塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

高見石〜天狗岳

日程:2018/02/24-25

概要:初日は渋の湯から高見石へ。翌日、中山を越えて天狗岳に登ってから、黒百合ヒュッテ経由渋の湯へ下山。

山頂:中山 2496m / 東天狗岳 2640m / 西天狗岳 2646m

同行:トモミさん / ジュンコさん

山行寸描

▲高見石から見た早朝の白駒池、そして左奥には浅間山。(2018/02/25撮影)
▲強風にさらされる中山展望台からの天狗岳。(2018/02/25撮影)

久しぶりのトモミさん・ジュンコさんとの「両手に花」山行。昨年は2月の蓼科山、そして5月の両神山でお二人とご一緒していますが、今回のコンセプトは「泊まりでの本格的な雪山」です。行き先として天狗岳をチョイスしたのはジュンコさんで、その前後に若干の縦走を組み合わせようとプランをすり合わせ、最終的に選択されたのは渋の湯〜高見石〜天狗岳〜渋の湯という周回ルートでした。

2018/02/24

△11:50 渋の湯 → △13:15 高見石小屋

新宿午前8時発のスーパーあずさで茅野駅に降り立ち、ここで3人集合。渋の湯行きのバスは比較的空いていて、リュックサックを座席に置いてもOKでした。

渋の湯の先で沢を渡る箇所にある堰堤が凍りついているのに驚きながら登山道に入りましたが、樹林帯を抜けて賽の河原のようなところに出ると、強く冷たい風の洗礼を受けるようになります。上空は時折青空が覗くものの、西から暗い雲が押し寄せては東へ飛び去っていく状態。半身を雪に埋もれさせたお地蔵様への挨拶もそこそこに先を急ぎました。

寒さに急かされたせいか、あるいはジュンコ隊長のハイペースに牽引されたおかげか、たったの1時間25分で高見石小屋に着いてしまいました。あらかじめ予約の電話を入れたときに小屋番氏から「15時までに着くように」と言われていたのですが、十分過ぎるくらいの余裕です。それならとリュックサックを小屋の前にデポし、アイゼンとピッケルだけを持ってそのまま高見石の上に登りました。しかし、あいにくの天候で遠望は利かず、眼下の白駒池を眺めただけで小屋に戻ることになりました。

小屋の2階にリュックサックを置いたら、炬燵に入って夕食までの一服タイム。小腹が空いたジュンコさんは持参のカップラーメンにお湯を入れ、トモミさんは高見石小屋の名物らしい揚げパン(きなことチーズ。他に抹茶とココアもある模様)、そして私はストイックに真澄を調達しました。お酒のアテは、ジュンコさんのリュックサックから登場した柿の種とチーズです。ジュンコさん、ありがとう!……とお礼を言う間もなく、ジュンコさんは日頃の寝不足を解消するために布団にくるまってうつ伏せになり、まるで王蟲のような姿で寝入ってしまいました。

夕方になると、西側の窓から夕日が差し込んできました。しからばと外に出て再び高見石の上に登り、お日様の輝かしい姿に見とれましたが、寒さのせいで長居はできません。

夕食はご飯にシチュー、フライ、コーヒーゼリー。でもって私はまたしても真澄。シチューを二度おかわりして心もお腹も満ち足りた私は、食事がすんだらすぐに寝込んでしまいましたが、トモミさんとジュンコさんは居合わせた女性登山者の皆さんと炬燵を囲んで、消灯時刻まで山談義に花を咲かせていたようです。

2018/02/25

△06:50 高見石小屋 → △07:40-45 中山展望台 → △08:25 中山峠 → △09:10-15 東天狗岳 → △09:30-40 西天狗岳 → △10:15 中山峠 → △10:20-11:05 黒百合ヒュッテ → △12:05 渋の湯

朝食は5時50分から。ロールパン三つにスクランブルエッグ、ハムとソーセージ、フルーツポンチ。

朝食を終えて身繕いをしたら、いったんリュックサックを小屋の前に置いて高見石に登りました。キンと冷えた空気の中、3人で口真似のラジオ体操をしながら日の出を待ちましたが、東の方に朝日が作るピンクの帯ができてはいるものの残念ながら雲が地平線を広く覆っており、2012年4月にここから見られたような御来光を仰ぐことはできませんでした。それでも白駒池の左奥には浅間山、北の蓼科山の右奥には頸城の山々、左奥には北アルプスがうっすらと見えて、それなりの山岳展望を楽しむことができたことに満足しました。

