南沢小滝 / 南沢大滝

概要:初日は南沢小滝を登った後に行者小屋泊。翌日、南沢大滝を登ってから下山。

日程:2019/02/02-03

山頂:---

分類:八ヶ岳 / アルパイン

同行:ひろみさん

南沢小滝。よく氷結したこの滝を、5時間にわたり独占することができました。(2019/02/02撮影)
南沢大滝。他パーティーのドカ落ちに肝を冷やすひろみさん。(2019/02/03撮影)

昨年四月のネパール・ツアーでご一緒したメンバーの何人かとはその後も付き合いが続いているのですが、そのうちの一人・ひろみさんが目下アイスクライミングにはまっているという話を聞き、それなら八ヶ岳で易しめの滝を一緒に登ってみようということになりました。

2019/02/02

■05:30 美濃戸口 ■06:35-40 美濃戸 ■08:10-13:35 南沢小滝 ■15:05 行者小屋

毎日アルペン号で午前4時半に美濃戸口に到着し、八ヶ岳山荘に入らせてもらって朝食と身繕い(いつもありがとうございます)。

まだ暗いうちに歩き出しましたが、美濃戸に着いたときにはすでにすっかり明るくなっていました。そしてこの先から、久しぶりに南沢を歩いて南沢小滝を目指します。当初の計画ではこの日は南沢大滝と小滝を両方登り、翌日は峰ノ松目沢に向かうことにしていたのですが、二日前に降った雪が思ったよりも深いためにこれでは以前のようにラッセルになるだろうと考えて、今日は南沢小滝、明日は南沢大滝とすることにしました(が、ネット情報では峰ノ松目沢も十分登れる状態だった模様)。

久しぶりの南沢小滝に着いてみると我々は一番乗りで、氷の状態も中央から右にかけてよく乾いた氷がしっかり締まった状態です。まずは私がリードしてトップロープを設置し、ひろみさんと私とで交互にラインを変えながらひたすら上り下りを繰り返しました。ひろみさんが氷を登るところを見るのはこれが初めてですが、端的に言えばかなり上手。人工壁でのフリークライミングよりも遥かにリラックスして登っている感じです。

トップロープでただ登っているだけでは芸がないので、ひろみさんに私のスクリューを貸して氷にスクリューを入れる練習もしてみました。ひろみさんはガイドについてのセカンドやトップロープでのアイスクライミングは慣れているようですが、こうした作業系は経験がないらしく、なかなか新鮮な体験であるようです。そんな感じで小滝にへばりついてあれやこれやとやっていても、一向に他のパーティーがやってくる気配がありません。貸切なのはありがたいのですが、待ち時間もなく登り続けていてはこの日だけで腕が終わってしまうので、11時を回ったところで大休止をとり、南沢大滝を見物することにしました。

南沢大滝の方も立派に凍っており、これを初めて見るひろみさんはその大きさに驚きを隠そうとしませんでしたが、私の方は「どこが一番易しいラインかな……」と弱点探しに余念なし。といってもざっと見渡しただけで、左端の凹角が登りやすそうだと目星をつけることができました。それにしても、こちらも二パーティーしかいないというのはどういうことなのか。いつもならスダレが垂れたような状態になるところですが、ほぼ登り放題の状況です。

小滝の方に戻ってさらに練習を重ね、いい感じに充実したところでここを切り上げることにしました。

行者小屋までの道のりは長く、ザックの重みに少々へこたれそうになりましたが、やがて前方に横岳から赤岳、阿弥陀岳へと連なる八ヶ岳の岩峰群が姿を現せば気分が高揚します。この日は無風快晴の絶好のクライミング日和。赤岳鉱泉では「第9回アイスキャンディフェスティバル」が開催されていますが、この天気なら人工氷瀑よりも天然の岩雪稜に取り付く方が楽しそうです(実際、行者小屋のテン場に張られたテント群の中のひとつには山友の現場監督氏がいて、翌日パートナーを阿弥陀岳北稜へ案内した由)。

フェスティバルのために赤岳鉱泉は大賑わいだったはずですが、行者小屋の方も食事が二回戦になる盛況でした。赤岳鉱泉の「ステーキ」のようなキラーコンテンツはこちらにはありませんが、その代わりこちらの味噌汁の具沢山ぶりは鉱泉のそれを遥かに凌駕していました。食事前に手を出した日本酒とそのアテとしたじゃがりこのせいで少しお腹が満ちていたため、味噌汁をおかわりできなかったことが悔やまれます。

2019/02/03

■07:10 行者小屋 ■08:00-13:05 南沢大滝 ■13:55-14:05 美濃戸 ■14:45 美濃戸口

美味しい朝食をとって、おもむろに行者小屋を出発。この日は午後から天気が崩れるという予報になっているので、早く取り付いて早く登って早く下山しようという目論見です。

期待通り、南沢大滝には一番乗りすることができました。振り返れば早朝の斜光の中で北アルプスもはっきり見えています。

まずは前日にあたりをつけていた左端の凹角を辿って滝を登り、60メートルロープを二本つないでトップロープを設置しました。

凹角部は傾斜こそそれなりに立っているものの、しっかりした氷の中にアックスやアイゼンの跡がうまい具合に続いていて容易。それにしてもひろみさんの登りは淀みがなく、一切臆することなくすいすいと登ってゆくことに感心しました。二本目はトップロープの守備範囲の中でラインを変えようと右寄りに寄ってみたものの、つららの集合で状態が悪いことを嫌気した私が最初のラインに近いところへエスケープしたのに対し、ひろみさんはそうした氷の状態を意に介することなくがんがん登っていってしまいます。これはすごい。

徐々に他のパーティーが集まってきて、右寄りや真ん中にも取り付き始めました。そんな中、他パーティーのひとりがリード中に思い切りドカ落ちして派手な音をたて、その衝撃にひろみさんは肝を冷やしたようです。幸い落ちて仰向けになっていたクライマーはさしたるダメージを受けなかったようで、態勢を立て直すと再び登り出しそのまま上へ抜けていきました。そのガッツには敬意を表するものの、主だったラインに次々にトップロープが張られて窮屈になってきました。それに空には雲が広がりだし少し寒くなってきたこともあり、本数的には物足りないものの、早めに切り上げることにしました。

最後の一本は先に抜けた私が上から確保してひろみさんにも支点まで上がってもらい、残置支点にロープを掛け直して懸垂下降。先に降りた私が見上げる中、ひろみさんは華麗なラペリングを披露してくれました。

南沢大滝を後にして、これで二日間のメニューは終了。積もった雪のおかげで歩きやすい道を、美濃戸口に向かってどんどん下ります。

美濃戸口の「J&N」でひろみさんがひと風呂浴びている間に、私はまず一人でビールとハム。さらに風呂上がりのひろみさんとワインで乾杯しました。ひろみさん、二日間お疲れさまでした。いずれまたご一緒しましょう!