塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

笛吹川久渡沢ナメラ沢

日程:2004/05/22-23

概要:ナメラ沢を遡行して稜線に抜け、雁坂小屋泊。翌日下山。

山頂:---

同行:えびさん夫妻 / にょんまい夫妻 / きむっち / ケイ氏 / タカダ氏

山行寸描

▲最初に出会う立派な滝。右壁を直登することもできるし、右端から上がることも、左(右岸)のしっかりした巻き道で巻くこともできる。(2004/05/22撮影)
▲ナメ滝が続く。歩く人、滑る人、駆け上る人とさまざま。(2004/05/22撮影)
▲ボコボコ滝。この先徐々に沢の幅が狭まって、やがて源頭部へと傾斜を強めていく。(2004/05/22撮影)

Web仲間のえびさんからの「ヘル沢2004、お願いします」というお誘いに乗って、えびさんと旦那さんのかばさん、にょんまい夫妻、きむっち、ケイ氏、タカダ氏、そして私の8人という大所帯で奥秩父のナメラ沢へ行くことになりました。私はにょんまいカーに同乗させていただいて金曜日の真夜中に雁坂トンネルの料金所前にある駐車場に到着し、3人で缶ビールで前祝い。他のメンバーもそれぞれ車でこの場所を目指し、土曜日の午前6時に集合ということになっていました。我々の後にえびさん・かばさん、そしてきむっちも到着し、間違えて手前の道の駅に駐めていたケイ氏とタカダ氏もなんとか無事に合流できて、いよいよ出発です。

2004/05/22

△06:45 雁坂トンネル料金所前駐車場 → △07:25 沓切沢橋 → △13:05-25 稜線 → △14:40-45 雁坂峠 → △14:55 雁坂小屋

登山道は甲州側から見て右側の駐車場から奥に入口があり、しばらくの間はきれいに舗装された林道が続きます。やがて沓切沢橋から土の登山道となり、数分の登りで道にいきなり「ナメラ沢へ」と書かれた標識が出てきます。ここでまいまいさんにモデルになってもらってアイドル撮影会(?)をやった後、左の斜面へ急下降。降り立った河原で身繕いをして、本格的な遡行の開始です。

最初に沢筋を下り、100mも行かないうちに右岸の河原を横断すると右から流れているのがナメラ沢。右へ大きく曲がって最初に現れる滝は立派な壁状で、台風2号の影響でここ数日続いていた雨のせいか豊富な水量で水を落としています。一見して右岸に高巻き道が見てとれましたが、さらに滝に近づいて見ると右壁を直登することも右端を詰め上げて越えることも可能です。この滝の上のゴーロ帯をしばらく歩くと右に中ノ沢を分けてナメラ沢は左へ曲がっていき、やがて立派な15m滝が現れました。最初水流の左を1段登りそこから横断して右へ渡ろうと考えたものの水勢が強過ぎて足を踏み入れるのはちょっと困難だったので、そのまま水流の左側を凹凸を拾って登りましたが、こちらもけっこう楽しめました。この上はナメやナメ小滝が続いて、次に出てきたのが10m2条ナメ滝。ここもなかなか楽しいところで、中央から突破しようとすると滑りやすいのですが、1段低くなった右寄りから入るとすたすた登れてしまいます。15mS字状ナメ滝は傾斜が極めて緩やかで難なく登れますが、健脚ランナーのケイ氏はなんとここをきれいなランニングフォームで駆け上がってしまいました。

それにしても、ナメとナメ滝の区別がつきにくいため遡行図が役に立ちません。だんだん自分たちがどこにいるのかわからなくなってきましたが、元祖ヘル沢事件を経験しているにょんにょんさんと私は「どうせ最後は稜線に着きますよ。何時になるかは別として」「そうそう、心配することはないよね。もろい涸滝さえ出てこなければ」などと物騒な会話を交わしていました。

遡行開始から1時間半ほどのところで大休止。あいにくのどんよりした空の下ながら小さい焚火なぞも熾してゆったりしてからさらに遡行を続けましたが、ここから途端にえびさんのペースが落ちてきました。どうやらウイダーinゼリーの効用を過信したためのシャリバテ(?)らしいと後で判明するのですが、足がなかなか前に進みません。沢の方は大休止をした場所からさらに立派なナメを過ぎてだんだん幅が狭まり、傾斜がきつくなって滝もごろごろになってきました。今日のナメラ沢はかなり上の方まで水が枯れずに続いていたようですが、とうとうはっきりと源頭部の様相を示して左右に踏み跡を分けるところで2度目の大休止としました。時刻は11時半くらいです。

