張扇

芦原一郎『法務の技法』を読了。これも仕事絡みですが、若手の法務担当者に向けたハウツー本という色彩で、電車の行き帰りの中ですらすらと読み進められました。

もとは『ビジネス法務』誌に「法務の小技」として連載した12テーマに、新たに書き下ろしの70テーマを加えたものだそうですが、1テーマ3ページで各テーマごとに用語解説、事例、対応例、分析と順を追って解説しています。さらに章立ては、

  1. 分析力アップ
  2. 推進力アップ
  3. 説得力アップ
  4. 文章力アップ
  5. 防衛力アップ
  6. やる気アップ
  7. 法務の基本

の7章となっていますが、それほど厳格に分類されているわけでもなく、内容もごく常識的なことばかりなので、法務担当者に限らず誰でも読めるし、読んで役に立つ本だと言えるでしょう。

各章の合間には、「おまけ小説 法務の小枝ちゃん」も配されています。社内弁護士1年生の小枝が、女性管理職から同性の部下(小枝の親友)に対して行われたパワハラ事件に立ち向かう姿を通じて、上述のポイントをなぞる作りとなっており、「パワハラ」「女性活用」「内部告発」といった最近の労務管理上の特徴的なキーワードの上に小枝の際立ったキャラクターの面白みが重なって、これまた興味深い読み物になっていました。

書籍化にあたってテーマ数を一気に膨らませたために若干水増し感がないでもないのですが、「アームレングスルール」と「デュープロセス」の概念は私自身の知識の補強となりました。特に後者は、大学で学習した刑事訴訟手続の文脈での用語法とは異なり、今の仕事において常に意識する「経営判断原則」と密着した用語法であった点が新鮮でした。また「文章力アップ」の章に書かれている文章作成ノウハウは、部下たちにぜひ読ませたいと思わせる事柄ばかり。私が部下たちの提出するヘタな文章を読んで天を仰ぎながら実践している添削のポイントをきれいに整理してくれていて、我が意を得た思いでした。

よーし、来週からはこの本がハリセン代わりだ! ←それはパワハラです。