塾長の山行記録

二子山

概要:坂本から股峠に上がり、東岳をピストンした後、上級コースから西岳に登って魚尾道峠経由、坂本に下山。

日程:2019/05/19

山頂:二子山東岳1,122m / 西岳1,166m

分類:関東周辺

同行:トモミさん

東岳から見た西岳。垂直にそそり立つ壁が迫力満点。(2019/05/19撮影)
西岳から見た東岳。その手前の樹林の中が股峠。(2019/05/19撮影)

元八丁堀仲間のトモミさんと北アルプスの岩稜を歩こうという企画は一昨年あたりからあったのですが、私が雨男の本領を発揮し続けたためにこの話は二年続けてお流れ。あらためて今年リベンジを果たすためのトレーニングとして、公共交通機関を使って日帰りで行ける岩稜の山である二子山を歩くことにしました。クライミングのためにこの山には何度か来ており、直近ではほぼ一年前に西岳中央稜を登っているのですが、登山の対象として二子山の稜線を歩くのは今回が初めてです。

2019/05/19

■10:40 坂本バス停 ■11:40-45 股峠 ■12:15-30 東岳 ■12:55 股峠

9時前に西武秩父駅で待ち合わせ、9時20分発小鹿野車庫行きのバスに乗って小鹿野役場で坂本行きに乗り換え。バスに乗っていた登山者は我々のほかに単独の男性が二人、カップルが一組でしたが、カップルの方はどうも登山者というには衣装がヘン。坂本バス停の小さな待合室で身繕いをしている間に彼らは姿を消してしまいました。

坂本の集落の中から登山道に向かう道に入ると、行く手に聳える二子山はずいぶん高く、あそこまで行くのは大変そうだという気がしてきます。それでもまっすぐ進むと、やがて道は沢筋に沿って小さくアップダウンしながら徐々に高度を上げ、いったん車道に出ます。そこからすぐのところにある「民宿登人」の前を通過するとすぐに股峠の北東側直下へ回り込んでゆく道が右上へ分かれ、この道に入ってただちに登山道の入り口が現れます。

涸れた沢筋に沿ってつけられよく整備された歩きやすい道をぐんぐん登ってゆくと、思ったよりもずっと早くフリークライマーたちの声が聞こえ始めました。

奇想天外な看板を発見。もとは緑で「わき見運転」赤で「事故のもと」と書いてあったところに黄色で「命のお守りヘルメット」と上書きして車道から登山道に転用したのだと思いますが、微妙なかすれ具合のせいで「命のお守り事故のもと」と読めてしまいます。なんだこれは?と顔を見合わせた場所からすぐ上がもう股峠で、坂本バス停からここまでちょうど1時間で着いてしまったことになります。ペースの早さに気を良くし、股峠でヘルメットを着用すると直ちに東岳に取り付きました。

東岳への登山道は、上部の岩場に突き当たったところで左に回り込む少々スリリングな鎖場となり、これを越えて右上へ折り返すとすぐに頂稜上に出ました。前方に見えている山頂までは危ない箇所もなく、気分よく足を進めることができます。

こじんまりした広場になっている東岳の山頂に到着。先ほどから背後には西岳の怪異な姿が見えていて、これから登るあちらの険しさの方が気になってきます。

しかし東岳の山頂もなかなかよいところで、周囲には白っぽい山吹や開花期の終わりを迎えているツツジなどが咲いていました。

さらに山頂の先の方に続く踏み跡を辿ってみると、その先に小さな鞍部をはさんで展望台のような岩峰がありましたが、そこまで行かなくても南の方には両神山がよく見えています。

山頂広場に戻って軽く行動食をとってから、登ってきた道を逆に辿って股峠に戻りました。

■13:35-40 西岳 ■14:35 魚尾道峠 ■15:30 坂本バス停

股峠から今度は西岳に登ろうとしましたが、まず最初の関門はこれらの看板です。

股峠から西岳に登るには、その正面から直登する「上級者コース」と右側から巻き上がる「一般コース」の二つがあるのですが、どうもこれらの看板は言外に「上級者コースはやめとけ」と言っているように見えてきます。

