岩根山荘アイスツリー

日程:2012/01/21-22

概要:長野県川上村の岩根山荘に設置された人工氷瀑=アイスツリーを用いたアイスクライミング講習会。主催は岩根山荘で、ジャパン・アルパイン・ガイド組合がガイドを出し、ミレー / モンチュラ / ダックスが協賛。

山頂:---

同行:ジャパン・アルパイン・ガイド組合

山行寸描

▲講習会風景。大変勉強になりました。(2012/01/21-22撮影)

アイスクライミングは10年ほど前に2シーズン学習したことがあるのですが、その後は縁がないままに今日に至っていました。ただ、いつかはアルパインアイスのルートにも登ってみたいという気持ちはずっと持ち続けており、そのためにはアイスクライミングの学習を再開しなければと思っていたところ、ふとしたきっかけで岩根山荘で開催される講習会が目に止まりました。1泊2日の講習会で宿泊費コミ21,000円、しかも講師はジャパン・アルパイン・ガイド組合(JAGU)の精鋭ガイドの皆さん。これは安い!と飛びついたのが昨年11月上旬のことです。

2012/01/21

△11:00- 岩根山荘

新宿8時発のスーパーあずさと小海線を乗り継いで、信濃川上駅に10時38分着。そこから岩根山荘の送迎バスに乗って岩根山荘へ移動。参加者は30名強と大賑わいです。最初に食堂でJAGUの篠原ガイドによるオリエンテーションと鈴木昇己さんの挨拶があり、あてがわれた部屋で昼食&身繕いをしてから山荘の敷地内に聳えるアイスツリーの前に集合しました。

私が属する班を担当したのは国際山岳ガイド長岡氏で、1954年生まれということですが、精悍さとユーモアとを併せ持った親しみやすいガイドでした。そして長岡ガイド曰く「私の教え方では『打たない・蹴らない』がモットー」とのこと。氷壁のポイントに一方のアックスの刃先をぽんと入れたら足をそのアックスの鉛直線上に入れ、ついで手を伸ばしたまま腰の位置を動かさずに両足を上げて、アックスを持つ方の肩を引き下げながら伸び上がって反対の腕を上に上げるというのが基本。伸び上がったときにきれいな二等辺三角形を作るのが理想ですが、そのために繰り返し言われていたのが「絞る」という言葉で、膝を絞り、肘を絞り、身体を絞って、ムーブで登る=省エネで登るのが長岡メソッドです。他のガイドの班を見るとガンガン・ガシガシと景気よく氷を打ち砕きながら登っていて、実際本番ではそうせざるを得ない場面もあるのですが、長岡ガイドは「まず壁に相対したら『打たない・蹴らない』と唱えて下さい」という教え方でした。なるほどやってみると、最初に腕を伸ばしたまま足をセンターに入れる動きは普段ボルダリングジムで慣れているダイアゴナルの動きに近く違和感がありません。

小雪が降る中でひとしきりこの方法で登る練習をし、その後に肩にアックスをかけてレストをする練習、ついでハングの乗り越しなどの際に行う、両腕を平行に上げてから両足を高い位置まで移して伸び上がり次の手を出す「モンキー」の練習をして、この日の講習は終了しました。

風呂に入ってさっぱりしてからの夕食はおいしく、かつ凄い量で満足です。しかし、夜はこれで終わりではありませんでした。

広間に移ってのパーティーでは、ビールとつまみをいただきながらガイド陣との懇親の場が設けられ、さらにその後に大ジャンケン大会がありました。これは鈴木昇己さんと全員とのジャンケンで、勝ち抜けた者から順に前に出て用意された賞品の中から気に入ったものをゲットする仕組みです。このジャンケンがなかなか勝てず、数次にわたる対決の末、結局ブービーメーカーになってしまいました。そういえば、お正月に引いた御神籤には「争事・勝てない」とありましたが、確かに……。しかし、その最下位でもミレーのランニング用Tシャツをいただけました。

さらにサプライズとして、この日講師を勤めたJAGUの8人のガイドの講習を5,000円割り引いてくれるクーポン(年内有効)が全員に配られました。

2012/01/22

△-16:15 岩根山荘

暖かい部屋でぐっすり眠って、目覚めてみれば肩や腕が筋肉痛。「長岡メソッド」が身に付いていない証拠です。ともあれ、朝食を済ませて荷物を広間に移動させてから、2日目の講習が始まりました。

前夜しんしんと降っていた雪はやみ、青空が広がる下でまずは昨日のおさらいで1本登り、ついで足で登る感覚を確かめるためにアックス1本で壁の途中まで。次にクロスムーブの練習もしましたが、クロスで出したアックスの下へ身体を返しながら入れて安定させるところはやはりボルダリングなどと同じ。こうしてみると、アイスクライミングはフリークライミングの親戚なのだなという感じがしてきます。違いがあるとすれば、アイスクライミングのホールドはオールチッピングというところ?

片手でぶら下がって(もちろんトップロープ)スクリューをねじ込む練習もしましたが、ぶら下がっているだけで腕が張ってしまい、その度に作業を中断してレスト。要修行です。

最後にCLIMBUBUのフラミンゴをお試しで振ったところ、カーボンシャフトで軽いのにヘッドが絶妙のウェイトバランスで刺さりが良く、確かに凄さを実感できました。その代わりお値段も相当なものらしく、品薄でもあってなかなか手に入らないそうです。いい経験をしました。

これで講習会は終了。全員で集合写真を撮って解散です。

10年ぶりのアイスクライミングは楽しく、しかしやはり難しく、引き続き経験値を高めようと思わされました。そしてこの講習会は冒頭にも書いたように断然お買い得です。今冬は引き続きいくつかの講習を受講するつもりですが、来年もこの講習会があれば(今年は2回目)ぜひ参加しようと思います。

ところでこの講習会の中で、長岡ガイドと講習参加者の1人が、異口同音に私の顔を見て「どこかで以前お会いしましたか?前回(昨年)のこの講習に参加していましたか?」と言ってきたのですが、なんで?私の方には記憶がないんですが……。