Dream Theater

2000/05/14

Dream Theaterのライブ。最新作『Scenes From A Memory』をメインに据えてのツアーです。

5月14日、横浜は関内のひとつ先、石川町から歩行者天国の商店街をストリートジャズバンドをひやかしながら歩くと港が見える丘公園。これを越してさらにひたすら進むと海沿いの倉庫群の中に横浜ベイホールが現れます。オールスタンディングの会場内はちょうどClub Quattroみたいな感じで予想外に狭く、ステージがさほど高くないため視界が得られません。これはしまった、と思っているうちに定刻になって照明が落ち、効果音が消えると"Close your eyes and begin to relax, take a deep breath."とナレーションが入って「Scenes From A Memory」が幕開け。ステージ上は下手からJordan Rudess(Key)、John Myung(B)、Mike Portnoy(Ds,Vo)、John Petrucci(G,Vo)。そして中央前列にJames LaBrie(Vo)。アコースティックなギターのコード弾きとしみじみとしたヴォーカルによる「Regression」に続いてシンセの重低音がぐ〜んと入りドラムがリズムを刻むと、一転してパワフルな「Overture 1928」に突入します。迫力のリズム隊も分厚い7弦ギターのバッキングも鮮烈なシンセのソロももちろん100%完璧に再現され、聴衆は全員狂喜乱舞。そのまま約70分にわたるこの組曲が通して演奏されました。基本的にはCD通りの演奏ですが、「Through Her Eyes」にギターソロを含むハードなアレンジが施されていたこと、「The Dance Of Eternity」の途中にJordan Rudessのキーボードソロがはさまっていたこと、「Finally Free」の最後にエンディング的なパートが付加されていたことが原曲との相違です。それにしても、このバンドは本当にうまい人たちばかり。他の技巧派バンドでも120%の集中を要するような演奏を、彼等は80%の力でゆとりをもってこなしている感じで、これぞまさにプロの中のプロの演奏です。ドラムのMike Portnoyはドラムセットもキャラクターも一番目立っていましたが、あの複雑なリズムアレンジで両手両足をフルスピードで回転させながら、リズムのタメの部分でスティックをくるくる回したりNeil Peartみたいに放り投げたり。John Petrucciのフィンガリングとピッキングの速さはあらかじめ覚悟(?)していましたが、ライブで見るとJohn Myungも負けず劣らず手が6弦ベースのネック上を縦横無尽に駆け回り、スリーフィンガーピッキングや両手タッピングもさりげなく使われています。James LaBrieのヴォーカルも一部高音が苦しいところがありましたが、広いレンジで音圧のある声を会場に叩きつけていました。そして新メンバーのJordan RudessはCDを聴いているときはどうやって弾いているんだろう、と思っていたフレーズをいとも簡単に片手で、しかも客席に笑顔を向けながらさらりと弾きこなしていて余裕しゃくしゃく。ちなみにキーボードはKurzweil1台だけで多彩な音を弾きわけ、ソロが終わった瞬間にはスクリーンに「Jordan is also available for parties and weddings.」(パーティーや結婚式でのピアノ演奏の御用命も承ります)と出てウケていました。他にも、会場内のモニターには要所要所でストーリーを説明する映像(催眠療法士によるニコラスの夢見への導き、ミラクルによるビクトリアとスリーパーの射殺など)や、ソロをとるJordan Rudess、John Petrucciの手元、真上から見たMike Portnoyのドラムセットなどが映し出されて見通しの悪さを補っていました。

興奮のうちに「Scenes From A Memory」が終わってメンバーが再登場し、ここからはこれまでの名曲のオンパレード。「Puppies On Acid」から「The Crimson Sunrise / Innocence」「Just Let Me Breath」を経て「Caught In A Web」へメドレー。続いて「Pull Me Under」でこの日一番の盛り上がりを見せた後曲は途中から「Take The Time」に移り、さらに数曲を経て、MCが入ってもう終わりかな、と思ったところJohn PetrucciがLed Zeppelin の「Whole Lotta Love」(ライブバージョン)のフレーズを弾きはじめました。James LaBrieが歌詞を一番しか知らなかったので(?)ドラムを代わってMike Portnoyが前に出てきましたが、彼も歌えずあえなく終了。

「Metropolis Part1」が演奏されなかったのは残念でしたが、異常なまでの速弾き、鋼鉄のリズム感など、全楽器究極のテクニシャンを揃えたバンドのライブを堪能し、すっかり熱くなってしまいました。他の客も開演前は会場の構造に「これじゃ見えねー」と不満たらたらでしたが、終演後出口に向かう彼等の口からは「やっぱりすげー」という賞賛の言葉ばかりでした。

しかし、Dream Theaterがライブハウスに毛の生えた程度の横浜ベイホールというのはどうにも納得がいかず、渋谷公会堂での日本最終公演にも乗り込むことにしました。

