塾長の山行記録

芦安上荒井沢 トリコルネ

概要:久しぶりに芦安上荒井沢の氷瀑へ。これまで毎回横目で見ながらスルーしていた「トリコルネ」を登る。

日程:2018/02/28

山頂:---

分類:南アルプス / アルパイン

同行:セキネくん

林道の奥、右手に現れたトリコルネ。いよいよこいつを片付けるときが来た。(2018/02/28撮影)
下から見上げると傾斜が緩やかに思えるが、「見ると登るとは大違いの法則」はここでも有効だった。(2018/02/28撮影)

芦安の奥、上荒井沢の氷瀑には2015年の1月から2月にかけて三度足を運んでいますが、その都度スルーしていたのが一番手前にあって一番見栄えのするトリコルネです。今回、セキネくんと共にこの滝を片付けることにしました。

2018/02/28

■07:20 桃の木温泉 ■08:10-10:30 トリコルネ ■11:10 桃の木温泉

大月駅で23時にセキネくんと合流し、甲府盆地に移動して「道の駅しらね」泊。翌朝、コンビニで温かい朝食をとってから桃の木温泉に向かいました。

比較的最近林道が崩落したために、車道は桃の木温泉のところで通行止め。車をその手前の広場に駐めて歩きましたが、崩落地点は河原に降りれば何の問題もなく先に進むことができました。

やがて道は沢筋を渡渉する箇所に差し掛かりますが、ここで不用意に飛び石をしようとした私は、凍った石に足をとられてすってんころり。したたかに尻を打って痛い思いをしました。それでもどうにか歩行可能だったのでそのまま道を先に進むと、歩き出して1時間もかからずに懐かしのトリコルネが見えてきました。「トリコルネ」の語源はおそらく三角帽子(Tricorne)で、その名の通り正面から見ると綺麗な三角形をしているのがこの滝の特徴ですが、こうして見たところでも氷は頂点までしっかりつながっており、上々のコンディションであるようです。

トリコルネの前の沢を渡って左岸に上がり、氷瀑のすぐ近くの平地で身繕いを始めたところ、突然目の前の崩落斜面が小規模な岩なだれを起こしました。慌てふためいて落石をかわし事なきを得ましたが、天気予報でも今日から明日にかけて気温がぐんぐん上がることになっていますので、この岩なだれは単なる予兆に過ぎません。もっと早く行動を開始すべきでした。

荷物を少し離れた岩陰にデポして、私のリードで登攀開始。出だしのスカート状の斜面は氷が硬くて割れやすく、傾斜は緩やかでも慎重にアックスとアイゼンを決めながら登りましたが、中間部から先は氷が柔らかくなってアックスがよく効きます。足の置き場も豊富で、傾斜が立ってきてもさほど困難を感じることはなかったのですが、それにしても長い。なるべく引っ掛けを駆使して腕力の保持に努めたのですが、ところどころで氷の凹凸に挟まり抜けなくなったアックス(ノミック)への対処に四苦八苦している内にパンプしてきてしまいました。

全長約30mの最後に待っている立った10mは、腕が力を失いかけると精神安定剤代わりにスクリューを入れてから両腕を交互にシェイクすることを繰り返し、そのためにずいぶん時間をかけてしまいましたが、どうにかテンションをかけることなくトップアウトすることができました。やれやれ、助かった。

落ち口の左手(右岸)すぐの灌木に残置スリングと残置カラビナがあり、セルフビレイをとってからセキネくんを確保。フォローのセキネくんが上がってくるのを待ちましたが、太陽の動きにつれて日差しがこのルンゼの上流に当たるようになり、緩んだ土や岩がぱらぱらと落ちてくる音が続きます。やがて上がってきたセキネくんに聞くと、ビレイ中もひっきりなしにやってくる細かい落石を右に左に避けなければならなかったそうです。

懸垂下降で取付きへ。最初はお互いにリード&フォローで登ってから、時間を見ながらラインを変えてさらに登ってみようという計画だったのですが、この落石ではそれは無理です。セキネくんがリードで一本登ったところで、フォローなしで直ちに懸垂下降してもらって店じまいすることになりました。

スピードアップのために下部のスクリューは省略し、いいペースで登ってゆくセキネくん。落ち口手前で余裕の足ブラ(?)を見せる場面もありましたが、これまた問題なくノーテンで抜けていきました。懸垂下降のラインが右岸側に寄っているため、長身のセキネくんをもってしても下降しながらのスクリューの回収には少々手間取りましたが、それでもどうにか無事に帰還。しかし、セキネくんのその姿を見上げている間にも滝の左右の斜面でパラパラ・ガラガラと不気味な音が響いており、まるで「早く帰れ」と急き立てられているようです。

結局、私はリードで一本登っただけ、セキネくんはフォロー+リードで二本登っただけで、明るい春の日差しに照らされだしたトリコルネを後にしました。そんなわけで本数的にはまったく不本意でしたが、ともあれ自分の中でずっと宿題になっていたトリコルネを登ることができたのは一応の成果です。セキネくん、お疲れ様でした。