編笠山 / 西岳

概要:観音平から編笠山を越え、青年小屋から西岳を経て富士見高原へ下山。

日程:2018/08/05

山頂:編笠山2,524m / 西岳2,398m

分類:八ヶ岳

同行:---

編笠山から見た八ヶ岳主稜線上の山々。なかなか歩き通すことができません。(2018/08/05撮影)
西岳から見た権現岳、編笠山、そして南アルプスの山々。(2018/08/05撮影)

猛烈に暑い日々が続くこの夏。それなら沢登りに行くのが普通の発想ですが、夏休み=宿題という方程式が体に染み付いている自分は、できれば昨年敗退した全山縦走のリベンジをしようと夜行バスを予約しました。もっとも、この高い気温の中では消耗必至。どこまで行けるかわからないけれど、死なない程度にがんばってみるかと気軽な気持ちで臨んだのですが……。

2018/08/05

■04:30 観音平 ■06:45-07:00 編笠山 ■07:30 青年小屋 ■08:20-40 西岳 ■10:10 不動清水 ■10:30 富士見高原登山口 ■10:50 八峰苑

金曜日は名古屋出張だったため、今回の山旅は月曜日を休みとして土曜日の夜出発とし、日曜日の早朝4時に観音平に到着しました。夏とは言っても間もなく立秋を迎える時期だけに、この時刻ではまだ空は暗く、少し肌寒いくらいの気温です。

持参した朝食をとり、トイレを済ませてからヘッドランプを点けて出発。歩いているとみるみるうちに周囲が明るくなり、すぐにヘッドランプを消灯することになりました。

歩き始めて2時間余りで、編笠山の山頂に到着。振り返ると甲斐駒ヶ岳や北岳よりもこちらの方が高いところにいるような錯覚にとらわれます。そして行く手にはぼんやり霞む八ヶ岳主稜線上の山々。その最も近いところにあるのは、もちろん権現岳です。しかし、先ほどからシューズの内側がくるぶしのところに当たって強く痛み、どうにも足が進みません。実は、いつもならアプローチシューズで歩き通してしまうところですが、今回はふと思いついてエベレスト街道のトレッキングに使用した軽登山靴を履いてきていました。ところがうっかり、ソックスを軽登山靴用の中厚手のものではなくアプローチシューズ用の薄手のものにしてしまったために、そういうことになってしまったようです。不覚!

何度か靴紐を締め直したり靴のベロを引っ張ったりしてみたものの効果がなく、この状態での縦走は無理だな、と潔く諦めをつけました。そうなるとどこから下山するかという問題が生じるのですが、青年小屋を見下ろしながら地図を広げてみたところ、西岳を越えて下山するのが何かと都合が良さそうです。綺羅星のごとく名峰が並び立つ八ヶ岳の中にあって、主稜線から離れたところにある西岳は(たぶん)不遇な存在。もちろん私もその山頂に立ったことはありません。よーし、かわいそうな西岳のためにひと肌脱ぐか!と義侠心を奮い立たせて青年小屋に下りました。

西岳への道は源治新道といい、青年小屋のテント場を抜け「乙女の水」と名付けられた水場(小屋から徒歩4分)の前を通って、起伏の緩やかな尾根に乗ってまっすぐ西に向かうものです。

道はよく整備され、ところどころに赤テープもあって迷う心配はありません。途中で一人のトレイルランナーに抜かされた以外は誰にも会わず、やがて岩がちの眺めの良い山頂に到着しました。

山頂からは南アルプスが角度を変えて眺められ、また権現岳や編笠山を横から見るかたちになって面白い展望でしたが、そうは言ってもこれから下山するだけ(しかも時刻はまだ8時半頃)ではなんとも盛り上がりません。せめて花でも愛でていこうと、山頂のあちこちに咲いている花の写真を撮って回りました。

さて、もはやこれまで。一人寂しく下山しようと富士見高原方面に向けて下り始めたのですが、この頃から次々に登山者が登ってきていました。

マラソンランナーのトレーニングや普通の山登り、それぞれ10人以上とすれ違い、とても「不遇の山」という感じではなくなってきて、なんだか拍子抜け。これは……前人未到の沢だと意気込んで奥秩父の釜ノ沢に入ってみたものの上流で焚火の跡を見つけて落胆した田部重治と木暮理太郎の心境に近いものがあります(←マニアックな比喩)

下るにつれて傾斜が緩やかになり、痛む足でもさして困ることなく歩き続けることができましたが、途中でひときわ強烈なセミの声に遭遇し、声の主を探すことになりました。

いたいた、こいつが犯人でした。これは何ゼミ?

ほぼ下り着いたところにあるのが不動清水で、これは本を正せば修験道の遺跡とのこと。権現岳はその名の通り古くから山岳信仰の対象となってきた山で、その山頂直下には八雷神、岩長姫命を祭神する檜峰神社の祠が祀られ、この神社は7世紀に従五位下を授かったと記録されています。そしてその祭神、八雷神やついかつちのかみが八ヶ岳の名の由来(つまり八ヶ岳=権現岳)であるとする説もあるそうです。

あとは林道と登山道を交互に歩いて、富士見高原の登山口に到着。さらに車道を八峰苑まで歩き鉢巻リゾートバスに乗って小淵沢に出て、なんとも締まらないこの山行を締めくくりました。