2000/05/16

5月16日、仕事での外出先から渋谷に回り、公園通りの坂道へ。チケットはないのでダ○屋頼みです。詳しい経緯は省きますが、会場近くで交渉の末一階後方ながら中央寄りで非常に見通しのよい席をゲット。需給バランス次第とは思いますが、この日の○フ屋の粗利は8割に達していたことを知りました。しかし、やはりこれくらいのハコに入るとステージ上にゆとりがあり、メンバーはよく動き回って聴衆をあおっていましたし、照明・音響とも段違いによく、十分ラウドでありながら音の分離が申し分ないため、「Scenes From A Memory」の中でのそれぞれの楽器の見せ所がより鮮明になっていました。

大迫力の「Overture 1928」のド派手なリフとユニゾンに続くシンセのソロが聴衆をノックアウトし、続く「Strange Deja Vu」ではJames LaBrieのパワフルなヴォーカルと大音量のバスドラが強烈。ピアノをバックにした短く静かな「Through My Words」に続いてMike PortnoyとJohn Petrucciがコーラスに加わる「Fatal Tragedy」は歌詞の一部がスクリーンに出るので聴衆も一緒に歌います。ブレイクに続いて全速力のハードリフで始まる「Beyond This Life」ではJames LaBrieの最高のシャウトが素晴らしい!その後シンセとギターのソロの応酬があり、そのまま静かなストリング音を伴うギターソロコーナーを経て打ち込みのドラムをバックに情感豊かに歌われる「Through Her Eyes」へ。James LaBrieの切々としたヴォーカルに、ガウンを羽織って袖から出てきたMike PortnoyとJohn Petrucciが仲良く一つのマイクでコーラスを重ね、ファルセットでのスキャットの間にドラム台に戻ったMike Portnoyがリズムを入れてハードなアレンジに転換しました。暗転後、不思議な雰囲気と力強さをもつ「Home」は会場全体が揺れるように歌い、リボンコントローラーを巧みに駆使した狂気のようなシンセソロと負けず劣らずのギターソロに続いてワンコーラスのヴォーカルが入って、複雑怪奇なリズムのユニゾンからインストゥルメンタルの「The Dance Of Eternity」へ突入します。ここはCDを聴いていたときは必然性を感じられなかったパートですが、目の前で信じられないような演奏を見せつけられるとひとつの山場であることが理解されてきます。あまりにも複雑過ぎて聴衆がついていけず呆然とするしかないところですが、途中からJordan Rudessのピアノソロに変わり、鍵盤を上から下まで使いまくった速弾きの合間に「きらきら星」を交え(横浜では「トルコ行進曲」でした)、続いていかにもプログレキーボーディストらしいシンセ音での技を駆使して喝采を浴びてから「The Dance Of Eternity」に復帰し、この日のステージ中唯一John Myungが前に出てきてスリーフィンガーピッキングでの速弾きを披露しました。そしてタイトなリズムと荘大な雰囲気のヴォーカルが聴ける「One Last Time」、この組曲の中で最大の盛り上がりを見せる「The Spirit Carries On」の大合唱と続き、長かった組曲もエピローグ的な「Finally Free」の最後にMike Portnoyが雷鳴のようなドラムを存分に聴かせて、CDにはないエンディングパートで締めくくられました。

アンコールの曲目は14日の横浜よりも多く、「Pull Me Under」の前に「Peruvian Skies」などが演奏され、最後はやはりJames LaBrieがドラムセットへ移り、降りてきたMike PortnoyがJohn Myungのベースを奪ってステージの左端、ついで右端でJohn Petrucciとのバトルごっこ。終わってみれば横浜よりも30分程長い2時間30分のステージとなって、大枚をはたいた甲斐がありました。

ミュージシャン

James LaBrie Vocals
John Petrucci Guitar / Vocals
Jordan Rudess Keyboards
John Myung Bass
Mike Portnoy Drums / Vocals

セットリスト(2000/05/16)

Scenes From A Memory

  • Regression
  • Overture 1928
  • Strange Deja Vu
  • Through My Words
  • Fatal Tragedy
  • Beyond This Life
  • Through Her Eyes
  • Home
  • The Dance Of Eternity / Keyboard Solo / The Dance Of Eternity
  • One Last Time
  • The Spirit Carries on
  • Finally Free

Medley1

  • Puppies On Acid
  • A Change Of Seasons
  • Just Let Me Breathe
  • Acid Rain
  • Caught In A Web / New Millenium

Medley2

  • Peruvian Skies
  • Dr. Evil(?!)……確かにこのとき画面にはDr.イーブルが。
  • Erotomania
  • Paradigm Shift

Medley3

  • Pull Me under
  • Under A Glass Moon
  • A Fortune In Lies
  • Only A Matter Of Time
  • Take The Time