四十八瀬川勘七ノ沢

日程:2000/08/20

概要:丹沢の勘七ノ沢をF1からF5まで遡行し、さらにその上のゴルジュ帯を抜けてから、F5の下までクライムダウンと懸垂下降で戻り、尾根筋の登山道に出て入渓点まで戻る。

山頂:---

同行:黒澤敏弘ガイド

山行寸描

▲F3の釜。右下の人物は溺れているわけではない。(2000/08/20撮影)
▲F5の直登。ホールドの強度にさえ注意すれば楽しく登れる。(2000/08/20撮影)

2000/08/20

△10:25 二俣 → △12:15-35 F5手前 → △13:25-30 ゴルジュ帯の上 → △14:25-35 装備解除 → △15:15 二俣

毎度おなじみ『猫の森』の講習会で表丹沢で1、2を競う人気の勘七ノ沢へ、今日は先生1人・生徒3人の4人編成で向かいます。四十八瀬川の右岸側にある県の施設に車をデポしてから、萩の花がわさわさと咲く林道をしばらく歩いて入渓点に到着し、身繕いをして沢に入りました。

滝に到達する前にまず堰堤を左から越えるのですが、意外に細かいホールドで最初から難儀してしまいました。続くF1(5m)は一番テクニックがいる滝で、ちょうど先行の2人が取り付いているところですが、2人目が行き詰まってなかなか進めません。しばらく待ってやっと先行者が抜けられたところでロープを出し、まず黒澤ガイドがフリーで登った後に上から確保してもらって順番に登りましたが、そうこうしている間にもさすが人気の沢だけあって我々の後ろに3人組が追いついてきました。やがて自分の番になって岩に取り付いたものの、ホールドがかちっとかからず、右のフットホールドに足を置いて身体を引き上げるところで逡巡してしまいます。結局登りはしたもののかなりロープに支えられるかたちになってしまい不本意に思ったのですが、後で黒澤ガイドにこのことを言ったところ「一応これでも本チャンなのですから、スピーディーに抜けられればそれで100点。思い通りのクライムができたときは120点」とたしなめられました。

F2(7m)は右から脆い岩を越え、F3(8m)は左奥から水流が落ちてきている釜にざんぶと浸かって右側を泳ぐようにぐるりとへつって滝の右側に取り付いて越えました。今日は気温がそれなりに高く、おかげで爽快そのものの泳ぎができました。F4(2段12m)はロープを出して下段を右から越え、上段の滝の右側の岩棚で1回区切ってから、滝の右上に伸びる凹部を登ります。このF4を越えてからはしばらく緩やかな河原歩きになり、堰堤を5つ越えたところで昼食休憩としました。

いよいよメインイベントの大滝F5(15m)は、けっこう切り立った岩壁の上から水が勢い良く落ちています。今日初めて黒澤ガイドがランニングビレイをとりながら登った後に、上から確保を受けて左のバンドから水流に近づいたら右足をしっかりしたフットホールドに乗せて水流沿いを直上しましたが、ホールドははっきりしていてすいすい登れ、ここは会心のクライムとなりました。

F5の上からは、小さな滝を越えると両岸が迫ったゴルジュ帯となって「ここからはフリータイム!」とコールが掛かり、てんでに好きなところを登りました。ここは基本的には右岸を行けば濡れずに進めますが、せっかく濡れてもいい格好をしているのだからと積極的に水に入っていくのが楽しいところです。

しかし、光あるところに影がある……登りがあれば下りがあるのもモノの道理です。このまま源頭まで詰めれば大倉尾根の花立山荘の裏に出ますが、ゴルジュ帯の先はしばらく行くと伏流になって面白い滝はもうないため、楽しく登ったゴルジュ帯を逆に下降することになりました。クライムダウンには苦手意識がありますが、黒澤ガイドの手本にしたがってこわごわ手足を伸ばしながら下り続けてなんとか無事にF5の上まで下り着き、ここを気持ち良く懸垂下降してから堰堤を二つ巻いたところで足を止め装備を解除しました。足回りはスニーカーに替え、ハーネスやヘルメットもリュックサックに収納してから左の尾根筋に入り、植林の中の杣道をわずかに登ると堀山の家から下る登山道に飛び出し、さらに下り少々で入渓点に戻ることができました。