塾長の山行記録

春日渓谷 春日ルンゼ

概要:アイス始めとして、蓼科山北麓の春日渓谷へ。春日ルンゼをF4まで登ってから、同ルート下降。

日程:2017/12/13

山頂:---

分類:八ヶ岳 / アルパイン

同行:セキネくん

春日ルンゼF1羽衣の滝。セキネくんナイスリード。(2017/12/13撮影)
春日ルンゼF2からF4まで。良好な結氷でよいトレーニングになりました。(2017/12/13撮影)

今シーズン初アイスはどこにするか……。セキネくんとの当初の意見交換では八ヶ岳のジョウゴ沢の氷瀑や赤岳鉱泉のアイスキャンディでのトレーニングも候補に上がっていたのですが、Facebookで山友ミネコさんがアップしていた春日ルンゼの結氷良好情報を見て、こちらに向かうことにしました。春日ルンゼはセキネくんは初めてですし、私もF2までしか登ったことがないので、かっこうの課題となりそうです。

2017/12/13

■11:30 鹿曲川林道ゲート ■13:20-17:00 春日ルンゼ ■18:15 鹿曲川林道ゲート

快晴の空の下、かっきーと春日渓谷に向かうときの定番ルートである蓼科仙境都市側からアプローチしようとしたのですが、なんと美笹湖から少し上がったずいぶん低い場所でこちらの道が通行止めになっていました。これは予想外。

仕方ない、トポに書かれている春日温泉側からアプローチするかと気を取り直したのですが、ここから迷走が始まります。いったん道を下って尾根を越えて西側の谷筋に入り、ついで林道を上流に進んだのですが、ところどころにある段差を越えるたびに車高の低いセキネくんのフィットは車の底を打ち付ける始末。しかもずいぶん登ったところでGPSで現在地を確認すると、どうやら本来の谷筋よりもずいぶん手前の谷を詰めてしまったようです。

最初からしっかり春日温泉に達しきってから谷の奥を目指せばよいのに、尾根を横断するたびに「今度こそ」と間違った道を辿っては引き返すことを繰り返すうちに、徐々にお日様の位置が高くなってきてしまいました。それでもどうにか鹿曲川かくまがわの谷筋に入ることができ、今度こそと林道を詰めていきます。

やがてゲートが出てきて、車はここにデポ。装備一式を背負って、雪に覆われた林道鹿曲川線をえっちらおっちら登ります。この林道はかつては有料道路だったそうで、仙境都市を経て大河原峠に達するラインが続いていたようですが、今では整備が追いつかず廃道状態。ところどころに残る妙にきれいな「蓼科仙境都市」の看板が往時を偲ばせます。

途中にある用途不明の孤立した廃屋や、春日渓谷滝めぐりコースの案内板が諸行無常を思わせる中、2時間近くも歩き続けるうちに、行く手の空にはどんどん雪雲が広がってきました。

やっと春日ルンゼの入り口に到着。F1を初めてみるセキネくんは意外なその立派さに驚いていましたが、ともあれ手早く準備をすませて登攀開始です。

F1=羽衣の滝は春日ルンゼの中で最も高さのある滝で、中間部がかなり立っています。今シーズン、既に裏同心ルンゼや南沢小滝で腕ならしをすませているセキネくんにリードをお願いしましたが、セキネくんは中央やや右寄りの膨らんだ氷柱状のラインを選び、慎重にスクリューを決めながら落ち着いた動きで登っていきました。続いて私も後続しましたが、なにしろ11月はほとんどクライミング練習をしていなかったので、あっという間に前腕がパンプしてしまいました。それでも何度か腕をシェイクしながらどうにか落ち口の上へ抜けることができたのですが、そこで襲ってきたのは強烈な手先の痛みです。これもアイスクライミングのシーズン初期ではよくあることですが、重いアックスを頭上で振り続けていたことによる血行の悪さから解放されたとたんに血流が戻ったことで手先がじんじんと痛み、思わず悲鳴をあげてしまったほど。

続くF2は私のリード。左が階段状、右が短い氷柱状で、もちろん右から取り付いたのですが、先ほどのパンプが残っていて思うようにスクリューやロープを操作することができません。テンションこそかけなかったものの、途中で一本スクリューを落としてしまい(後でセキネくんが回収)、恥ずかしい思いをしました。

F2の上に出てしばらくロープを伸ばしたところから見上げると、右手(左岸)には支流からの滝がつらら状に垂れていましたが、F3は正面奥の緩やかな傾斜。ここをセキネくんがなんということもなく登った先の沢筋を奥へ奥へと詰めてゆくと、そこそこ立派なF4が現れました。しかも、見れば階段状でフレンドリーな雰囲気。

ここは私のリードで上へ抜けましたが、この頃からようやくクォークのヘッドウェイトを活かしたスイングができるようになってきたのを感じました。しかし相変わらずスクリューの操作にもたついているほか、かかとが上がってしまってふくらはぎが張る感覚があり、まだまだ勘が戻っていないことを痛感します。

F4を登った先にも谷筋は続いていましたが、主だった氷瀑はこれでおしまいのはず。一段登ったところにある高さ2メートルほどの氷の壁にスクリュー2本で支点を作って後続のセキネくんをサポートし、彼が上がってきたところでただちに下降にかかることにしました。この時点で既に16時近く。ヘッデン下山は必至です。

F4の上は右岸、そこから下は滝ごとに左岸の支点を用いて懸垂下降と歩きを交互に繰り返し、最後のF1の下降を終えてルンゼ入り口に降り着いたのが16時40分。どうにか明るさが残っているうちに車道に戻ることができました。

デポしてあったザックはすっかり雪に埋もれ、うらめしげな様子で我々を待っていました。そしてギアを整理し、装備をザックに戻し、行動食のジャムパンを分けあってテルモスのお湯を飲み、さて帰るかと立ち上がったときにはもう真っ暗。それでも、廃道になっているとはいってもさすがに車道は歩きやすく、1時間余りでゲートに戻ることができました。

アプローチでの思わぬもたつき(ナビをしていた私の責任です……)で時間をくってしまい、私はセキネくんと別れた甲府から終電で帰宅することになってしまいましたが、やはりこの時期に春日ルンゼで練習できてよかったと思いました。復活させなければならない腕の力や背中の力、取り戻さなければならない身体の使い方とギア操作の感覚、慣れなければならない新兵器の取り回しなど、いくつもの課題を見つけることができて、収穫の多い半日でした。