。もっとも、やはり日本人のRickenbackerユーザーの対談で「リッケンバッカーに慣らされるとジャズ・ベースを鳴らせなくなる」という趣旨のことが書いてあるのに、Geddyの方は1990年代からFender JazzBassにスイッチしているというのが皮肉と言えば皮肉です。

スコアのコーナーは、もちろん『Fragile』から名曲「Roundabout」。過去に何度も紹介されたことがあるであろうこの曲も、やはりここぞというときはChrisの代表曲(ベースリフという観点から)となるのでしょう。そして「Roundabaout」と共にもう一つ掲載されていたスコアは、中村八大作曲の「笑点テーマ」……なぜだ?