ルオー回顧展

1998/11/23

19世紀末から20世紀前半にかけてのパリで創作を続けた画家、ジョルジュ・ルオー(1871-1958)の作品を集めた「ルオー回顧展」を新宿の安田火災東郷青児美術館で見ました。

正直に言えばルオーの暗い画面、荒々しいまでの輪郭線とマチエール、人物の個性を捨象した抽象性の高い造型は自分の好みではなく、タダ券につられて見に行ったものでしたが、初期の伝統的な宗教画から、ペシミズムと社会批判を背景に描く道化師・娼婦・裁判官などの暗いテーマの連作、やがて明るい色彩と分厚く塗り込められたマチエールへと、ルオーの生涯にわたる画風の変遷を追うことができるよくまとまった展覧会でした。

▲《死せるキリストと嘆く聖女たち》(1895年)は初期の伝統的な画風による宗教画。
▲《法廷》(1909年)。裁判官と法廷の見物人は、社会の矛盾を厳しく批判しようとするルオーにとって格好の題材だった。
  • ▲《青いピエロたち》(1943年)。生きることの悲しみ・絶望を象徴するテーマであった道化師の表現も、晩年に至って穏やかさをたたえるようになっていく。
  • ▲《ステラ・ウェスペルティーナ(夕の星)》(1946年)。静謐さに満たされた不思議なキリスト画。

安田火災東郷青児美術館といえば贋作論争が喧しいゴッホの《ひまわり》が有名ですが、ほかにもゴーギャンの《アリスカンの並木路、アルル》、セザンヌの《りんごとナプキン》が所蔵品として展示されており、ルオーの重苦しい絵の後ではほっとさせられました。