徹底

シャモニー旅行の旅の初日の飛行機の中で、『日本一稼ぐ弁護士の仕事術』(福永活也)読了。

今さらハウツー本?と思われるかもしれませんが、著者の福永活也氏は昨年のネパール旅行の際にご一緒したメンバーの一人で、その際にエベレスト登頂を成し遂げた人物。この本の帯に書かれた肩書きに「弁護士・実業家・冒険家」とあるようにどこかつかみどころのない人でしたが、その彼が本書を上梓するというので発売初日にAmazonで購入したという次第です。

著者は24歳までフリーターをしていたあと、一念発起し法科大学院に通って司法試験に合格。弁護士登録5年目に独立してから最初の二年間連続して年収5〜10億円レンジに入るという活躍ぶりを示し、その後上記の肩書きのように事業や趣味にも精力的に取り組み続けていて、「冒険」の方ではセブンサミット及び南極点に到達しているということですから尋常ではありません。

本書の内容は「日本一稼ぐ弁護士の『仕事』の考え方」「日本一稼ぐ弁護士の『仕事』のやり方」「日本一稼ぐ弁護士の『人生』の考え方・楽しみ方」の三章からなり、書名も含め「日本一稼ぐ弁護士の」を連呼するところが著者本人曰く「炎上必至」とのことですが、内容は至極まっとうなものです。たとえば第1章の「『仕事』の考え方」に散りばめられた見出しをいくつか拾ってみると「『ドリアンようかん』は好きですか?」(経験してみなければ好悪を判断できない)「人生はボウリングではない」(人生は10フレームとは決まっていないし1フレームの最高点も決まっていない)といった象徴的なタイトルもあれば、「不安の大半は自信や自尊心を喪失することへの心理的恐怖である」「挑戦前の無限・無数の不安は、挑戦後に具体的課題になる」など具体的なフレーズもありますが、いずれもこうして言語化されてみると「確かに」と思わされるものばかり。そして第2章は著者自身の実践編であり、第3章は適用範囲を仕事と趣味を包含する人生全体に拡張したもので、その中で著者は弁護士業にもはや軸足を置いていないことが語られます。

おそらく、著者のことを直接知らない人が本書を読んだら、ハウツー本の常道(?)としてどこかに誇張や省略が混じっているのではないか?と疑いたくなるほどのサクセスストーリーですが、短い期間ながら旅を共にした自分の目で見ると、ここに書かれていることには嘘が感じられません。エベレスト街道への道中、彼がしていたことは「キッチンテントに入るときはうがいをし、手を消毒する」「大量に食べて大量のカロリーを摂取する」「規定の水分量を確実にとり、排出する」という、いわば当たり前のことの、しかし「超」がつくくらいに徹底的な実践でした。エベレストに登頂するというその目的のために必要とされることは確実に履行し、自分の側に登れなかった理由を作らないそのストイックな姿勢を目にしているので、本書の内容に通底する次のキャッチコピーが真実であると実感できるわけです。

誰でもできることを、誰よりもやる。やってきたのは、これだけだ。

本書から何かを得ることができるかどうかはその人次第だと言うしかありませんが、彼のように「やるべきことを徹底してやる」ことができるかどうか、まずは本書を読み終えた上であらためて胸に手を当てて考えてみても遅くはないと思います。