小川山唐沢の滝

日程:2020/02/08-09

概要:初日は岩根山荘の人工氷瀑=アイスツリーで練習をし、翌日、小川山廻り目平からカモシカ登山道を登って唐沢の滝でアイスクライミング。

山頂:---

同行:キョウコさん / モモヨさん / SWD氏

山行寸描

▲唐沢の滝全景。結氷が危ぶまれていたが、そこそこの状態の氷を登ることができた。(2020/02/09撮影)
▲唐沢の滝2ピッチ目。中央の凹角が易しく、その右の氷柱も良好なコンディション。(2020/02/09撮影)
岩根山荘のアイスツリーでの練習と唐沢の滝でのクライミングを組み合わせた1泊2日プランは前々から検討していた行程で、2018年8月に滝の下見もしてあったのですが、その後もろもろの変遷があって、今回の同行者は下見のときのメンバーではなく、1月の赤岳鉱泉でもお付き合いいただいた保科スクール仲間のSWD氏、先日のJAGUの講習会でご一緒したキョウコさん、それに4人娘ルートで接点ができたモモヨさんの3人となりました。

2020/02/08

△10:00- 岩根山荘

茅野駅で合流して、ここで私以外の3人は互いに初対面の挨拶。その後SWD氏の車で順調にドライブして岩根山荘に到着しました。

キョウコさんとSWD氏はベテランですが、モモヨさんは人工氷壁の上に上がるのも初めてらしく興味津々といった様子。それでも氷に取り付けば新品のクォークを振って垂壁もこなしていたのですが……。

どうもモモヨさんのアックスの振り方や足の使い方に問題があるのでコンパネでフォームのチェックをしようと移動して、そちらでがんがん打込み・蹴り込みをしてみたところ、アイゼンがずれて外れてしまいました。ここで気付いたのですが、彼女が持参しているのは前コバのない三季用ブーツに平爪のアイゼンで、蹴り込みの圧力によってブーツが凹みアイゼンの前側のプラスチック部に食い込んでしまうことがずれの原因でした。これまでアイスの講習会にはこの装備で何度か参加して問題なかったというモモヨさんでしたが、さすがにこれではダメ。ちょうどそこに居合わせたキョウコさんの知合いのご夫妻が親切にも岩根山荘のご主人の上田さんに話をして下さってシューズとアイゼンを借りることができ、皆でよってたかってモモヨさんに指導するの図ができあがりました。

残る3人ももちろん自分の練習を重ねます。キョウコさんのソフトタッチの登り方は相変わらず優雅で、これなら疲れることなく何ピッチでも登れそうです。

おいしい夕食の後も、部屋での講習が続きました。「アイスは道具」と言われるだけあって、キョウコさん・SWD氏それぞれに道具の選択や使い方についての蘊蓄があり、モモヨさんの背後でひそかに私も勉強させていただきました。

2018/02/09

△08:20 廻り目平 → △09:20-14:20 唐沢の滝 → △14:55 廻り目平

朝食をとってから廻り目平へ車で移動。道の途中から路面の轍が深くなってSWD氏はハンドルのコントロールに苦労していましたが、どうやら無事に着いた大駐車場には我々以外に2組が車を駐めて出発の準備中でした。

踏み跡明瞭で迷う気遣いのいらないカモシカ登山道を登ること1時間で唐沢の滝に到着しました。先行は2組で、我々もさっそく準備を開始しました。

唐沢の滝は緩傾斜帯を間に入れて上下2段になっており、2ピッチに分けて登るのが一般的です。当初の予定ではキョウコさん・SWD氏とモモヨさん・私の2組でリード&フォローとして上へ抜けるつもりだったのですが、前日の様子を見て計画を変更し、まずは下段だけでトップロープを張りしばらく遊んでから、最後にモモヨさん以外の3人で最上部まで抜けることにしました。

トップロープを張る役目はジャンケンに勝ったSWD氏が担当し、下部のつながっているところを右寄りから登って中段の緩傾斜帯に振られ止めのスクリューをセットしてから左岸の灌木に長いスリング2本を連結して支点を作って降りてきました。残る3人はTRでひとしきり登りましたが、傾斜はかなりあってなかなか奮闘的。後からやってきた4人組は我々の合間を縫って下部を左寄りから登っていきましたが、2組目のリードの男性が氷の脆さに四苦八苦しているうちに壊れて落ちた氷板を肩に受けて悶絶しており、これを見た私は内心「ジャンケンに負けてよかった」と思いました。

ひとしきりTRで登ってから昼食休憩。私がカップ焼きそばを作っているとキョウコさんに「お湯がもったいないではないか」と教育的指導を受けましたが、大丈夫!3分間たって適温になったお湯はそのまま飲み干します。そして昼食が終わったところでまずモモヨさんにTRで1本登ってもらいましたが、手隙の時間を使ってせっせと研ぎをかけたクォークは刺さりがよくなり、安定した登り方で登れていました。この1本を終えたところでモモヨさんにはしばらく下で待っていてもらうことにし、まずはバックロープを引いた状態で私がTRで緩傾斜帯左岸の灌木にとった支点(下から40mほどの高さ)まで上がり、キョウコさん・SWD氏の順番で2人を支点まで迎えました。

上段のリードは私。先行パーティーが懸垂下降していくのをしばらく待ってから、中央の凹角に取りつきました。こちらは見た目通りの階段上で、スクリューを入れる際にも安定したテラスに立って作業を行えるのでいたって易しく、なんということもなく落ち口の上に抜けて左岸の残置スリングが巻かれた灌木に支点を作りました。

セカンドのキョウコさんはスクリューを回収しながら同じラインを登り、ラストのSWD氏は凹角右の氷柱状をさくさくと登って、これで登攀終了です。

残置スリングを用いての懸垂下降は、ロープの長さが足りなければ緩傾斜帯の右岸の灌木を使って2ピッチに分けての下りとなりますが、我々は60mロープ2本なので一気に下ることができました。下で待っていたモモヨさんはさぞ寒い思いをしただろうと思っていたら、我々の前後を登っていた賑やかな4人パーティーがおしゃべりに付き合ってくれて、退屈することがなかったようです。ありがたいことです。

直前まで「唐沢の滝は登れる状態にあるのか?」という不安が続き、各方面からの情報収集に努めながらぎりぎりの判断での岩根山荘行きでしたが、直前の木曜日に入った強い寒気のおかげでそれなりに良い状態の唐沢の滝を楽しむことができ、ラッキーでした。ただ、モモヨさんを唐沢の滝の上まで連れて行ってあげられなかったことには悔いが残りました。モモヨさん、この埋め合わせはどこかでさせて下さいね。ともあれ同行いただいた皆さん、ありがとうございました。