塾長の鑑賞記録

塾長の鑑賞記録

私=juqchoの芸術鑑賞の記録集。舞台も絵も和風好き、でもなぜか音楽はプログレ。

汪蕪生展 天上の山々

2000/07/01

恵比須の東京都写真美術館で、汪蕪生の写真展「天上の山々」。4月18日から始まって本当は6月18日までの予定でしたが、好評につき7月16日まで会期が延長されたものです。

汪蕪生は中国安徽省生まれ。祖国の黄山をモチーフにモノクロ写真で心象風景を描き続け「山水写真」という独自のスタイルを確立した写真家です。会場に展示された写真の大半も黄山を撮ったもので、最初に一回りしたときには単調に感じられたのですが、もう一度会場をゆっくり歩いてみるとある傾向をもって画風が変化してきているのがわかりました。最初はまさに山水画そのままで、霧に煙る岩山に松柏類の樹木をアクセントにしてぼうっとした景色が描かれ、岩肌は黒く焼き込まれています。ところがしばらく後になると、空気に透明感が出てきて岩肌の厳しさが鮮明に描写されるようになり、また、前景に印象的な樹木が置かれたりするようになっていました。

会場を出て何枚か写真のカードを購入したところ、受付のところに当の汪蕪生氏がいて1枚サインしてくれるとのこと。ラッキー!と喜んでサインしてもらったのが、一番下のカードです。日本に留学していたこともある汪蕪生氏は、流暢な日本語で「ありがとうございます」と言ってカードを渡してくれました。

▲「黄山神韻」。雲海上に浮かぶ黄山はまさに神の領域にある岩山のよう。
▲「天上の山々#52」。前景の木が印象的。これは展覧会全体の中ではかなり異色な作品。
▲サインしてもらったカード。この岩壁は登るルートを探したくなってしまうほど鮮明に写しとられている。