鳥居前 / 身替座禅 / 助六由縁江戸桜

2000/01/15

先週に引き続き新橋演舞場で、八十助丈による忠信の荒事が見どころの「鳥居前」、菊五郎丈の家の芸「身替座禅」、新之助丈が助六に初役で挑む「助六由縁江戸桜」の夜の部3本を観ました。当日券でとれた席は一階席の一番後ろ、花道のすぐ左。揚幕の裏で出のタイミングをはかる「はいっ!」という掛け声が聞こえるくらいの場所です。

鳥居前

「義経千本桜」から「鳥居前」は、火炎隈をほどこした八十助丈の忠信が怪しい霊力を発揮して群がる討手を次々になぎ倒す豪快な荒事の舞台。早見藤太のコミカルな悪役振りと凝った見ごたえのある殺陣が面白く、討手たちの見事な宙返りや「2000」の数字をかたどったポーズに一際の拍手。引っ込みの複雑な振りの六法もほとんど正面から見ることができました。

身替座禅

松羽目物の舞踊劇で、理屈抜きに楽しく、随所で劇場が笑いに包まれました。

助六由縁江戸桜

さて、今日の見どころは新之助丈による「助六」。父の当代團十郎丈による口上で始まり、華やかな吉原・三浦屋を舞台に日本一のいい男、花川戸助六を新之助丈が粋に演じてみせます。以前見た仁左衛門丈の助六もよかったのですが、やはり成田屋の新星が歌舞伎十八番に挑むのはまた格別で、題名に「江戸桜」を使うのも、「河東節御連中」になるのも成田屋ならでは。八十助丈が兄の白酒売新兵衛、團十郎丈がくわんぺら門兵衛、左團次丈が意休を演じて周りを固め、白玉に菊之助丈が回り、揚巻は親子どころか祖父と孫といってもおかしくないベテラン(昨年傘寿!)の雀右衛門丈がつとめる豪華配役に、新之助丈も期待に応えて堂々の舞台、江戸の華をそのまま身に纏ったような男振りでした。先週の菊之助丈といい今日の新之助丈といい、これからますます楽しみです。

なお、この芝居では股くぐりで通人・里暁がいろいろなお遊びを披露するのもお約束で、今日は白酒売新兵衛に股下をくぐれと言われて「超ムカツク!」と怒り、ロダンの「考える人」のポーズでくぐろか戻ろかと思案(英会話のNOVAのCMのパロディー)し、香水を振りまき、最後は携帯電話でNYの宇多田ヒカルにキスを送るという恐るべき趣向。

配役

鳥居前 佐藤忠信実は源九郎狐 坂東八十助
源義経 尾上辰之助
早見藤太 片岡亀蔵
武蔵坊弁慶 市川團蔵
静御前 中村芝雀
 
身替座禅 山蔭右京 尾上菊五郎
太郎冠者 尾上松助
奥方玉の井 澤村田之助
 
助六由縁江戸桜 花川戸助六 市川新之助
髭の意休 市川左團次
白酒売新兵衛 坂東八十助
母満江 澤村田之助
白玉 尾上菊之助
朝顔仙平 尾上辰之助
くわんぺら門兵衛 市川團十郎
揚巻 中村雀右衛門

あらすじ

鳥居前

兄頼朝に追われた義経は、伏見稲荷の鳥居前で静御前に後白河法皇から賜った初音の鼓を形見に与え、都を落ちて行く。残された静を見つけた早見藤太が捕らえようとすると、忠臣佐藤忠信が現れ、藤太らを散々に蹴散らす。戻ってきた義経は忠信に静の供を命じ、源九郎の名と鎧を与え、大物浦へと向かう。嘆き悲しむ静を励ます忠信。しかしその姿には怪しい憑き物の気配が……。

身替座禅

山蔭右京は恋人の花子に会いに行きたいが、奥方玉の井の目が厳しく思いがかなわない。そこで一計を案じ、一晩座禅堂に籠るからといいたて、家来の太郎冠者に座禅の姿をさせ衾をかぶらせて身替わりにするといそいそと出かける。右京の身が心配な玉の井は座禅堂に見舞いに訪れ、太郎冠者の衾をひきはがしてしまう。問いつめて全てのいきさつを聞き玉の井は怒り心頭。そうとは知らない右京はほろ酔い加減で花子のもとから戻ると、太郎冠者相手に逢瀬の様子を事細かに語って聞かせ、はては玉の井の器量を山猿のようだと歌祭文でこきおろしたことまで話してしまうが、語り終えて衾をとるとそこにいたのは太郎冠者に成りかわって夫の帰りを待ち構えていた玉の井だった。

助六由縁江戸桜

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