King Crimson

2000/10/05

King Crimsonのライブ。最新作『The ConstruKction Of Light』をメインに据えてのツアーです。

プログレ界の至宝、「栄光の」King Crimsonは、結成以来既に30年を超えてなお進化し続けるモンスター。「21st Century Schizoid Man」などを含む名盤『In The Court Of The Crimson King』(通称『宮殿』)で1969年に鮮烈なデビューを飾ったKing Crimson(このときのベース兼ヴォーカルは後にEmerson, Lake & Palmerを結成するGreg Lake、キーボード兼管楽器は後にForeignerを結成するIan McDonald)は、1970年代のプログレッシヴ・ロックの代表的な存在でしたが、特に、あのJohn Wetton(凄いベーシストでした)とYesから移籍したドラマーBill BrufordにヴァイオリニストDavid Crossを擁して1973年に『Lark's Tongues In Aspic』(邦題『太陽と戦慄』)を発表した「後期」King Crimsonはファンの圧倒的な支持を集めました。自分が中学生のときに部室で初めて耳にして本当に戦慄したのも、『太陽と戦慄』の中の「Exiles」と「Easy Money」です。

月日は流れて、今回来日のメンバーはRobert Fripp(G)に、Trey Gunn(Warr Guitar)、Pat Mastelotto(Ds)、そして1980年代の再結成以来バンドを支えてきたAdrian Belew(G,Vo)というラインナップ。ここにはBill BrufordもTony Levinもいないけれど、Frippが「King Crimsonだ」といえばそれはKing Crimsonの音楽なのです。

渋谷公会堂の一階前から6列目右サイド真ん中寄り(Frippの真正面)という絶好のポジションに座ったのは定刻19時の20分前。ステージ上は真ん中奥にドラムが聳え、前列は向かって左からTrey、Adrian、Frippというセットになっています。定刻を少し回って会場が暗くなり、うっすらと青く照らされたステージに4人が姿を現わすと拍手喝采が湧き、その中で4人は円陣を組んでなんとも脱力系の気合のポーズ。心得たもので、King Crimsonのファンは無節操に立ち上がったりはしません。彼等の音楽は演奏する方も聴く方も極度のテンションを要求されるので、しっかり座席についたまま頭と肩だけで変拍子についていくのが正しい聴き方です。1曲目は何からくるか興味津々でしたが、いきなりノックアウトの「Vrooom」、ついで大好きな「Frame by Frame」。この後は新作からの曲を中心に6人Crimsonの『THRAK』収録曲や80年代Crimsonの曲を交えて約2時間のステージとなりました。Frippは例によって椅子に座っての演奏で、そのギターはあるときはシンセサイザーをコントロールし、あるときは激しいディストーション・サウンドで高速リフを紡いで圧倒的な存在感でした。逆に今回はAdrianのギターの音量が抑え気味で、例の「ゾウの鳴き声」もちょっと物足りません。前回観たダブル・トリオでのライブではTony Levinの陰に隠れてほとんど音が聞こえなかったTrey Gunnも今日はちゃんと参加しており、またPatのドラミングはパワフルかつ凄い手数でびっくりさせられました。そんな中でも特に聴衆を驚愕の坩堝に叩き込んだのが最新作からの「FraKctured」。Frippのギターのクリーンなトーンでの高速リフが途中で暴力的なディストーションサウンドに変わり、ネックの下から上まで機械のような運指で駆け上がっていくのを見つめながら、その音圧とスケールの緊張感に声も出せずに聞き入ってしまいました。

アンコールの1曲目はAdrianのアコースティックギター1本による「Three Of A Perfect Pair」。続いて入れ代わりに残りの3人が出てきて1曲。いったん引っ込んでから今度は4人で「Dinosaur」の後に、もうおしまいかな?と思っていたらAdrianが「続けてやろう!」といった素振りを見せて聴衆が大喜びし、演奏されたのがなんと鳥肌ものの「Red」。メタルクリムゾン宣言でもあり70年代クリムゾンの最後の輝きでもあるインストの名曲です。それまでは曲が終わり切るまでじっと聴いて静かになったら拍手していた聴衆も、この曲では終わり切る前に大歓声。ついに立ち上がってバンドに敬意を表し、これでめでたく大団円かと思っていたら、最後にもう1曲ボーナスがありました。およそKing Crimsonの曲とは思えない明るめかつシンプルなリズムのロック曲で、実はDavid Bowieの「Heroes」。この曲のレコーディングにRobert Frippが参加していたことからの選曲らしいですが、最後の最後にリラックスして身体を動かせるこの曲をもってきた心憎い演出に、にやりとさせられました。

ミュージシャン

Robert Fripp Guitar
Adrian Belew Guitar / Vocals
Trey Gunn Warr Guitar / Bass
Pat Mastelotto Drums

セットリスト

  1. VROOOM
  2. Frame by Frame
  3. The CostruKction Of Light
  4. Cage
  5. Into The Flying Pan
  6. FraKctured
  7. ProzaKc Blues
  8. Seizure
  9. Thela Hun Ginjeet
  10. Lark's Tongues In Aspic Part-IV
  11. CODA: I Have A Dream
  12. Elephant Talk
    -
  13. Three Of A Perfect Pair
  14. The Dicepetion Thrush
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  15. Dinosaur
  16. Red
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  17. Heroes