塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

広河原沢右俣クリスマスルンゼ

日程:2014/01/02-03

概要:アルパインガイド保科雅則氏の保科クライミングスクールの講習で、初日は長野県川上村の岩根山荘に設置された人工氷瀑=アイスツリー、2日目は広河原沢右俣クリスマスルンゼでのアイスクライミング。

山頂:---

同行:保科雅則ガイド

2014/01/02

山行寸描

▲講習会風景。懐かしのアイスツリーに今年もお世話になります。(2014/01/02撮影)
▲ドライツーリング壁。前は上まで登れたのに今年は腕が張ってしまって登れず。なぜだ?(2014/01/02撮影)

△10:30-16:30 岩根山荘

この季節のおなじみとなった岩根山荘のアイスツリーで、保科ガイドの講習会に参加しました。受講メンバーはアイスを登り込んでおられる女性のMMさんとアイス初めての男女3人、それに私の計5人。そんなわけでMMさんと私がペアを組み、保科ガイドは残りのメンバーの面倒を見るという形になりました。

午前中はトップロープでひたすら登り、アックスやアイゼンの使い方の感覚を高める練習を重ねましたが、こうしてバーティカルな氷を登ってみると自分がいかに足に立てていないかがよくわかります。1本目は無事に上まで登れましたが、間をおかずに取り付いた2本目以降は腕がすぐにパンプしてしまってテンションをかけること二度三度。あかん。

薪ストーブのある食堂でぽかぽかとしながら昼食の後、まずはかぶったドライツーリング壁で2本。これもきつかった!下から上まで6枚のパネルのうち3-5枚目がかぶっているのですが、4枚目に入ると途端に腕が張ってきて登りきれませんでした。

その後は今回持参した新兵器=自前スクリューを取り出し、トップロープで疑似リードの練習をさせてもらいました。スクリューの入りの良さは新品だから?しかし登り終えてスクリューを残したままロワーダウンしてから見上げてみると、スクリューの間隔が短か過ぎるような気もします。保科ガイドは「適切なところに入れてあると思います」と言ってくださいましたが……。

やがて日が翳り始めたところでこの日の講習は終了です。小淵沢駅まで送ってもらって解散となりましたが、MMさんと私は翌日のルートガイドに参加するのでそのまま美濃戸口の八ヶ岳山荘へ移動しました。

八ヶ岳山荘の食事はご覧のような豪華版です(さらにお汁粉と甘酒も)。生ハムは自分で削ぎ落としていただくシステムですが、ここで初めて生ハムというのは欲を出して分厚く切ると噛み切れなくなるものだということを知りました。何やら教訓的です。

2014/01/03

山行寸描

▲広河原沢右俣クリスマスルンゼ大滝の様子。下段は真ん中が水が流れているのに左端はやたらに堅く、上段の中央の凹角は登り込まれているのか階段状。(2014/01/03撮影)
▲長い長いトップロープ。引くのが大変。(2014/01/03撮影)

△06:45 舟山十字路 → △10:05-14:10 広河原沢右俣クリスマスルンゼ → △15:55 舟山十字路

八ヶ岳山荘では前日から合流していたTHさんと当日朝に車でやってきたSKさんを加え、朝6時すぎに出て車で舟山十字路へ移動。ここで前もってハーネスをつけておいて、広河原沢の奥へと足を進めました。

阿弥陀岳を正面に見ながら最初は林道、途中からは沢筋につけられたトレースをひたすら歩くと、周囲の雪景色はとてもいい雰囲気で歩くこと自体を楽しめるアプローチでした。左俣と本谷を分ける平坦地あたりに1張りテントがありましたが、これはクリスマスルンゼでご一緒することになる大分パーティーのものだということが後でわかりました。

本谷をさらにしばらく詰めて、右90度に分かれる岩の門のようなところが右俣の入口です。ここでアイゼンを履いてさらに奥に入ると小さな氷の斜面や数mの氷瀑があり、前者は難なく直登、後者は右から巻き上って越えていくと、前方右手(左岸)にクリスマスルンゼ出合の青い氷瀑が見えてきました。

出合から見上げるクリスマスルンゼの大滝60mは2段になっており、下段はややなだらか、緩傾斜帯をはさんだ上段は傾斜が立っていて、左半分は未発達のつらら状ですが右半分はしっかり壁になっていました。まずは保科ガイドと私とでマルチピッチの要領でトップロープ掛け。下段の中央には水が流れており、その右側を大分から車で来たという根性の入った3人パーティーが使用していたので左側の立体的な壁を狙うことにしましたが、保科ガイドが打ち込むアックスが簡単には決まらず、氷が相当に堅そうだということがわかりました。上段手前の緩傾斜帯で支点を作った保科ガイドに呼ばれて私も後続しましたが、確かに堅い!それでもスクリューを回収しながら下段を抜けてプチラッセルをこなしながら保科ガイドのところに達し、引き続き上段を登る保科ガイドのビレイに入りました。氷瀑の上でスクリュー1本でビレイ態勢に入った保科ガイドのコールを受けて後続してみると、中央の凹角のラインは今期登り込まれているらしくアックスを差し入れる穴がいくつも空いていて足も階段状。これなら私でもリードできるかも。

トップロープのセットに要した時間は1時間余りで、この間、残りのメンバーは取付で寒い思いをしながら待っていたのですが、ここから後はお待ちかね、交替でのクライミングとなりました。2本のロープをつないで2ピッチ分を一気にトップロープにしたためにビレイヤー1人ではロープを引ききれないので全員で協力し合いながらビレイしましたが、おかげで皆ぽかぽかです。時間の都合で1人2本ずつ、ラインを変えての登りで終了となりましたが、2本目に登った右寄りのカンテ状氷柱の左側面は最初に登った凹角より角度が立っているもののアックスの利きは悪くなく快適でした。これはぎりぎりリードできるかどうか……いや、たぶん途中でアックスにテンションかけることになるな、きっと。

クリスマスルンゼで4時間ほど登った後、元来た道を舟山十字路に戻りました。アイスクライミングももちろん楽しかったのですが、広河原沢の穏やかな雪景色の中の歩きはとても癒し系。ほっこりした気分での帰路でした。