塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

岩殿山

日程:2015/04/12

概要:大月駅から岩殿丸山公園を経由して岩殿山頂へ。そこから一旦少し下って稚児落し経由、大月駅へ戻る。

山頂:岩殿山 634m

同行:---

山行寸描

▲下界から見上げる岩殿山。これだけ駅から近くにある山も珍しい。(2015/04/12撮影)
▲中腹の岩殿山丸山公園。さくら祭りの最中だった。(2015/04/12撮影)
▲稚児落し。ボルトキットとアブミを持って来ればよかった(嘘)。(2015/04/12撮影)

中央自動車道を甲府盆地に向かうと、大月あたりで右上に見上げる位置に立派な岩壁を聳えさせているのが岩殿山です。その見栄えに加えて戦国時代にこの地を支配した小山田氏の居城があった要害の山でもあったという歴史的興味もあり、機会を作って一度は登ってみたいものと思っていましたが、ちょうど週末の天気が日曜日のみハイキング日和となったためこの山に登ることにしました。

2015/04/12

△10:40 大月駅 → △10:55-11:00 岩殿山丸山公園 → △11:15 岩殿山 → △12:10 天神山 → △12:25 稚児落し → △13:10 大月駅

事故のために山手線が止まっていたので、井の頭線で吉祥寺に出て三鷹から特急「かいじ」に乗り大月へ。車内にはハイカーと大陸系外国人の姿が目立ちます。

岩殿山は大月駅のホームからも見えていて、まず道に迷う心配はありません。駅前の道を左(東)に向かい、踏切を渡って山に向かえば車道が山の中腹を緩やかに右上していて、その途中から山道に入ります。少し上がったところに山門があり、その前の小広い位置から早くも白い富士山の姿が見えてきました。

すぐに着いた岩殿山丸山公園はさくら祭りの最中で、まだまだ見事な桜を眺めることができました。

公園内の小高い位置から大月市街を見下ろすと、その向こうにはやはり富士山、そして振り返れば岩殿山の岩壁が見事に立ち上がっていました。道はここからジグザクに山の中腹を駆け上がっていくことになります。この日は高曇りですが気温は汗ばむほどで、この登りですっかり暑くなってしまいました。

登山道の途中から見上げると、つるりとした岩壁がかなりの角度で立ち上がっています。その高度差はおよそ150mですが、実は礫岩で脆くクライミングの対象にはしにくいようです。

自然の岩を門として用いた「揚城戸」を過ぎればわずかの登りで頂上部に出られて、そこからほぼ水平の歩きを少しで展望の良い山頂に着きました。山頂には石碑と案内板、それに東屋があり、先ほどと同様に大月市街やその先の富士山の展望も抜群です。

さらに近くには広場もあって、大勢のハイカーがシートを広げて弁当をつかっていました。この辺りの平坦地は城の一部としてさまざまな施設が置かれていたらしく、そこに何があったかを説明する標識が随所に立っています。さらに先に進むと「烽火台」とされている高い場所があって、おそらく先ほどの「山頂」よりもこちらの方が標高が高いように思えるのですが、あいにく通信施設に占拠されていて山の風情は著しく損なわれていました。

山頂から元来た道をいったん途中まで下って、分岐から西方向へ縦走開始。目的地は稚児落しと呼ばれる岩壁です。よく整備されて歩きやすい登山道を下り、南北から道が上がってきている筑坂峠を越えて緩やかなアップダウンを繰り返すと、小さな鎖場が出てきました。

さほど難しくはありませんが、逆方向からの下りになれば緊張するであろう程度には難しい鎖場を越えると、ツツジがきれいに花をつけていました。この後も何カ所かでこのピンクの花に癒されることになります。

やがて岩壁の中腹につけられた細いバンドを渡る場所に着きました。先ほどの鎖場でも渋滞していましたが、こちらは向こうからやってくる登山者がいてさらに待機時間が長くなりました。しかしバンドの山側には手すりやロープが設置されているので、落ち着いて渡れば危険はありません。このバンドを渡り、さらに鎖を頼りに急なガリーを登ると、再び歩きやすい縦走路になりました。

しばらく進んだ先の展望が開けた場所から振り返ると、岩殿山がもう遠くなっていました。さらに先を急げば、岩殿山の岩壁に勝るとも劣らない稚児落しの岩壁が見えてきました。

「稚児落し」という物騒な名前は、武田勝頼を裏切ったために処刑された小山田信茂の側室・千鳥姫が岩殿山城を脱出してここまで来たときに赤子が泣き出したため、追っ手に気付かれることを恐れた家臣が赤子を取り上げてこの断崖から投げ落としたという伝承に由来するのだそうです。そんな悲しい伝承も知らばこそ、ハイカーの皆さんはここでも三々五々シートを広げてランチとおしゃべりに余念がない様子でした。

稚児落しからはおおむね緩やかな下り道が下界を目指しており、車道に出たらGoogleマップの力も借りて大月駅を目指すだけ。最後に跨線橋の上から再び岩殿山を眺めて、これで2時間半の山旅は終了です。

このコースは見所がコンパクトにまとまっている上に、気持ちの良い高度感を終始味わうことができ、そして展望にも恵まれていて素晴らしいハイキングルートでした。ただし標高が低いので、夏は避けて桜の時期か晩秋に登るのが良さそうです。

今回の山行の目的の一つは、先日購入したアプローチシューズの足慣らし(靴紐の締め方に改善の余地がありますが気分良く歩けました)、そしてもう一つはGoProのテストでした。いつもGoProはバッテリーのもちの悪さに泣かされるのですが、今回は思い付いてiPhone用に購入してあったモバイルバッテリーをウエストポーチに入れてケーブルでつないだ状態でチェストハーネスに装着してみました。

結果はご覧の通り、山行の最初から終わりまで撮影が途切れることはなく、しかも終了時点でGoPro本体もモバイルバッテリーも残存エネルギーにはまだまだゆとりあり。寒さの影響を管理できれば、この手はさまざまな山行で応用がききそうです。