大兵馬俑展

2004/10/02

上野の森美術館で「大兵馬俑展」を見ました。

1974年に西安で農民によって発見された兵馬俑は、発掘が進むにつれて、始皇帝陵を取り囲む広大な地域に死後の始皇帝のための永遠の都=陵園が広がっていたことがわかってきました。兵馬俑坑は始皇帝陵から1.5km離れた場所にあり、およそ8000体が埋められていたものと考えられていますが、発見から30年たっても発掘されているのはまだその一部に過ぎません。この展覧会では、兵馬俑を中心に出土品の数々を展示して、始皇帝の陵園の全体像を明らかにしようとしています。

何体もの兵士や馬の俑が集合している様子が再現されたコーナーでは、ごく間近で長身(180cmくらい)かつ精悍な秦の兵士の表情や衣服を見ることができますが、先陣をつとめ軽装で駆け回る命知らずの兵士たちや、立派な鎧や冠を身につけた将などが居並ぶさまは壮観です。見れば確かにひとりひとり顔立ちが異なっており、顔のかたちやひげ、表情がそれぞれ個性的。しかも、どの表情にも強壮を誇る秦帝国の兵士としての誇りが感じられます。また、将兵だけでなく、文官(袖手し、腰に文書の誤字を削る小刀を下げています)や技芸人の俑もありました。兵馬俑以外では、宮殿の床を覆っていたという装飾的なタイル(煉瓦)が綺麗で、これが敷き詰められていたさまは本当に美しかっただろうと想像されます。これらはいずれも約2200年前の世界を再現したものであり、その頃日本は弥生時代に入ったばかりですから、彼我の開明度の差は想像を絶するものがあります。もっとも、地中海世界なら大理石がふんだんに使われるところでしょうが、黄土を焼成した俑というのがいかにも中国。

一階の最終コーナーでは8分程のビデオを放映しており、実際の兵馬俑坑の様子を見ることができますが、見渡す限りずらりと兵馬俑が立ち並んでいる迫力はやはり本場ならでは。実際の兵馬俑は、さまざまな民族(蜀系・匈奴系・西域系など)出身の兵士がそれぞれの特徴をもって表現されているようです。また、兵馬俑ファッションチェックのパネルも面白く、かぶりものや髪型、ひげ、鎧、服、靴などの違いが詳細に説明されています。さらに兵馬俑坑のミニチュアも置いてあって、これはオークション形式で展示終了後に販売されるのだそうです。美術館もさまざまに営業努力をする時代になったのだな、と妙に感心。

ともあれ、ひと通り見終わっての感想は、「こりゃ、やっぱり西安まで本物(今回見たのも本物ではありますが)を見に行かなくては」でした。

見終わった後に立ち寄った売店で売っていた絵葉書が、なんだかヘン。いかにも中国っぽい絵柄の絵葉書が売られているはずというこちらの期待(?)を見事に裏切って、車の中からフロントガラス越しに見る変色した風景、乾いた光沢のエスカレーター、モノトーンの景色の向こうにエッフェル塔。ところが、そのいずれにもひっそりと、あるいは堂々と兵馬俑が立っています!車のハガキはバックミラーにちらりと兵馬俑の顔が写っているし、エスカレーターで降りてくるのも、エッフェル塔の前でポーズをとるのも兵馬俑。ハガキの裏を見ると「兵馬俑 ラウンド・ザ・ワールド」シリーズなのだそうですが、これは中国4千年のユーモアセンスなのでしょうか?どの絵葉書も欲しかったのですが、最もアバンギャルドと思える一枚を買い求めました。

兵馬俑 ラウンド・ザ・ワールド / ストリートのブラザーたちと(左端の人物(?)に注目)