塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

岩根山荘アイスツリー

日程:2014/01/18-19

概要:長野県川上村の岩根山荘に設置された人工氷瀑=アイスツリーを用いたアイスクライミング講習会。昨年に続いて3回目の参加。

山頂:---

同行:ジャパン・アルパイン・ガイド組合

山行寸描

▲講習会風景。今回も大変勉強になりました。(2014/01/18-19撮影)

一昨年昨年と参加した岩根山荘アイスクライミング講習会に今年も参加しました。講師陣はこれまで通りジャパン・アルパイン・ガイド組合(JAGU)のガイド陣、そして一緒に参加したのはジム仲間のよっこさん・スミヨさん・チオちゃんの3人です。

2014/01/18

△11:00- 岩根山荘

よっこさんが運転する「赤い彗星」で都内を8時前に出発しましたが、思いの外にスムーズな走りで10時半すぎには岩根山荘に着いてしまいました。

まずはあてがわれた部屋に荷物を置いてから食堂で腹ごしらえ。その後、準備をして午後からの講習に臨みます。この日、私を指導してくれたのは杉坂ガイドで、非常に丁寧に1人ずつビレイして登らせては的確なアドバイスを与えて下さいました。昨年身に付けたダイアゴナルでの登り方は身体が覚えていましたが、その私が受けたさらなる指導はアックスをもっと軽くコンパクトに打つこと、そして打ち込んであるアックスに身体を巻き付けるイメージで次のアックスをより高い位置に打つこと、の2点で、「軽く」の方はすぐできるようになりましたが「巻き付ける」の方はいまひとつ身につかないままにこの日の講習を終えました。

温かいお風呂に入って、おいしい夕食をいただいて、窓の外に降りしきる雪に少しばかり驚いて、前回同様に大広間に場所を移してガイド紹介と映写会になりました。

今年の映像は一部昨年と同じもので、宮田八郎氏の撮影による上高地の氷瀑、黄蓮谷左俣の登攀、大同心大滝でのコンラッド・アンカーのパワフルな登りと韓国チームのまるでスパイダーマンのようなテクニカルな登り、それに新作としてこの講習会の前日に撮影されたという千波の滝の登攀の様子。映像が終わったところで眠気に耐えられなくなったチオちゃんが部屋に戻ったのを機に、私たちも大広間を辞して自分の部屋に戻りました。

2014/01/19

△-15:30 岩根山荘

昨夜はあんなに雪が降っていたのに、時間がたつにつれて雲がとれていきました。朝食をいただき、岩根山荘名物(?)の大きな犬に癒されてから2日目の講習開始です。

この日は初級グループ、とにかく登りたいグループ、リード練習グループ、そしてドライツーリンググループに分かれます。私が選んだリード練習グループの講師は松原ガイドで、ウォーミングアップで1本登ってからスクリューを貸していただいてトップロープでのリード練習に移りました。久しぶりに垂壁でスクリューを入れてみましたが、アックスに腕でぶら下がるのではなく足でちゃんと立つことを意識しないとすぐに前腕がパンプしてしまいます。幸い、同じグループに参加していたベテランのYZ氏(「塾長さんですよね?」と私の正体を見破られてしまいました)が韓国のガイドの手製だというアックステンション用のギアを貸して下さって、これを用いてアックスにぶら下がりながらスクリューを入れるという練習をすることもできました。

このギアはイメージとしてはアジャスタブルデイジーと同等の機能のものですが、よりコンパクトで使い勝手が良いものです。ただし、その強度に関してはUIAA規格での保証があるわけではないという点が若干難あり。あくまで自己責任で使用するしかないのですが、そもそも市販されているものでもありません。

また、この講習の中ではあらかじめロープにクイックドローをセットし、その反対側のカラビナをギアラックにかけておくという技も教わりました。なるほど、これならスクリューをセットした後にスムーズにランナーをとることができます。少なくともグランウンドフォールを避けられるようになる3本目までは、この方式で登るのが良いのかもしれません。

昼食休憩をはさんで午後はアバラコフ作成の実演があり、その後は好きにたくさん登って下さいということになって、甘酒を振る舞われたりしながら楽しく登り続け15時に講習終了となりました。最後はとにかく本数を稼ごうと借り物の軽いアックスで何本か登りましたが、そのうちにアックスを打ち込んだ後、心持ち高い位置まで足を上げてから上のアックスを引きつけて、フリのムーブを意識しながらぐっと伸び上がるとより高い位置に次のアックスを打ち込めることを発見しました。これが昨日言われていた「巻き付ける」という感覚なのかな?最後の最後にさらなる収穫を得られた感じです。

いい気分で受講者全員での記念撮影を終えてからギアを片付け、講師陣やYZ氏に御礼を申し上げて、屋根に雪を厚く乗せた「赤い彗星」に乗り込みました。今回は自分の登り方にある種の確信のようなものを見出すことができ、2日間の講習はとても有意義でした。

少々早めの夕食として、暖炉の火がうれしい「萌木の村 レストランロック」で野菜たっぷりのハンバーグセットを食べた後、帰りの車中では私が持参した2本のDVDを観ました。

廣川健太郎氏が冬の三スラに登る『大氷壁に挑む』は、2011年3月10日(←あの地震の前日)にモンベル渋谷店でのスライド&トークショーで購入したサイン入り。アイスクライミングの講習直後だけに皆さん興味をもって観たようでしたが、どちらかと言うと藤岡弘のおどろおどろしいナレーションがウケていたような気もします。

そしてもう1本は『風の谷のナウシカ』です。今から30年前の作品とは思えない完成度の高さに久しぶりに感銘を受けましたが、私がDVDに合わせて巨神兵だ(風の谷に墜落したトルメキアの大型船の残骸の前でのユパの台詞)とかつ、強い(ペジテのブリックを強襲したものの制圧目前で乗り込んで来たユパに剣で追い詰められたトルメキアの指揮官の台詞)といったニッチなナレーションをするたびに、そのシンクロ度の高さにチオちゃんは大喜び。もっとも私としては、風の谷に侵攻したクシャナがユパの理を尽くした堂々たる抗議を受けたときの台詞諫言耳が痛いを語り損ねたことを、強く後悔しているのですが。