デポしておいたリュックサックを背負い、いよいよ出発。今日は中山を越えて天狗岳に向かいます。樹林の中の緩やかな登り道はよく踏まれていて歩きやすく、アイゼンの必要性を感じません。快調に高さを上げていくうちに太陽が力を増し、強い光が樹木の間を通して射し込んでくるようになりました。そして……。

中山展望台は期待通りの大展望。北アルプスの大キレットが視認できれば、そこを起点に南北に連なる山々を山座同定することも容易です。強風にさらされながらも、ぐるり270度の眺めを堪能することができました。

中山峠方向に少し下ったところにある見晴らし台から目指す天狗岳の姿を正面に見たところで、リュックサックを置いてアイゼン装着。ストックをしまいピッケルを手にして、ここからはスノーハイクから冬山登山に切り替わります。

中山峠からは3人のペースを合わせるためにトモミさんが先頭に立ちました。空は再び雲に覆われはじめ、吹きさらしの登路は風が強そうですが、東天狗岳や西天狗岳には大勢の登山者の姿が見えています。先行者がつけてくれたトレースを忠実に辿り、部分的に雪と岩のミックスとなった箇所を慎重に歩いて、中山峠から1時間もかからずに東天狗岳の山頂に着きました。トモミさん、ナイスペース!見事な脚力です。

トモミさんはこのピークに無雪期に登ったことがありますが、そのときは展望に恵まれなかったそう。ジュンコさんは一昨年の秋にここを目指したものの悪天候のために断念した経緯があったので待望の初登頂、そして私は1989年1999年2015年2017年に続いて5回目です。空は灰色ですが、行く手には硫黄岳の向こうの赤岳と阿弥陀岳が堂々たる山容で我々を誘っている様子。しかし今回は隣の西天狗岳に登ったら下山することにしているので、送られてきた秋波に応えるのはまたの機会に。

短時間の滞在で東天狗岳を離れ、緩やかな斜面を下って鞍部からわずかに登り返せば、西天狗岳に到着です。

先ほどまでいた東天狗岳のアルペン的な風貌に引き換え、こちらは茫洋とした丸い頂で、この性格の異なる二つのピークが並立しているところが、いかにも南八ヶ岳と北八ヶ岳の境界の山らしいところです。

ひとしきり展望を楽しみ写真を撮り終えたら、黒百合ヒュッテに向かって下山します。いったん鞍部まで下り、そこから東天狗岳には登り返さずに斜面をトラバースする道に入って中山峠からの登路に合流し、元来た道を中山峠まで下って左へ折れました。

中山峠からたったの5分で黒百合ヒュッテ。すっかり空腹になっていたので、この近さは助かります。トモミさんによる食のリサーチは徹底しており、高見石小屋での揚げパンに続いてこちらではビーフシチュウを注文。ごろんとボリュームのある牛肉がいくつも入ったシチュウは単品で1,000円、パンとサラダがついたセットにすると1,300円。おいしくいただいて人心地ついたら、後はのんびり下山するだけです。

下り道の途中で平らな雪面が出てきたところで、トモミさんがダイブを提案しました。この3人で蓼科山に登ったときにも派手なダイブを見せた2人でしたが、今回はなぜか控えめな飛び込み方。手本を見せろと迫られた私は男らしく歌舞伎の仏倒れを演じて見せましたが、起き上がったときに顔が雪まみれになっていたようで、2人にはさんざん笑われてしまいました。

順調に下って、渋の湯に帰還。ひと風呂浴びた後もバスの時刻まで相当に時間があったのでタクシーを呼ぼうとしたところで、実はトモミさんが黒百合ヒュッテに財布入りのポーチを忘れてきていたことが判明しました。幸い、ヒュッテに電話するとすぐに見つかり、折良く下山してくる登山者が渋の湯まで持ってきてくれることになったのですが、降りてきたその登山者は偶然にも、トモミさんが昨夜炬燵を一緒に囲んで友達になった女性の1人でした。

茅野駅に着いて帰りの特急の指定席を確保してから、登山客御用達の「そば処茶屋」に入りました。私はここに入るのは初めてでしたが、どの料理もコスパ十分でおいしくてびっくり。この辺りはさくら肉が名物なのかな?さらにお酒も、たったの450円で真澄が大型グラスに一合以上注がれました。

たっぷり飲んで、ボリューム満点の蕎麦で〆。帰りのあずさの中では爆睡で、これでは摂取カロリーが消費カロリーを上回っている感じです。うーん、こうなったらまた山に行くしかないね。