しかし今回の山行は、上級者コースを直登するところにトレーニングとしての価値があるのですからそういうわけにはいきません。ともあれ、まずは西岳方向に向かって樹林の中のジグザグ道を登ってゆくと、やがてのっぺりした石灰岩の岩壁にぶつかりました。この岩壁から右の方へ続くピンクのテープを辿ると一般コースですが、ここで目を左に転じれば、そちらにもテープが続いていることに気づきます。

こちらが上級者コース。この岩を左から迂回するといよいよ本格的な岩場になりますが、その前にまたしても小さな看板が現れました。この看板によると、どうやら以前はこちらに鎖が設置されていて、それは個人が私財を投じて(善意で)設置したものだったようなのですが、登山者たちから

  1. 鎖が多すぎる、付け過ぎだ。
  2. 鎖は必要ない。
  3. 鎖が取れたら、責任執って呉れるのか。

など不評だったために撤去してしまったのだそうです。設置者の無念がにじみ出ているこの看板の前には登山道を塞ぐように切られた木の幹が何本か置かれていましたが、ここは気にせず先に進みます。

いよいよ岩場登り。トモミさんは二子山に登るのは初めてですが、怯むことも悩むこともなく、次々に出てくる岩に大胆に手足を掛けて登っていきます。

私もここを何度か降りてはいますが、登るのは初めて。石灰岩特有の複雑な形状をした岩を三点支持を守りながら登れば、さしたる困難はなくぐいぐいと高度を上げてゆくことができて楽しくなってきます。

やがて徐々に傾斜が緩くなって、とうとう西岳の頂稜上に出ました。屏風のような岩壁、細く水平な道、少し進んだところから振り返れば西岳中央稜。

楽しい稜線漫歩を数分続けて、西岳の山頂標識が立つ場所に到着しました。言ってみればここが今回の山行のゴールなのですが、トレーニングとしてはこれで終わりではなく、ここから先の岩稜歩きと急な下降も大事なイベントです。

下山開始。この高度感にトモミさんは「うひゃー」と少々腰が引け気味でしたが、それでも意を決して先に進みます。

慎重に歩みを進めて少し先から振り返ると、先ほどまでそこにいた西岳とその向こうの東岳が重なって見え、さらに遠くには痛々しい姿の武甲山も見えていました。

頂稜上にあって絶え間なく侵食を受け複雑怪奇な形状をした石灰岩の上や間を歩き続け、ついにはっきりと下降路となってきました。

何度かのクライムダウンや鎖場の下降を重ね、樹林帯に入ってからもトラロープに手を預けながらの下りが続きます。

やっと安全地帯……と思ったものの、この下の樹林の中の下り道が急で滑りやすく、少し冷や汗をかきました。しかし、股峠へ向かうトラバース道を左へ分けるあたりでようやく傾斜が緩み、歩きやすい普通の登山道になりました。

最初の指導標には「坂本」との表示がないので少し面食らいますが、まずは「志賀坂峠」方向に向かいます。ついですぐ出てくる指導標にははっきりと「坂本」と書いてあってひと安心。このあたりが魚尾道峠ということになるのでしょうか?GPSアプリであるYAMAPの地図を見るとその前の股峠へ通じるトラバース道の分岐が魚尾道峠であるように表示されているのですが、なんだか不自然な気がします。

それはともかく、この指導標の先を少し進んだ位置から見上げる二子山は実に立派でした。そして、この展望が得られる場所の近くにシートを敷いて座っていたのは、坂本へのバスで一緒だったカップルでした。しかし、女子の方が何か(食べ物?)についての感想を素っ頓狂な感嘆の声と共に解説し、男子の方がインタビュー役と撮影係を兼ねるという風情でしたので、もしかするとYouTuberだったのかも。道理で山屋らしからぬ風体だったはずです。

登山道は植林された針葉樹と二次林らしき広葉樹を左右に見せながら下り、やがて車道につながりました。ここから車道を左へ進めば「民宿登人」で、あとは朝登った道を逆に下るだけ。幸いにして天気に恵まれ、山自体も岩登りの対象として面白く、よいトレーニング登山ができました。

YAMAPのデータを活用