予報

「久しぶりにJacoのベースを聴いてみるか」と思って買ったのが『weather report – the jaco years』。名前の通り、Weather Reportの作品の中でJaco Pastoriusのベースがフィーチュアされた曲を集めたCDです。

1970年代後半の曲ではZawinulの弾く分厚いポリシンセやヴォコーダーが時代を感じさせて微笑ましい(?)のですが、「Punk Jazz」や「Havona」など数々の好曲の中でもやはり圧巻は全10曲中4曲を占めるライブ演奏でしょう。トレードマークのフレットレス・ジャズ・ベースのゆったりしたフレーズが美しい「A Remark You Made」、シンセとのユニゾンでの複雑怪奇なイントロから超高速リフになだれこみ、そのスピードに裏打ちドラムが破綻寸前に追い込まれるスリリングな「Teen Town」、デジタル・ディレイでループを作った上から自由にリードを重ねる画期的なソロを聴かせる「Slang」の3曲が、私も学生時代に愛聴したライブ・アルバム『8:30』から。ほかに、Jacoの奔放な高速フレーズが聴きどころの「Port Of Entry」もかっこよく、「やはりJacoは天才だ!」と感嘆してしまいます。

こうなると『8:30』収録の曲でここに収められなかった残りの曲も聴きたくなるのが人情。特に(Jacoの曲ではありませんが)ベーシストならたいてい知っている気持ちのいいベース・リフで始まる「Black Market」と、名曲の誉れ高い「Birdland」ははずせません。とりわけ後者は、曲自体の素晴らしさもさることながらイントロのハーモニクス・ソロが独創的。これは、12〜15フレットでの左手のフレージングに合わせて、右手の(恐らく)親指を弦の上、フレットとブリッジの間のちょうど2分の1のポイントに軽く触れさせながら弾くことでハーモニクスを出すというテクニックで、ある程度練習すれば音を作ることはできますが、きれいで十分な音量のハーモニクスを出すのはなかなか困難です。さらに、イントロのフレーズが2コーラス目に入ると1オクターブ上がっていますが、これは親指の位置を4分の1のポイントに移すことによって得られるものです。

そこまで言うなら『8:30』も買えばいいじゃないかという声が聞こえてきそうですが、昨年一気に揃えたクライミングギアのせいでカード地獄にはまりかけているのと、既に3曲も入っているCDを買った直後であるため、思いきりためらいを覚えています。残る2曲のために数千円の出費を断行すべきか否か悩んでいる私の背中を、どなたか「ドン!」と押していただけないでしょうか?