塾長の山行記録

塾長の山行記録

私=juqchoの登山の記録集。基本は癒し系バリエーション、四季を通じて。

朝日連峰縦走

日程:1994/08/10-12

概要:大石橋からカクナラ小屋経由で稜線に上がり、大朝日岳へ。大朝日小屋に1泊した後、以東岳を越えて一気に大鳥池へ抜け、翌朝泡滝ダムへゆっくり下山。

山頂:大朝日岳 1871m / 以東岳 1771m

同行:ユウコさん

山行寸描

▲平岩山方面からの大朝日岳。優しく気高い姿は絶品だが、最後のアルバイトは意外にシビアだった。(1994/08/10撮影)
▲大朝日岳を裏から見る。すっきりとした円錐のすぐ足元に大朝日小屋。(1994/08/11撮影)
▲以東岳から振り返る縦走路。はるか中央奥のピラミッド状のピークが大朝日岳。(1994/08/11撮影)
▲以東岳から見下ろす大鳥池。熊の敷き皮のような池の形がユニーク。(1994/08/11撮影)

◎「飯豊連峰縦走」からの続き。

1994/08/10

△08:40 大石橋 → △09:55 カクナラ小屋 → △10:55-11:00 大玉沢 → △13:00-15 蛇引の清水 → △14:40-50 稜線 → △16:00-15 平岩山手前の水場 → △18:35-40 大朝日岳 → △18:50 大朝日小屋

前夜の宿・奥川入荘からバスで小国駅、そこからタクシーで8,390円で大石橋へ入り山行開始ですが、出だしの吊り橋のケーブルが錆びておりいきなり私が手のひらを切ってしまいました。

さらにこの後沢沿いの道を進むと2カ所で鉄線橋に出会い、1回目は難なく下の堤を渡れましたが、2回目はどうしても鉄線橋を使わなければなりません。この鉄線橋というのはあやとりの梯子のようなつくりの上の線に手を掛け、下の線に足を乗せて横に進むのですが、手本を示すために先に渡った私は平気なのに、後に続くユウコさんは泣きそうな顔で「コワ〜イ!」を連発しながら恐る恐る空中を渡ってきました。ここを渡ったところで山菜採りらしき人を見掛けましたが、これが今日小屋に着くまでに見掛けた最後の人になりました。

水量の多い大玉沢から道は急上昇を始め、一気に稜線を目指します。途中一度尾根筋を左に外れて水場に導かれましたが、その後は前にも増した急登となり、強烈な暑さとともに体力を極度に消耗させられました。やっとの思いで、祝瓶山からの道が合する、日差しから身を隠すもののない合流点に着き小休止をとったところ、駅で買ってきていたカルピスソーダがぬるま湯になっていたのには驚きました。

ここからようやく稜線通しで山歩きらしくなりましたが、なにしろ暑さがこたえます。平岩山手前の水場もわずかに滴が垂れるのみで、ポリタンクに水をためるのにずいぶん時間がかかりました。しかし、平岩山の稜線部に出たところから眺める大朝日岳はすっきりと高く大きく実に立派。大朝日岳の写真というと西朝日岳方面からのものが多いのですが、こちら側からの方がはるかに絵になるという印象です。

岩礫帯を進み、崩れやすい急斜面を登り詰めてやっとの思いでその大朝日岳の山頂に着きました。既に夕日が雲間に隠れる間際で我々の他には誰もおらず、風の音と鳥の声を聞きながら振り返って今日のアルバイトの標高差=1450mを噛みしめました。

山頂から下り着いた小屋は清潔で意外にすいていましたが、私は胃がむかついてグロッキー。スニッカーズと白湯だけで夕食を終了しました。

1994/08/11

△06:15 大朝日小屋 → △06:25-30 金玉水 → △07:45-08:00 西朝日岳 → △09:00-15 竜門小屋 → △10:35 寒江山 → △11:15 三方境 → △11:25-13:25 狐穴小屋 → △15:50-16:00 以東岳 → △16:55-17:00 ウツボ峰 → △18:40 大鳥小屋

早朝、御来光を仰ぐために大朝日岳に登り返すと雲の間からのスダレ状の日の出となりましたが、後ろには遠く飯豊連峰、左前方には月山が眺められました。

小屋に戻って朝食をとり、身支度をして2日目の行程の始まりです。小屋からすぐの雪渓の手前にある金玉水は寒河江川の源流になりますが、立ち寄ってみたところ豊富な水がパイプから噴き出していました。

西朝日岳からは村上の市街から日本海までが眺められ、南隣の飯豊山脈の石転ビ雪渓もはっきりとわかり、そして北には縦走路が延々と続いていました。

立ち寄った竜門小屋は清冽な水が引かれている清潔な小屋ですが、この山地は稜線上のどの小屋もきれいに整備され、しかも水に困ることがないのが助かります。さらに緩やかなアップダウンの稜線をひたすら歩き狐穴小屋に辿り着いたところで大休止として、涼しい小屋の中でフリーズドライのガーリックリゾットの昼食をとり、1時間ほど昼寝をしました。

以東岳の斜面にはっきりと朝日軍道の跡を認めながら、道は山頂へ続きます。日差しが柔らかくなってきた頃に以東岳山頂に到着して振り返ると、今日一日で歩き通した稜線のはるか向こうに大朝日岳のピラミッド形の姿がパラマウント社の映画のタイトルバックのように見通せました。一方、行く手には熊の敷き皮のような大鳥池が見下ろせましたが、だいぶ水位が下がっているのか岸辺は地肌に縁取られています。最後のピークとなるウツボ峰からは、日本海が夕日に染まり沖合いに粟島が浮かんでいるのが見えていました。そしてへとへとになって到着した大鳥小屋はずいぶん新しい作りのきれいな小屋で、管理人がおりビールやジュース、酒が買えました。キャンプ客も多く、屋外でバーベキューをしている若者や池で釣りをする家族連れが賑やか。日が落ちて暗くなった戸外でレトルトのカレーを食べ、2階の板の間にシュラフを広げましたが、シュラフを敷き布団代わりに使い上には何も掛けなくても快適に眠ることができました。

1994/08/12

△06:30 大鳥小屋 → △09:15 泡滝ダム → △09:25 泡滝ダムバス停

大鳥池から流れ下る大鳥川に沿って緩やかに下る道での下山は、途中で冷たい清水を飲んだり、夏バテ気味の子ネズミを見掛けたりと案外退屈せずに歩くことができました。3時間ほどでバス停に着いた後、バスを乗り継いで鶴岡へ出て駅前のワシントンホテルに投宿しました。

◎「出羽三山」へ続く。