塾長の山行記録

尾白川鞍掛沢〔右岸ルンゼ出合まで〕

概要:今年1月12日の事故の際に残置した荷物の回収山行。

日程:2019/01/31

山頂:---

分類:南アルプス

同行:セキネくん

ここが事件の現場か、と見上げるセキネくん。「事件」ではなく「事故」ですので……。(2019/01/31撮影)
一見無事に見えるテント。実は小動物による略奪を受けていた。(2019/01/31撮影)

もともとこの日はセキネくんとガンガの沢あたりへ行こうという話になっていたのですが、先日の鞍掛沢での事故の際に残置したテントを回収しなければならず、当事者ではないセキネくんには申し訳ないことながら、再び尾白川へひと仕事のために入ることになりました。

2019/01/12

■07:40 日向山登山口 ■09:45 尾白川入渓点 ■10:25 鞍掛沢出合 ■10:45-11:40 右岸ルンゼ出合 ■12:05-15 鞍掛沢出合 ■12:50 尾白川入渓点 ■14:40 日向山登山口

午前1時に甲府駅前で待ち合わせ、「道の駅はくしゅう」で仮眠(セキネくんは車内、私はツェルトでシュラフ泊)をとってから日向山の登山口へ。この日の朝に自宅を出ても時間的には間に合うのですが、午後から雪が降り出すという予報であったためにスタート時刻を早くするための苦行です。

前回と同じ位置にあるゲートから勝手のわかっている道をひたすら歩き、相変わらず結氷の悪い錦滝やルンゼ群、それに対岸の刃渡り沢の見事な双翼の滝を横目に見ながら早々に林道の終点へ。

ここでヘルメットとハーネスをつけて悪い下降にかかったところ、前回はなかった懸垂下降用のロープが残置されていました。ここを下るだけのために持参した60mロープがこれで無駄になったのですが、それでもこれはありがたいことです。

河原に降りてからの川筋の様子も前回と大差なく、踏み抜きに注意しながら氷の上をそろそろと歩いたり、岩の上を小さく巻いたりしているうちに、すぐに鞍掛沢の出合に到着しました。先行していたセキネくんがそのまま本谷を進もうとしているのを呼び止めて鞍掛沢に入ると、こちらの川面は本谷よりもしっかり凍っていて歩きやすく、さしたる時間もかからずに左岸の樹林の中に黄色いテントが見えてきました。

作業に取り掛かる前に、まずは事故現場を再検分。事故の様子を説明した上でセキネくんの意見を聞いてみたところ、この氷のルンゼは高さも傾斜もあるし、ロープを出すべきところでしょうとのこと。やっぱりそれが確実だよなぁ。逆に「いつもの塾長さんならロープ出してるでしょう?」と聞かれてしまったのですが、前に書いたように林道終点からの下降で私がロープの取り回しにもたつき時間が押していたことが判断をラフなものにさせていたのかもしれません。これは悔やみきれない反省点です。

テントのところに登ってみると、雪の重みで多少の歪みはあるものの、どうやら無事に立っている様子……だと思ったのですが、近づくとテントの周りに何やら散乱しているものがあり、不審な気配が漂っています。

よく見るとテントの下部に穴が開けられており、そこから残置していた食糧が引き出されたらしいことがわかりました。穴の小ささからしてオコジョの類の仕業だと思われるのですが、ある程度予想していたこととはいえ、これはショック!もっとも、テントの入り口を開いて中を覗いてみたところ、被害は最小限。スタッフバッグにも齧った跡が穴となって残っているものがありましたが、これが猿だったり鹿だったりしたら、派手に引っかき回されてもっと大変なことになっていたかも知れません。当たり前のことながら、今年の正月に買ったばかりのスクリューなどのギア類も無傷で残されていました。賢いオコジョ(?)にしても、これらのギアが金目のものであるということまではわからなかったようです。

気を取り直して、セキネくんと共に荷物の仕分けとパッキングを行いました。土に還るもの(食糧)は残置することとし、それ以外のものを、私のモノは私が背負ってきたザックに詰めて私が持ち、かっきーのモノはかっきーのザックに入れてセキネくんが背負うことにしたのですが、こうして整理しつつチェックしてみるとかっきーの荷物は多過ぎ・重過ぎです。食材がかさばり(とりわけたくさんの切り餅!)、ギアもかさばり、それらを収容するザックも重く、セキネくんはため息をついています。立派過ぎるヤスリがあるのは河原歩きで丸くなったアイゼンの爪を研ぐためと考えれば理解できなくもありませんが、沢登りで使うタワシまで持ってきているのはどういうことなのか?全体的に見て、軽量化に失敗していると言われても仕方ない状況ですが、これがかっきースタイルだと言ってしまえばそれまで。しかしそれならその代償として、あの右岸ルンゼはロープを出すべきだったのでしょう。

パッキングを終え、最後に「テントに穴を開けたオコジョが餅を喉に詰まらせて死んでしまいますように」と祈ってセキネくんに「オコジョは何も悪くありません」とたしなめられたところで作業完了。元来た道筋を戻りました。

尾白川の谷底から林道までの急な登り斜面では、セキネくんは「これまで山では体験したことがない」という荷物の重さ(かっきーのフル装備+セキネくん自身の装備)に喘いでいましたが、それでも十分に早い時刻に安全地帯に戻って、回収完了の連絡をかっきーに入れることができました。