塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

南沢大滝

日程:2016/03/08

概要:南沢大滝でのアイスクライミング。セキネくんはリード2本、私はリード1本とフォロー1本。

山頂:---

同行:セキネくん

山行寸描

▲南沢大滝全景。滝の手前の斜面がナメ氷になっている光景は初めて見た。(2016/03/08撮影)
▲左端のラインを見上げたところ。立ってはいるものの手掛かり足掛かりには困らない。(2016/03/08撮影)

土曜日の醤油樽に続いて火曜日のこの日は会社を1日休んで南沢大滝へ。不定期休のセキネくんに合わせての山行ですが、さすがにちょっとお疲れモードです。

2016/03/08

△09:00 美濃戸口 → △09:50-10:05 美濃戸 → △11:25-15:10 南沢大滝 → △15:15 南沢小滝 → △16:15-20 美濃戸 → △17:00 美濃戸口

大月駅で7時に待ち合わせてセキネ号に拾ってもらい、双葉SAで朝食をとってから美濃戸口へGO。

美濃戸口から美濃戸までは歩きを選択しましたが、もしかしたらセキネくんのフィットでも入れたかも?というくらい雪も氷もない道をのんびり歩いて、南沢沿いの道に入ると今度はきれいに氷のコーティングがされた登山道の歩きとなりました。こういうところはチェーンスパイク(モンベル製)が威力を発揮してくれます。

やがて南沢大滝への分岐が近づくとさすがに雪が多くなり、その中にナメ氷のミニ滝も見えて期待が高まってきます。分岐から一般登山道並みに歩きやすい雪の中の踏み跡を辿ると、まず右手に発達した南沢小滝が見えてきました。おっ、これは状態がいいのでは?と思いながら左に進むと、南沢大滝の下の沢筋はきれいなナメ氷に覆われていました。どうやら日曜日に降った雨が雪を溶かしてしまったようです。先行していたのは早くも下山を始めていたソロの男性と、男性ガイドに連れられた女性の計3人。さらに我々の後ろから男女3人組がやってきましたが、どうやら彼らはコリアンのようでした。

水がしたたる音を聞きながら滝の下に進みラインを探りましたが、久しぶりに見る南沢大滝は足元の雪がなくなってその高さがまるまる見えているために巨大に映ります。しかもこの日の気温の高さで右半分は氷が半分溶けかけたような状態ですが、中央と左端は乾いて(?)いそう。先行のガイドパーティーが中央の立った凹角を採用していたので、最初にリードした私はその左の凹角を登ることにしたのですが、傾斜が急になるところから2mほど登ったところにスクリューを決めて上を見上げるとほとんど雨のように水滴が落ちてきていて、バイザーが水滴に覆われて前を見ることができなくなりました。仕方なくそこからロワーダウンで降りた私とリードを交代したセキネくんは、私が登ろうとしたラインのさらに左側を登っていきましたが、どうやらそちらは水滴の攻撃を受けることがないらしく、途中で何度か腕をシェイクしながらじわじわと高度を上げてついにTOしていきました。

懸垂下降で降りてきたセキネくんは、私がロワーダウン時に使ったスクリューも回収して戻ってきました。そこまではトップロープ状態で登り返させてもらえるかと思っていたのに、なんて無慈悲なんだろう()。

仕方なく覚悟を決めて再びリード。セキネくんと同じラインを辿りましたが、今度は我ながら落ち着いて登ることができました。アックスは力を入れなくても軽く打っただけで決まりモノポイントのアイゼンも体重をしっかり支えてくれて、おかげで前腕のパンプもほとんどなく肘が開きだす前にTOすることができました。

落ち口の先にある残置スリングをたくさん巻きつけられた灌木を使って懸垂下降。上から見下ろすと、改めてこの滝の大きさが実感できました。

もう1本行ってみる?という誘いに乗ってセキネくんは、今度は中央のラインをリード。こちらは先ほどのラインよりも立っており、部分的にはかぶって感じられる上に、最後は左へトラバース気味に抜けることになったためにスリル満点の奮闘となりましたが、それでも粘りに粘って再びTO。彼がアイスクライミングに取り組んだのは実質的にこの冬が初めてだというのに、大したものです。

時間の都合で私はスクリューを回収しながらのフォローとしましたが、かぶって感じられる箇所もノミックだと問題なく決まり、これまたほとんどパンプを感じることなくさくさくと登れました。これは楽しい!4年前に初めてこの滝をトップロープで登ったときはひどいパンプに苦しんだものですが、どうやら昨秋から続けてきた上体の筋トレの効果がここにきて出てきたようです。そしてもう一つ、新調したばかりのノミックのグリップレストの角度を調整して自分の手のサイズにぴったり合うようにしてきていたおかげで、握力をずいぶん節約することができました。やはりアイスは道具、そして道具はチューニングしてこそ初めて性能を発揮してくれるものだということを強く実感しました。

2人分のスクリューやクイックドローを所狭しと身の回りにぶら下げてチンドン屋さんのような状態になってビレイしてくれていたセキネくんの所に達した後、懸垂下降で滝の下に戻る頃には、ガイドパーティーもコリアンパーティーもいなくなっていました。さらに気が付けば、暗い雲が空を覆い始めており下山を促しているようです。

軽く行動食をとってから下山を開始。帰り際に南沢小滝に立ち寄ってみましたが、こちらもアプローチがナメ氷になっており、小滝の高さのすべてが露わになっていて立派です。これならまだしばらくは余裕で登り続けられそうな雰囲気ですが、今シーズンここに再び来る機会は多分ないでしょう。また来年よろしくお願いします。

美濃戸に下り着いたところで一息つきましたが、実はセキネくんの登山靴は登り始めのときからソールが剥がれかかっている状態で、八ヶ岳山荘でもらったテープで応急処置をしてのクライミングでした。最後までもってくれた登山靴に心から感謝。迷わず成仏して下さい。