水無川セドノ沢左俣

日程:2000/06/25

概要:丹沢の水無川本谷F1を越えたところに右から入るセドノ沢の左俣を遡行し書策新道に到達。これを利用して本谷F5の上へ出て、本谷をF1まで下る。

山頂:---

同行:黒澤敏弘ガイド

山行寸描

▲8mの滝を登る私。冷たい水を容赦なく浴びる。(2000/06/25撮影)
▲上で確保する黒澤ガイドと私。ホールドがしっかりしていて見た目よりは安全。(2000/06/25撮影)

2000/06/25

△09:55 戸沢出合 → △12:15 書策新道交差点 → △12:30-55 休憩 → △14:55 戸沢出合

「本チャンをやるなら、悪路や濡れた岩など多様な環境の中で岩登りの技術を使う沢登りの経験が必要」との黒澤ガイドの指導に沿って『猫の森』の講習会で丹沢へ。今日は先生に生徒が若いS氏と私の計3人で、渋沢駅で待ち合わせて車で戸沢出合へ移動しました。ここはかつては「丹沢の涸沢」と呼ばれたところだそうですが「?」マークが10個はつきそうだぞと思いながら車を降りて、すぐに新調したばかりの渓流ソックス・シューズ・スパッツの渓流三点セットを装着。林道から本流沿いの道に入り、大きな堰堤の手前で崩れた道を慎重に登って谷に入りました。

最初に出てくる本谷のF1を左手の鎖を利用して登ると、すぐ上で右からセドノ沢が合流してきます。小さい滝を二つ越すと二俣になり、ここを左俣に入ると小滝の連続となって、比較的しっかりしたホールドを使ったり手足を突っ張ったりしながらこれらを次々に越えていきます。底にフェルトを張った渓流シューズは滑りそうで滑らず、かといって完全なフリクションを提供してくれるわけでもなく、岩の種類や形状だけでなく苔のつき具合によっても滑り方が違うので、三点支持でホールドを確かめながら登ります。

やがてぶつかったのが13mの大滝で、ここで初めてロープを出し、滝の右手からまず黒澤ガイドが登ります。途中2カ所の残置ピンでビレイをとりながらすいすい登っていった黒澤ガイドの姿はすぐに下で確保しているこちらの視界から消え、しばらくしてから聞こえてきた長いホイッスルの音を合図にビレイを解除したらまずS氏、ついで私の順で登りました。取り付いてみると、下の方はホールドに困らないものの落ち口手前はちょっとホールドが細かく神経を使いましたが、それでも黒澤ガイドの指示で落ち口の上の水流の中に左足を思い切って入れて安全地帯へ抜けることができました。ちなみに、ここで初めてATCを使いましたが、ロープの取りまわしがエイト環に比べてはるかに楽であることを実感しました。

さらに2段の小滝を越えて8mの滝で再びロープを出しました。最初に黒澤ガイドが左側から偵察してみましたが、半分ほど登ったところで岩がかぶってくるこのルートは(生徒には)難しそうだということで引き返し、滝のすぐ右の真っすぐ立った岩壁を登ります。上に確保支点を作ってビレイ態勢を作った黒澤ガイドがコースの真上に来るように立ち位置を決めて登ってこいと合図したのを受けて、今度は私がセカンド。これが本当のシャワークライムという感じで水を浴びまくりながら、ぐんぐん登ります。滝の水はとても冷たく空気もぐっとひんやりしていて、上に抜けた途端に眼鏡が曇りました。

ここから少し登ったところで沢を横切っている書策新道を左にとりましたが、ずっと沢の中を歩いていたので書策新道に入ると「おぉ、道だ!」と妙な感動を覚えます。セドノ沢と本谷を分ける尾根の途中の開けたところで、ウツギの白い花に囲まれながら昼食タイムとしました。

昼食後、さらに書策新道を進むとすぐに水無川本谷に下りて、ここからは本谷の下降になりました。わずかに下ったF5は左岸に立派な鎖があるものの高度感があって、鎖に慣れていないとちょっとコワイかも。続くF4は水流の脇をさっさと下ります。F3は右岸にトラバースの鎖が見えていますが、黒澤ガイドが「今日はいろいろやってみましょう」ということで左岸にリングボルトを1本、ハーケンを1枚打って支点を作り懸垂下降。黒澤ガイド、S氏、私の順で下りましたが、先行した2人は滝壺におりて胸まで水につかったため、最後の私には途中からトラバースしろと親切な(?)指示が飛びました。しかし懸垂下降でのトラバースは手が使えないし、落ちたら振り子のように振られるんじゃないかとけっこう恐くてびびりました(本当は黒澤ガイドがロープの尻尾を持っているので大丈夫です)。

F2を右岸の鎖で下ってセドノ沢の分岐点に戻り、F1の鎖を慎重に下って、最後に堰堤の崩壊地で念のためロープを出して危険地帯は終了です。結局この日我々以外に出会ったのは、書策新道で3人と最後の戸沢出合の手前で2人の一般登山者だけで、静かでゆったりした沢登りを楽しむことができました。講習終了後は大倉にある神奈川県立山岳スポーツセンターへ車で移動して温かいシャワーを使い、黒澤ガイドにおごっていただいたビールで祝杯をあげました。