太湖

2016年12月7日、Greg Lake逝去。癌との闘病の末の、69歳での昇天です。

Greg LakeはもちろんKing Crimsonの初代ヴォーカリスト兼ベーシストで、「21st Century Schizoid Man」での攻撃的なランニングベースも印象的でしたが、むしろ「Epitaph」や「In the Court of the Crimson King」、あるいは「In the Wake of Poseidon」での朗々と歌い上げるヴォーカルが素晴らしく、聞き惚れてしまう美声の持ち主でした。

その後King Crimsonを脱退してKeith Emerson及びCarl PalmerとEmerson, Lake & Palmerを結成してからの活躍は周知の通りです。初めはFender JazzBass、途中からGibson Ripperを駆使してのベースプレイは単にEmersonの左手を補う以上の存在感があって、彼の強靭なピッキングの妙技を聴かせる「Karn Evil 9 1st Impression Part 1」のベースは一所懸命コピーしたものです。また、彼はアコースティックギターの名手としても数々の名曲を作曲し、弾き語ってみせました。「Lucky Man」「Still…You Turn Me On」などはライブでも定番曲で、美しく弾力のあるアルペジオはやはり彼ならではのものでした。

上述の「Karn Evil 9」や組曲「Tarkus」の一部ではエレクトリックギターを弾くこともあり、そのためベースとギターのダブルネックを特注したこともあったのですが、「重すぎる」という理由であまり使われなかったとか。しかし、私がGregの使用楽器で最も興味をひかれたのは、実は8弦ベースでした。

大学生の頃にELPの『Works』に収録されている「Fanfare for the Common Man」や「Pirates」を聴いて、そのベースの音にかぶさるジャキジャキとした音の正体が分からずにずいぶん首をひねったのですが、「Fanfare for the Common Man」の中でずっとルートをシャッフルで弾いていたベースが一箇所だけ細かく駆け上がるところでジャキジャキ音もユニゾンで動いたことから、これはベース弦に何か仕掛けがあるに違いないと想像がつきました。

それがAlembicの8弦ベースの音であると知ったのは、しばらく後に実物の写真を見たときのことです(当時はYouTubeなどもなかったので、ライブの映像を見る機会は非常に限られていたのでした)。8弦ベースといえばJohn Paul Jonesが「Achilles Last Stand」で使用していることがよく知られていますが、Greg Lakeほどに8弦ベースを効果的に使用していたベーシストは当時ほかにいなかったでしょう。

残念ながらGreg Lakeを実際にこの目で見たのは一度きり、それもELPではなく、あのJohn Wettonの代役としてステージに立ったAsiaの一員としてのことでした。当時兵庫県に住んでいた私は、大阪でAsia In Asiaを観たのですが、Steinburgerをメインで使用していたGregが最後に8弦を弾いてくれたときは、歓喜したものです。

……時は流れ、ご多聞に漏れず彼も歳を重ねると共に体型が膨張してかつての紅顔の美青年の面影を失い、声もダミ声に近くなっていきましたが、それでも近年までステージに立ち続けていたようです。最後の来日は2013年、ソロとしてのものでしたが、今から思えば何をおいても参戦しておくべきでした。本当にソロ(バックバンドなし)だったようですが。

Greg Lakeよ、安らかに。