南沢大滝

日程:2014/02/25

概要:アルパインガイド保科雅則氏のルートガイドで、南沢大滝でのアイスクライミング。トップロープで3本。

山頂:---

同行:保科雅則ガイド

山行寸描

▲南沢大滝の登攀ライン。(2014/02/25撮影)

2014/02/25

△10:00 美濃戸 → △11:25-15:15 南沢大滝 → △16:00 美濃戸

この日は尾白川流域の平田ルンゼでマルチピッチの予定でしたが、この冬の豪雪でアプローチの林道は雪の下。このため、一昨年にも登った八ヶ岳の南沢大滝へ転進することになりました。

八ヶ岳もご多分に漏れず大雪で、美濃戸山荘の張り出した屋根は雪の重みで今にもつぶれそう。大丈夫かな?と心配しながら南沢沿いの道を進み、開けたところで前方を眺めると、阿弥陀岳は降雪に見舞われている様子でした。

南沢小滝の近くにテントが1張りあり、寛いでいる単独のクライマーと少し言葉を交わしてから懐かしの南沢大滝へ。相変わらずでかい!とりあえず滝のすぐ下の右岸に荷物を置いて身繕いをし、まずは保科ガイドがトップロープを張るために中央のラインを登っていきました。離れたところから見ると傾斜がないようでも真下に立ってみるとかなりの急角度であることはその動きからわかり、しかも気温の低い日が続いていたのか氷はずいぶん硬いらしく、保科ガイドは「硬い」「スクリューが入らない」「手が冷たい」と静かにぼやきながら登って行きました。

続いて私が同じラインをTRで登りながらランナーを回収していったのですが、氷は本当に硬く、アックスを二度三度と力をこめて打ち込まないと刺さりません。あっという間に握力が失われ、何度も腕をシェイクしながらどうにか上まで登ったのですが、ロワーダウンで下りてきたときに前腕に痺れと痛みが走りしばらくは口もきけない状態でした。

この日は私の他にもう1人のクライアントがいて、中央と右寄りとをTRで各自3本登りましたが、彼も氷の硬さとパンプとに負けて2本目は途中でギブアップ。3本目も離陸後わずかでロープにぶら下がりました。そのつらさ、わかりますよ。

保科ガイドが最後に登り支点を回収してこの日のプログラム終了。プロだから当然と言えば当然ですが、どうすればこんなにさくさく登れるようになるのだろうか。

ところでこの立派な南沢大滝は、数年前に中央に溝ができて水流がそこばかり流れるようになったためにボリュームが1/3くらいになったことがあり、ガイド有志が滝の上で土嚢を積むなどして左右に幅広く水が流れるようにしたのだそうです。ということは、この滝は半人工の滝ということ?保科ガイドは「昔に戻しただけですから」と涼しい顔でしたが……。

帰りがけに南沢小滝を偵察してみたところ、氷はかなり発達している上に、その表面に水が流れているのでさらに発達する可能性大。3月下旬にここへ来る予定なので、そのときが楽しみになってきました。

登山道に戻ったところでこの日は赤岳鉱泉に泊まるというもう1人のクライアントと別れて、私は下界へまっしぐら。美濃戸山荘まで戻ると、つぶれそうだった屋根の上に人が乗って雪下ろしの最中でした。