塾長の山行記録

西穂高岳

概要:新穂高ロープウェイ終点の西穂高口から1時間歩いて西穂山荘泊。翌朝、西穂高岳のピークを踏んで、往路を下山。

日程:2019/08/24-25

山頂:西穂高岳2,909m

分類:北アルプス

同行:トモミさん

西穂高岳の山頂からの展望。ガスの動きに風情があり、高山にあることの幸せを噛みしめる。(2019/08/25撮影)

トモミさんのための「岩と雪アテンドシリーズ」の一環として西穂高岳に登るというアイデアは昨年の早い時期からのプランになっていましたが、天気に恵まれず延期を重ねた末に「また来年」ということになっていました。今年も1週間前の天気予報では秋雨前線が押し上げられて不穏な気配だったのですが、直前になってみれば奇跡的に晴れマーク。なんとかそのまま天気がもってほしい、と祈るような気持ちで新宿からのバスに乗りました。

2019/08/24

■14:15 ロープウェイ西穂高口駅 ■15:45 西穂山荘

渋滞の影響で平湯温泉に着くのが1時間以上遅れましたが、この日は西穂山荘に入るだけなので問題はありません。

昼食代わりに飛騨牛串焼きと飛騨牛まんじゅうを食してから、ロープウェイに乗りました。それにしても、この金色と赤のちょっと不気味な子たちは一体何者?

播隆上人に見送られて登山道に入りました。樹林の中で展望に恵まれない道ですが、ウォーミングアップとしてはちょうどいい登り坂です。木苺や花を愛でながらのんびり歩いているうちに、気がつけばもう西穂山荘は目の前でした。

合部屋の中の自分たちの布団を確認してから、明日の登山の成功を祈念して別館で乾杯!夕食はハンバーグとクリームコロッケがメインでしたが、美味しくいただいて20時過ぎには眠りにつきました。

2019/08/25

■05:00 西穂山荘 ■06:05-20 西穂独標 ■07:20-45 西穂高岳

3時頃にトイレに立ったついでに外に出てみると、上空は雲に覆われていますが悪い天気ではなさそう。ただし風が少し強いのが気になります。布団に戻って寝直し、次に目が覚めたときには起床予定時刻の4時半を少し回っていました。同室者のうち奥穂高岳まで行くと言っていた男性の姿はすでになく、トモミさんも廊下に出てパッキングをしている様子です。慌てて起き上がりましたが、私の方はパッキングを修正する必要はないので、そのまま廊下に出してあったザックを掴んで山荘の外に出ました。

空は明るく夜明け間近という雰囲気ですが、地平線には雲が広がっているので御来光を拝むのは難しそう。やがて準備をすませて出てきたトモミさんと共に、ヘルメットをかぶって出発しました。

コンスタントに高度を上げてゆくと共に周囲の明るさが増し、山々の姿がはっきりと見えてきます。丸山を過ぎて独標を目指しているときに背後からヘリコプターが近づいてきたので「事故か?」と少し不安になりましたが、レスキューヘリではどうやらなさそう。

行く手の高いところにある西穂高岳やピラミッドピークの姿に励まされながら足を進めると、やがて独標に到着しました。ここまで1時間とちょっと、なかなかよいペースです。そしてこの頃に、明神岳の向こう側からすでに白色光になった朝日が差し込んできました。

独標から先ははっきりした岩稜帯となりますが、トモミさんの歩きには危なげがなく、登りも下りも難なく進んでいきます。念のためショートロープと簡易チェストハーネス用のスリング・カラビナをそれぞれ持参しているのですが、どうやらこれらの出番はなさそう。それはともかく、西穂高岳の山頂が近づくにつれて周囲がガスに覆われるようになってきたのが残念です。ところが……。

西穂高岳山頂には西穂山荘から2時間20分で到着。展望に恵まれないピークで大休止をとっていたところ、みるみるうちに周囲のガスが切れ始め、笠ヶ岳側にブロッケン現象も生じました。そしてとうとう、前方に奥穂高岳から槍ヶ岳まで連なる山並みが姿を現しました。なんという幸運!トモミさんも私も大喜びで写真を撮りまくりました。

■08:50-55 西穂独標 ■09:50-10:40 西穂山荘 ■11:35 ロープウェイ西穂高口駅

やがて山頂が混み出したのをしおに、下山にかかることにしました。

西穂高岳直下の下りが少々神経を使いましたが、あとはこれといって困難な箇所はなく、ピラミッドピークでもう一度ブロッケン現象で遊んだほかは、すたすたと下降を続けました。

独標からの下りも我々はなんということもなく通過したのですが、その直後に背後から女性の悲鳴と「大丈夫ですか?」という叫び声が聞こえてきました。振り返りみると、女性登山者がバランスを崩して滑落しかけたようでしたが、どうやら大事には至らなかったようです。西穂高岳まで足を伸ばす登山者はそれなりに岩稜歩きに慣れている人ばかりに見えましたが、独標までだとさまざまな技量の人がやってきて、そして登りよりも難しい下りで難儀するということが起こります。当人はもとより、巻き込まれのリスクを考えても、この岩稜を歩くにはヘルメットは必携だと考えた方が良さそうです。

……などといったことを考えながら歩いているうちに、西穂山荘の赤い屋根が見えてきました。その向こうの焼岳はこのところ火山性地震を起こし続けていますが、この日は沈黙を守ってくれました。おかげで山行は恙なく終了したのですが、なんと言ってもトモミさんの脚力と岩稜歩きの技術を確認できたことが収穫です。この山行の予行演習として登った二子山でもトモミさんは安定した登り下りを見せていましたから心配はしていませんでしたが、やはりロープの出番は皆無。これなら大キレットも大丈夫なのでは?

山荘に戻り着いてトモミさんと握手を交わし、ブランチとして「西穂らーめん」を食しました。標高が高く沸点が低いこの場所でも美味しく食べられるよう麺とスープに工夫をこらした一品とのことで、トモミさんは正調の醤油味、私は信州味噌を活かしたみそ味をいただきましたが、確かにおいしい。おすすめです。お腹もふくれてすっかり寛いでから、平湯温泉で温泉につかることを次の楽しみに我々はロープウェイ駅を目指しました。ロープウェイ駅に着く頃には西穂高岳のあたりは再びガスが活発に生じており、そのピークは見え隠れしていました。