ここからは沢筋の左の笹の中に踏み跡が続いていますが、我々は構わずそのまま沢筋を詰めることにしました。ガイドブックによってはここからの急斜面を「地獄のツメ」と形容しているものもあるため、念のためパーティーを二つに分け、きむっち・タカダ氏・にょんまい夫妻の先行組とえびさん・かばさん・ケイ氏・私の後行組としました。先行組には雁坂小屋へ飛ばしてもらって食事とビールを確保する使命が与えられ、後行組は「一人ヘル沢状態」のえびさんを護送するのが任務です。特に健脚のケイ氏には、後行組が稜線に着いたところで伝令となって先行組に後行組の小屋到着予想時刻を伝えていただくこととしました(そこからついた渾名が「狼煙のケイ」)。

……と、ここまで周到にフォーメーションを組んだにもかかわらず、ここからえびさんが奇跡の復活を果たします。さすがに先行組には追いつかないものの、かばさんのサポートもあってコンスタントに高度を上げ、奥秩父らしい針葉樹と苔の樹林帯を抜けてやがて樹相が変わってきたと思ったら案外早く稜線の登山道に登りつきました。心優しい先行組も待ってくれていて、ここで8人全員が揃って遡行を終了することができました。

後は一般登山道を今宵の宿・雁坂小屋まで歩くだけ。先に登山道に着いていた先行組に一足先に出発してもらってから、後行組もはっきり雨模様となってきたため雨具に着替え、えびさん夫妻は登山靴、ケイ氏はトレイルランニングシューズ、私は久しぶりに登場のゴム長靴を履いてその後を追いました。

雷鳴に肝を冷やしたりしながらもかなりの速度で歩みを進め、ガスで展望ゼロの雁坂峠から左に下って小屋に到着したところ、うれしいことに小屋では盛大にストーブが焚かれており、その上には縦横に針金が渡してあって濡れた衣類を乾かすことができました。濡れものの始末をひと通りつけてから、ストーブの周りで何はともあれ缶ビールで乾杯!お疲れさまでした。この後、各自持ち寄ったつまみでビールが進んだ上に、きむっちが黒糖焼酎とホッピー(!)、ケイ氏が日本酒・八海山の四合瓶をリュックサックから取り出したために宴会はさらにヒートアップしました。

途中でレトルトカレー&うどんの夕食をはさみながらも宴会は続き、なぜか少女漫画やSFの話題が飛び交うなか、まずきむっちが「ちょっと30分だけ寝ます」と言ってそのまま永遠の眠りにつき、ついで一番盛り上がっていたまいまいさんも電池切れのようにごろりと寝入ってしまいました。

20時の消灯時刻には全員部屋に引き上げ、そのまま爆睡モードに入っていきましたが、えびさんとにょんにょんさんは23時頃まで話し込んでいたのだとか。タフだな〜。

2004/05/23

△07:30 雁坂小屋 → △07:45 雁坂峠 → △09:05 沓切沢橋 → △09:40 雁坂トンネル料金所前駐車場

「朝ごはんだよー!」という小屋のおじさんの声で目が覚め、昨夜のアルコールが残っているのを感じながら外に出て顔を洗いました。相変わらず雨〜ガス模様ですが、奥秩父の深い森にはそれも似つかわしいと思えます。朝食をとり、ゆっくり準備をしておじさんに挨拶をしてから風情ある雁坂小屋を後にし、峠へと登り返しました。あいにくの天気のために雁坂峠からの広闊な眺めを皆に見せてあげられないのは残念でしたが、峠を越えたらほとんど休みなしにジグザグ道を下降し、増水した峠沢沿いから徒渉の後緩やかな山腹の道を淡々と歩くとずいぶん早く沓切沢橋に到着して、ここから駐車場まではほんのわずかでした。

駐車場に降り着いて握手をかわし、無事に山行終了。皆で「笛吹の湯」に立ち寄ってさっぱりし、解散しました。天気には恵まれませんでしたが、豊かな水量のナメラ沢は意外に躍動感にあふれていていい感じでした。また機会を作って皆でどこかへ行きたいものです。