塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

湯河原幕岩

日程:2000/03/05

概要:湯河原幕岩での岩登り。

山頂:---

同行:黒澤敏弘ガイド

山行寸描

▲悟空スラブの遠景。意外に高いところに位置している。(2000/03/05撮影)
▲「シルクロード」(左)と「いんちきするな」(右)。(2000/03/05撮影)

2000/03/05

△10:30-12:00 悟空スラブ → △12:40-13:30 桃源郷

先月に引き続き『猫の森』のゲレンデ講習として湯河原の幕岩にチャレンジ、今日はマン・ツー・マン指導です。朝9時に湯河原駅に降り立つと周りは登山ルックで完全武装(!)のおばあさん軍団がホームを埋め尽くしておりびっくりしましたが、改札口で再会した黒澤ガイドの話によればこの人たちはもちろんクライマーではなく主に幕山の梅林を目当てのハイカーとのこと。ちょうど梅が満開の時期で、駐車場もかなり待たなければ入れませんでした。

荷物を背負って見事な梅林を抜け、山道を登ること20分ほどで悟空スラブ(5.7)の取付に到着して装備装着。前回の講習後、特に8の字結びは何度も練習したので我ながら手際も悪くなく、黒澤ガイドに先に立っていただいておもむろに登り始めます。前日の雨で岩がところどころ濡れていますが、全般に難しいところはほとんどなく快調に高度を上げていきました。今日のテーマは細かい登り方ではなくマルチピッチでの登攀手順の学習にあるので、登りながらギア回収の手順やテラスでのセルフビレイの基本についての解説を受けているうちに、50m3ピッチで終了点に到着しました。

なかなかの高度感と真鶴半島方面の眺めを楽しんでから懸垂で下りましたが、下り着いて時計を見ると既に登り始めから1時間半が経過しているのに気付いて仰天。緊張していたのか集中していたのか、登り下りともあっという間に感じられて時間の経過に全く気付いていませんでした。

食事を終えてから来た道を下り、梅林の中なのに「桃源郷」と名付けられたエリアに入ります。ここでは朝から黒澤ガイドの知り合いも何人か登っていましたが、ちょうど空いていた「シルクロード」(5.7)に黒澤ガイドがロープを掛け、TRで取り付くことになりました。途中まではおおむねスムーズに登れましたが、核心部の左足を高く上げて乗っ越すところで力が尽きかけ、足が貧乏揺すりのように震動を始めてしまいます(「ミシンを踏む」というのだそう)。いったん態勢を整えもう一度トライしてなんとかクリアし、終了点ではしばらく休んでふくらはぎの筋肉の興奮がおさまるのを待ってからロワーダウンで下に戻りました。

続いて「せっかくだからもう1本いきましょう」との黒澤ガイドの言葉で、右側の「いんちきするな」(5.7)にもチャレンジ。ここは取付近くの立ち木を使ってはいけないし、両サイドのカンテに手を掛けてもいけないのだそうです。細かい岩の凹凸に立ち込んで体重をバランスよく支えながら登らなければなりませんが、下から3分の2まではなんとかまっとうに登れたものの、やはり立ち込む感覚が身に着いていないためにガチガチに力が入っており時間もかかります。とうとう、最後の急斜面を上がるところで腕から肩にかけて急激に力が失われ、無理矢理に身体を引き上げようとしてまたもミシンを踏んでしまいました。結局左のカンテを回って楽なルートから登りきりましたが、満開の梅林を見下ろす余裕もなくロワーダウンしてもらいました。

これで今日の講習は終了です。特に後半のフリークライミングでは技術以前に基本的な筋力・持久力や岩に立ち込む感覚の不足など課題がいくつも出ましたが、しかし周りを見渡すとけっこうな年配の方も含めて多くの人が試行錯誤を繰り返しながら岩に向かっており、課題を発見するのもまたよしという気持ちで山を降りることができました。