絶景

渋谷のシネクイントで、映画『クレイジー・フォー・マウンテン』を観ました。監督はジェニファー・ピードン、撮影は『メルー』でもおなじみのレナン・オズターク。

この映像を見ると血湧き肉躍る系かと勘違いしますが、原題は「Mountain」であって「Climbing」ではないことに留意。要するに既存の山岳映像をコラージュして音楽とナレーションを重ねたイメージムービーです。映像は間違いなく美しく、そこに展開される絶景には息を飲みましたが、どちらかと言えばクライマー向けではなくファミリー向け。もともとオーストラリア室内管弦楽団による演奏と映像とを組み合わせたコンサートツアーとして企画され、そこから派生した作品となったのがこの映画で、ナレーションも映画版にのみ新たに追加されたものだそうです。

このナレーションは、冒頭のイントロダクションで登山史を回顧した後、本編では音楽と映像を邪魔しないように控えめな態度で山を讃美していますが、二つの点では辛辣でした。すなわち、ネットとスポンサーが危険を加速させるエクストリームな活動に対しては「ギャンブル」、大量の登山者を山頂へ送り込むエベレストの商業登山に対しては「順番待ち」と。

なお、エベレスト街道を歩いた者には思わずにやりとさせられるショットも多く、お買い得感がありました(エベレストの行列登山の場面ではチェパにそっくりなシェルパの姿も)。ラストシーンを飾る優美な山は、私たちが何日もにわたって見上げ続けたアマダブラムの空撮映像です。