塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

裏同心ルンゼ

日程:2017/12/24

概要:裏同心ルンゼをF5まで登り、同ルートを下降。

山頂:---

同行:かっきー

山行寸描

▲F3は階段状。ここですれ違った4人パーティーの他は誰もいない、静かなクライミングだった。(2017/12/24撮影)
▲F5の向こうに大同心。部分的に立っているが、アックスがよく利いて気持ち良く登れた。(2017/12/24撮影)

昨年10月に谷川岳で負傷したかっきーの復活シリーズ第2弾。沢登りの方は丹沢の大山でめでたく復帰を果たしましたが、沢がOKならアイスクライミングも……というわけで、今年の1月にも登っていて気楽な裏同心ルンゼをチョイスしました。

2017/12/24

△06:05 美濃戸口 → △06:55-07:00 美濃戸 → △08:35-09:25 赤岳鉱泉 → △09:50 裏同心ルンゼF1 → △11:30-40 裏同心ルンゼF5の上 → △12:45 裏同心ルンゼF1の下 → △13:05-35 赤岳鉱泉 → △14:35-40 美濃戸 → △15:15 美濃戸口

前日、栃木県の佐野での出稼ぎ仕事を終えたかっきーが私の自宅まで来てくれて、小淵沢の道の駅に24時半に到着。4時半まで仮眠をとってから、美濃戸口に向かいました。かっきーの4WDならそのまま美濃戸まで入ることもできたと思いますが、大事をとって美濃戸口からアプローチを開始しました。

峰ノ松目沢は遠目によく凍っているように見えました。ここも今年の1月に登っていますが、そのときはアイスクライミングだかラッセル訓練だかわからない状態だったので、いずれ再訪問したいところです。そして目を前方に転じれば、見慣れた大同心。しかし、これをかっきーが「キングコングの背中」と形容したのには目からうろこでした。なるほど、言われてみればゴリラの背中と頭のようにも見えてきます。

赤岳鉱泉に到着。アイスキャンディもいい具合に太っています。かっきーが持参した巨大ヤスリを貸してもらってアックスとアイゼンの先端を研いで、準備万端整いました。「家で研いでこいよ」というツッコミは甘んじてお受けします……。

さあ行こう!ばっちりついた踏み跡に導かれて裏同心沢の奥へ進むと、よく凍ったF1が現れました。高さはさほどではないし傾斜も緩いので、ロープは出さずに登ることにしました。

かっきー復活の図。足首をひねる動作はまだ痛みがあるようですが、正対でガシガシと登る分には何ら支障がないようです。

F2からロープを出して、私がリード。F2と続くF3は、今年の1月と似たり寄ったりの凍り具合でした。この二つの滝の間で上から降りてきた4人パーティーとすれ違いましたが、これがこの日の裏同心ルンゼで出会った最初で最後のパーティーとなりました。

F4はほぼ雪の下。そしてF5は左半分が柔らかいドーム状の氷になっていて、水が滴っています。「これが最後だけど、リードする?」とかっきーに水を向けてみましたが、やはり足が痛むということで辞退されて私のリードです。

F5はピンポイントでつらら状のバーティカルな箇所がありましたが、その上にアックスがばっちり決まるので問題なく、気分良く登れます。そして落ち口左の少々不安定な箇所にある支点にセルフビレイをとって振り返ると、背後には御嶽山や乗鞍岳が純白のスカイラインを見せていました。

帰路は、後続パーティーがいないことと急な尾根道の下りによる足への負担を考慮して同ルート下降としました。整備された支点ばかりではなく、灌木の幹に巻いただけのスリングも駆使しての懸垂下降の連続。この頃から徐々に青空が広がり始め、誰もいない沢の中でぽかぽかと日に温められると、つい気分が良くなって「スペシャルドリンク」に手が出てしまいます。

赤岳鉱泉に帰り着いて、これでリハビリ登攀は終了。Congratulations!! 後は美濃戸口までの歩きやすい道をひたすら飛ばすだけでした。

かっきーとのアイスクライミングの帰路に就きものは、なじみのとんかつ屋さん「美味小家」です。毎冬通っていたかっきーが昨冬は顔を出さなかったので御主人とお内儀さんは心配して下さっていたそうですが、負傷〜入院〜リハビリの顛末を話すと合点がいった様子で、お内儀さんにいたってはお客が少ないことをいいことに、我々の横に座り込んでかっきーの武勇伝に聞き入っていました。

さて、ほぼ2年ぶりの訪問でしたが我々の専用箸は健在でした。もちろん、とんかつ(かっきーは厚切りロースかつ定食、私は厚切りヒレかつ定食)のおいしさも不変。ひと冬空けた埋め合わせに、この冬は「美味小家」に足繁く通いたいものです。というわけで、かっきー、引き続きアイス同行よろしく。

この日、かっきーの使い込まれた感のある装備たちに混じって、オレンジ色のスクリュー=PETZLレーザースピードライトが一人燦然と輝いていました。これは彼の快気祝いに私がプレゼントしたものですが、登攀中に試しに使わせてもらってその性能に愕然としました。氷への食いつきが良く、ハンドルも抵抗なく回していける上に、とにかく軽い。かっきーも私も安さ重視でBlack Diamondのエクスプレスを揃えているのですが、一度このレーザースピードを使ってしまうと、その誘惑に勝てそうにありません。

やはり山はお金の力で登るんだなあ……と2人で慨嘆しながら、しかしこの時点でペツルに魂を売り渡すことが決まってしまっていました。