塾長の鑑賞記録

塾長の鑑賞記録

私=juqchoの芸術鑑賞の記録集。舞台も絵も和風好き、でもなぜか音楽はプログレ。

Ben Folds Five

1999/09/11

東京国際フォーラムでBen Folds Fiveのライブ。

ピアノ兼ボーカルのBen Foldsを中心とするピアノトリオのこのバンドは、2年前に知人から彼らのデビューCDを車の中で聴かされて名前だけは頭に残っていたものの、そのときの印象ではピアノ・パンクという感じが強く、自分の指向とはちょっと違うなと思っていました。しかし今年リリースされたサード・アルバムの『The Unauthorized Biography of Reinhold Messner』(周知の通りReinhold Messnerは世界で始めて全ての8000m峰を登った実在の登山家)があらゆるCD評で絶賛されているのを見てライブに行く気になり、あらかじめ彼らのセカンド『Whatever and Ever Amen』と『The Unauthorized ...』を頭に入れて会場に向かいました。

定刻の17時に会場のBGMが大きくなってやがて暗くなり、メンバーがステージに現れるともう会場は総立ち。Ben Foldsは向かって左の2台のピアノの間。真ん中高いところにDarren Jesseeのドラムセットがあって、その後方にはティンパニとゴングが置かれています。右側はベースのRobert Sledgeで、彼の後方には2台のシンセサイザーがスタンドにセットされています。オープニングは新作から少ししっとりとした「Don't Change Your Plan」。この曲だけゲスト・ミュージシャンがフリューゲルホーンを吹きましたが後は3人でどんどんステージが進んで、この曲や次の「Army」など新作から8曲が披露されたほか、1作目 / 2作目の曲を織りまぜてアンコールも含め1時間半とちょっと短いコンサートでした。

Ben Foldsのピアノは繊細な曲は繊細に、アップテンポな曲は暴力的にと多彩な音を出しており、また音の異なる2台のピアノを曲によって使い分けていましたが、彼の叩き過ぎによるものか途中でメインのピアノの弦が切れて(?)スタッフが修理するハプニングもありました。ドラムはCDでは残響の長いシンバルがあまり好きになれなかったのですが、ライブではパワフルでメリハリの効いた気持ち良いドラミング。そして最もロックらしい音を出していたのがベースのRobertで、派手なアクションとともに随所にディストーションを利かせた図太いベース音を突き抜けさせていましたが、一方でノン・ディストーションの部分では曲想に合わせた多彩なベース音を出してもいました。また、新作の曲はストリングスやホーンも入って複雑なアレンジのものが多いのですが、ステージ上ではRobertがシンセサイザーを弾くことである程度オリジナルのアレンジを再現してみせました。さらに3人のコーラスも素晴らしく、シンプルな中にもセンスが良い照明とともに文句なしのステージでした。

ラストの曲は日本語で歌われた「金返せ」。会場の大合唱から最後はドラムの乱打になり、ステージ袖のスタッフたちやRobertによってステージ上に引っ張りあげられた観客がシンバルをばしばし叩いて渾沌のうちに終了しました。

ミュージシャン

Ben Folds vocals, piano
Robert Sledge bass, keyboards, vocals
Darren Jessee drums, vocals

セットリスト

  1. Don't Change Your Plan
  2. Army
  3. Regrets
  4. Magic
  5. Alice Childress / Missing the War
  6. Battle of Who Could Careless
  7. Steven's Last Night in Town
  8. Your Redneck Past
  9. Mess
  10. Hospital Song
  11. Philosophy
  12. Fair
  13. Narcolepsy
  14. One Angry Dwarf and 200 Solemn Faces
  15. Underground
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  16. Jane
  17. Song for the Dumped(金返せ)