塾長の山行記録

小川山

概要:小川山でのクライミング。初日はストリームサイドエリアでスポートルート、二日目は屋根岩2峰「セレクション」を登る。

日程:2018/10/20-21

山頂:---

分類:関東周辺

同行:ヨーコさん / ナガシマ氏

屋根岩2峰の上からの眺め。隣の3峰で「南稜レモン」のダイクトラバースにかかろうとしているクライマーの姿も見えています。〔動画〕(2018/10/21撮影)

2018/10/20

■10:00- 廻り目平

ジム仲間のヨーコさん・ナガシマ氏と共に廻り目平。今年二度目で、たぶん最後の小川山です。

二人は金峰山荘泊まりですが、私は駐車場の近くの紅葉の木の下にテントを張りました。この日は、西股沢下流右岸のストリームサイドエリアへ向かいます。

渡渉は頼りない木の橋(?)を伝いますが、増水しているのか水流が木の上を洗っていました。どうにか足を濡らさずに渡りきってすぐに、少々湿っぽい空気が漂うストリームサイドエリアに到着しました。ここは全部で三段の岩場で、メインの二段目には先客あり。よって一番下の段で登ることにしました。

ストリームサイドエリア

ブリジット(5.9+)
FL。傾斜の緩いフェースを登る短いルート。ホールドは豊富ながら微妙に登りにくく、おまけにこの日はえらく寒くて指先の感覚を失いながら登りました。
鴇草ときそう(5.10c?)
TR→RP。凹角の中の階段状を登るルート。『日本100岩場』に「5.10c」とグレーディングされていたので最初はトップロープで登りましたが、どう考えても最初の「ブリジット」より容易。おかしいな……と思いつつ今度はリードしてみましたが、あっさりRPできてしまいました。よって(限定がないのであれば)「5.9」が実際のグレードだろうと思われます。
松虫草(5.11a)
TR。ナガシマ氏もヨーコさんも一撃はならなかったものの、短時間でRP。私も触ってみましたが、右上のガバから先に手を伸ばすことができず、短時間でギブアップ。
マリリン(5.9)
そのままでは悔しいので、「松虫草」の右隣にある「マリリン」をMOS。最初の一歩が細かいですが、後は癒し系です。

その後、ナガシマ氏とヨーコさんは一段目の左端にある「鷺草」(5.11c)にトライし、ナガシマ氏はテンション混じりでトップアウト、ヨーコさんはTRで完登、私は触らず。

それにしても寒い!寒気が入ってきたためか、ちょうど小川山の上空にふたをするように灰色の雲が広がってきており、三枚重ねでウェアを着ていても震えがくるほどです。

断続的に雨や霰が降り始める中、フィックスロープで際どく守られた踏み跡を辿って三段目に上がり、「Let Me See」(5.11a)へ。ここはヨーコさんが見事にFLしました。その後、私も触るつもりでヨーコさんをロワーダウンしかけたのですが、折しも雨がしっかりと降り始めたためにここで終了。ヨーコさんに登り返してもらって終了点を回収した後、ほうほうの体で駐車場へ戻りました。

テントの中での一人夕食は、例によってたっぷり野菜(ヨーコさんのアドバイスでとろけるチーズ乗せ)、コンビーフ、お酒、主食はカップ焼きそば。いい気持ちになって19時頃に就寝しました。

2018/10/21

■-14:25 廻り目平

昨日の日中の寒さから夜は眠れないのではないかと思っていたのですが、持参した厳冬期用のシュラフがさすがに暖かく、ぽかぽかで眠ることができました。

5時半にテントの外に這い出して、昨日金峰山荘から調達しておいた薪に火をつけました。「買ってきた薪で焚火をするというのは、クライマーとしてどうなんだ?」という非難の声がどこからともなく聞こえてきたような気がしましたが、昨日の雨で薪集めの時間がなかったことを言い訳にさせてもらいつつまったりと朝食をとり、しかる後にギアの取捨選択を行いました。今日はヨーコさんの希望もあって、マルチピッチの人気ルートである屋根岩2峰の「セレクション」を登ることにしています。

