槍ヶ岳〜笠ヶ岳

日程:1997/07/19-21

概要:上高地から梓川〜槍沢沿いに登って殺生ヒュッテ泊。翌日、槍ヶ岳を越え、西鎌尾根から双六経由笠ヶ岳山荘へ。下山は笠新道から新穂高温泉。

山頂:槍ヶ岳 3180m / 笠ヶ岳 2898m

同行:ユウコさん

山行寸描

▲槍ヶ岳山頂にて。周囲の展望は、穂高〜笠ヶ岳〜西鎌尾根。(1997/07/20撮影)
▲西鎌尾根から振り返る槍ヶ岳。北鎌尾根が左に伸びている。(1997/07/20撮影)
▲朝、笠ヶ岳山頂から見た槍ヶ岳。播隆上人もこの角度で槍ヶ岳を見たのだろう。(1997/07/21撮影)
▲青空の下に優雅に聳える笠ヶ岳。姿形の美しさでは北アルプス随一。(1997/07/21撮影)

1997/07/19

△07:20 上高地 → △10:15-55 横尾 → △12:15-30 槍沢ロッヂ → △14:55-15:00 天狗原分岐 → △16:10 グリーンバンド → △17:00 殺生ヒュッテ

1990年以来久しぶりの上高地。梅雨明け初日の快晴の下、水量豊富な梓川沿いにどんどん歩きましたが、さすがに夜行の疲れが出て横尾では少し仮眠をとりました。

槍沢ロッヂの先、槍沢小屋跡を過ぎる頃から森林限界を越え、槍沢のU字谷の様子がきれいに見渡せるようになってきました。谷の上部には雪が豊富に残っており、槍沢に豊かな水を供給しています。その周囲にはシナノキンバイやハクサンイチゲ、それにナナカマドも白い花をつけていました。

モレーンに樹木がはりついたグリーンバンドを越えると、稜線に大槍が見えてきます。足下にはイワカガミやキバナシャクナゲ。槍の肩までがんばるつもりでしたがやはり夜行疲れで足が進まず、さんざん迷った末に殺生ヒュッテに泊まることにしました。

1997/07/20

△04:55 殺生ヒュッテ → △05:40 稜線 → △06:05-35 槍ヶ岳 → △06:55-07:30 稜線=槍ヶ岳山荘前 → △08:15-25 千丈沢乗越 → △11:05 樅沢岳 → △11:25-12:00 双六小屋 → △13:00 鏡平分岐 → △13:25 大ノマ乗越 → △14:30-40 秩父平 → △15:40-55 笠新道分岐 → △16:40 笠ヶ岳山荘

今日も快晴。雲海上に顔を出した八ヶ岳、富士山、南アルプスを小屋の前から確認してから、稜線を目指しました。

稜線に着いたらリュックサックをデポし、槍の穂先に向かいました。久しぶりの岩の感触に最初は腰が引けましたが、徐々に動きが大胆さを取り戻して山頂着。白馬岳や鹿島槍ヶ岳、立山、薬師岳、黒部五郎岳、裏銀座の山々。西の方に双六岳、南へ下って笠ヶ岳とその向こうに白山。振り返って南方には穂高岳、乗鞍岳、御嶽山。およそ北アルプスの山々は全て見下ろすことができます。これらのほぼ全てに既に登っていますが、例外的に未踏なのが今日ここから縦走しようとしている笠ヶ岳です。

西鎌尾根の下りはじめはがらがらのガレ場の急降下で、自分が落ちることよりも下を行く人に向かって石を落としてしまうのではないかとそちらの方が怖く感じます。

傾斜が緩やかになると、後はやせた稜線をすいすい歩くだけ。ところどころ雪の上を歩きますが、危なく感じるところはありません。咲いている花は、紫のミヤマオダマキや黄色のミヤマキンポウゲにタカネスミレ、ピンク系のヨツバシオガマ。

双六小屋に着いたところで、それまでペースが遅れがちだったユウコさんと別れ、先に私が笠ヶ岳山荘に着いて宿泊の予約をすることにして正午に出発。途中にはクロユリの群落やハクサンイチゲとシナノキンバイの素晴らしいお花畑が広がっていました。

鏡平への分岐を過ぎる頃から稜線をガスが覆いはじめ、展望はなくなりました。アオノツガザクラやまだ髭になっていないチングルマを愛でながら、意外に苦労して、それでもコースタイムを40分短縮して笠ヶ岳山荘に到着しましたが、そこで待っていたのはユウコさんが途中でコースを見失い鏡平山荘に降りてしまったとの知らせでした。弓折岳付近でコースに確信が持てなくなってしまったようですが、やはり別れ別れになるのではなかったと後悔しました。鏡平山荘の様子はわかりませんが、笠ヶ山荘は満員で、人いきれのために汗びっしょりになりながら寝返りを打つことになってしまいました。

1997/07/21

△04:20 笠ヶ岳山荘 → △04:30-55 笠ヶ岳 → △05:05-50 笠ヶ岳山荘 → △06:45 笠新道分岐 → △07:30 杓子平出口 → △09:30 笠新道入口 → △10:15 新穂高温泉

今日もまた快晴、笠ヶ岳の頂上に登って御来光を待ちました。

日の出は4時45分に北鎌尾根の左から。この山頂は播隆上人が槍ヶ岳への登頂を決意した場所でもありますが、なるほどここから見る槍穂の稜線上では槍ヶ岳の姿が最も颯爽としており、また標高も穂高岳より高く見えます。今回の山行は、その播隆上人ゆかりの山をつなぐ山旅となりました。

山荘で朝食をとってから下山開始。笠新道分岐から下りはじめの10分くらいが、もろい岩の急斜面で緊張しました。それでも杓子平出口からの笠ヶ岳は穴毛谷から垂直に立ち上がった姿が非常に美しく、その立派さに感銘を受けました。きつい日差しの下をひたすら下ってやっと降り立った笠新道入口で無事にユウコさんと合流し、林道を45分歩いて新穂高温泉のバス停に着いたら無料の公衆浴場で山の汗を流しました。