塾長の山行記録

荒船山相沢奥壁大氷柱

概要:上州・荒船山麓の相沢奥壁の大氷柱(50m)を三人で登る。貸切ながら一本一本が長く、一人二本ずつ登って終わり。

日程:2019/02/27

山頂:---

分類:上信越 / アルパイン

同行:ヤマダくん / エリツィン

大氷柱の全景。全体に結氷状況は良好でした。(2019/02/27撮影)
左寄りのカリフラワー〜つらら状をトップロープで。こちら側をリードするのは骨が折れそう。(2019/02/27撮影)

2008年に北岳や錫杖岳への山行を共にしていたヤマダくんとはその後長らくご無沙汰でしたが、昨年のヒマラヤトレッキングで友人となったかみちゃんと彼との間に仕事つながりがあったことからご縁が復活し、その延長でアイスクライミングをご一緒することになりました。当初ヤマダくんの仲間であるメンバー二人と、さらに先日南沢大滝を登ったひろみさんと共に登る予定でしたが、ひろみさんともう一人の都合が悪くなり、残る一人=エリツィン(ニックネームとは裏腹にチャーミングな女性です)とヤマダくんとの三人で荒船山を目指しました。

2019/02/27

■09:55 相沢登山口 ■10:45 標識 ■11:10-16:30 大氷柱 ■16:55 標識 ■17:20 相沢登山口

ヤマダくんが運転する車で渋谷近くを発ったのは6時半頃でしたが、途中のSAで朝食をとったりコンビニで行動食を調達したりするうちに意外に時間がかかり、荒船山の相沢登山口に車を駐めて登山道を歩き出したのは10時近くになってしまいました。しかし、駐車場には普通に山頂を目指す雰囲気の単独行の男性が一人いるだけ。これなら目指す相沢奥壁は貸切になりそうです。

この日の空は薄く曇ってはいるものの、気温が高からず低すぎず、冬枯れの登山道を登るうちに軽く汗ばむ程度の陽気です。それにしても雪はまったく残っておらず、まるで晩秋の登山道を歩いているような錯覚を覚えます。

やがて前方に顕著な二つの氷瀑が見えてきました。太めの右が目指す大氷柱(50m)で、その左隣の細身ながら長い氷瀑はエイプリルフール(三段100m)。経験豊かなエリツィンはどちらも登ったことがあるそうです。やがて「相沢30分・荒船山70分」とある朽ちかけた標識が出てきたら登山道を離れ、明瞭な踏み跡を辿って左の小沢を越えそちらの尾根に取り付きます。

ひとしきり急登をこなして前方の氷瀑が大きくなってきたところでピンクテープを目印に尾根の左斜面をトラバースして進むと、すぐに大氷柱の足元に到着しました。そこだけ見事に凍っている大氷柱を感嘆の眼差しでしばらく見上げてから、ザックを置いて身繕い。

アプローチの車中の話し合いでリード役を引き受けることになっていたヤマダくんは、氷瀑の予想以上のスケールと斜度とに若干緊張している様子。それでも意を決した様子のヤマダくんは、エリツィンや私からスクリューの供出を受け、11本のスクリューをぶら下げて氷瀑に向かいました。

滝の形状は、出だし5mが比較的傾斜の緩い凹角で、その後一段上がってからすっきり立ってきますが、今シーズン多くのクライマーを迎えているらしく豊富な凹凸のところどころにアックスやアイゼンの痕も見られます。とは言うものの、やはり長い!慎重にスクリューを駆使しつつ高度を上げたヤマダくんが7本のランナーを消費して氷のレッジに達したところで、少し離れたところからエリツィンが滝の全体像を見渡したところ、まだ滝の真ん中までしか届いていません。核心部は越えていると思われるものの、上と下とでの話し合いの結果、そこまでの消費時間と残りのスクリューの乏しさを考慮して慎重を期すことにし、ヤマダくんはそこにスクリュー二本で支点を作ってロワーダウンで戻ってきました。お疲れさま!ナイスファイトでした。

後を引き継いだ私はヤマダくんの到達点までトップロープ状態で登り、そこからさらに20mロープを伸ばすことにしました。オブザベーションしたところでは先日の九曲滝を連想したのですが、その見立ての通り、立ったセクションも完全な垂直ではなく、アックスやアイゼンも豊富な凹凸を活かしてソフトに打つだけで決まります。さらに後半パートは、部分的に立ってはいるものの全体としては容易。やはりヤマダくんは核心部を突破してくれていたのでした。そのために私がリードした区間ではスクリューを三本使っただけですみ、そのまま落ち口の木に設置されている終了点に達することができました。

ビレイしてもらっていたロープと引いてきたバックロープとを結んで終了点に構築したTR支点に掛け、懸垂下降で下に戻ったら、あとはエリツィン→ヤマダくん→私→エリツィンの順番にTRで登ります。ただし、登るラインは左寄り。出だしから斜度が強いスロープになっており、その先はカリフラワー状の小ハングからつららの発達したピラーを登るラインとなります。

こちらはエリツィンのダイナミックなハング越え。その後のピラーはバーティカルですが、見た目は脆そうなのに実際に登ってみると堅固で、ぐいぐいと登れます。ただ、ここをリードするとなると心理的には厳しそう。

ぐいぐいと登れるとは言っても、50mの長さを登るとなるとそれなりに時間がかかります。さらにTRで使用しているロープは60mを二本つないだものなので、登りやロワーダウンの途中でロープの結び目がビレイヤーの手元に来たときにこれをまたぐためにビレイヤーを交代しなければならず、そうした手順面の手間暇もあってどんどん時間がたってしまいます。結局最初のリードも含め各人が二本ずつ登ったところで時間が押してきたため、終了としました。本数は稼げなかったものの、状態のよいロングルートを貸切で登れて、充実した一日を過ごすことができました。感謝。

この冬はいろいろな事情からアイスクライミングのパートナーの確保に苦労していましたが、こうしてエリツィンとヤマダくんという新たな仲間を得られてラッキーでした。今シーズンはもう氷の季節も長くありませんが、これからも末長くお二人がロープを結んで下さることを期待しています。