昨日とは打って変わってすばらしい快晴!錦秋の遊歩道を少々道に迷いながら歩いて2峰の末端に着いてみると既に先行パーティーが登り始めており、我々が準備をしている間にも続々と人が集まってきました。

1ピッチ目と2ピッチ目はヨーコさんのリード。1ピッチ目は2峰の舳先の右側の5.8のクラックがメジャーなラインのようですが、『日本100岩場』のトポに本線として書かれている左サイドのラインから取り付きました。ヨーコさんは危なげなくビレイ点に着いてナガシマ氏と私を引き上げてくれましたが、後続してみるとトポにあるような「5.5」というグレードではない模様(帰宅してから『日本マルチピッチ』を見てみたら「5.7」になっていました)。続くダイヤモンドスラブ(5.8)は傾斜が寝ていて易しいと言えば易しいのですが、途中のピンが少なくランナウト核心です。

3ピッチ目は泥臭いアルパイン風のピッチ(IV級)なので、私がリード。チョックストーンの下をくぐってからバックアンドフットでずり上がり、テラスへ。

続く4ピッチ目も私のリードで、クラックから短いフェース、そして顕著なチムニーを登る立体的なピッチです。『日本100岩場』では5.7(『日本マルチピッチ』では5.8)とグレーディングされていますが、先行の2パーティーがことごとく出だしのクラックとその次のフェースで苦戦し、ヌンチャクをつかんでのA0でかろうじて抜けていたので「そんなに難しいのか?」と緊張しながら取り付くことになりました。

まず出だしに手前の木も使って一段上がってからキャメロット#3を決め、右肩をワイドクラックの中に入れてずり上がれば、そこそこ安定した態勢を作れます。クラックの上部で#1で保険をかけてからさらに一歩上がったところで、クラックの出口にあるしっかりしたホールドをつかまえることができ、ここでハンガーボルトに手が届きました。そこから左のフェースに脱出した後にしばし試行錯誤しましたが、浅いバンドを左へ一歩移動するとフェースの上のガバカチを両手でとることができて、気合いで乗り上がればこのピッチの核心部は終了。チムニーはホールド豊富で不安を感じることなく、途中でキャメロット#0.75をひとつとっただけで登り切ることができました。

チムニーを抜けた後もしばらくロープを伸ばしたのですが、ふと気がつけば最上部にあるはずのトラバースのラインは左下、そして行く手を見ればすぐそこが終了点のようです。本当はナガシマ氏にここから左へ2ピッチを担当していただく予定だったのですが、どうやら私はロープを伸ばし過ぎたらしい……と思い込んでそのままナガシマ氏を先頭にあっさり上へ抜けてしまったのですが、後で「おがわやまだより」のトポを見たところピッチを切った場所は正しく、そこから左下のルンゼへ下降するのが本来のルートだったようです。これは明らかな予習不足……反省です。

ともあれ、登り着いた2峰のてっぺんは素晴らしい展望台になっていて、抜けるような青空の下に周囲の岩峰や色づいた木々を見渡すことができて最高の気分。隣の3峰の「南稜レモンルート」のダイクトラバースにかかろうとしている男女ペアの様子を遠目に見物することもできました。

下りは、登ってきた場所から反対側にある新しいラペルステーションから50メートルロープ2本をつないでワンピッチ。降りる方向を間違えるとロープの末端が地面に届かないという事態になる(なりかけた)ので、なるべく山側(壁に正対して左寄り)に向かって降りるのがポイントです。そして降り立ったところから取付きまではほんのわずかの下りで、その気になればクライミングシューズのままでも歩けるほどの近さでした。

デポしておいた荷物を回収し、錦秋の明るい林の中を駐車場へと戻ります。途中にある「石の魂」をはじめ、あちこちのボルダーに大勢の若者たちが取り付いていましたが、この賑わいもあと半月ほどで終わり、やがてあたり一帯は冬を迎えることになるでしょう。

久しぶりの小川山は、雨にも降られましたが楽しい二日間でした。ヨーコさん、ナガシマさん、ありがとうございました。次はアイスクライミングで、そして来年の夏になったらまた小川山で、ご一緒しましょう。そのときは、今回ルートミスをした「セレクション」をしっかり完登したいものです。