テート・ギャラリー展

1998/03/21

東京都美術館(上野)で「テート・ギャラリー展」。これは英国絵画の歴史を、16-17世紀の外国人画家の影響が強い時代から、18世紀のホガースによる国民的絵画の成立、18世紀後半のロイヤル・アカデミー、19世紀のコンスタブル、ターナー、ブレイクらロマン主義の勃興、19世紀半ばのラファエル前派を経て20世紀モダニズムまで、66作家100点の展示によって展観する企画であり、英国祭98の一環でもあります。

▲ジョン・コンスタブルの《フラットフォードの製粉場》(1816-7年)。ほとんど野外で描かれたこの作品は、自然への回帰を主題とするロマン主義の代表作の一つ。ストゥール河畔のこの地域は、コンスタブル自身が「きままな少年時代」を過ごした思い出の情景。
▲ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの《ノラム城,日の出》(1845年頃)。1797年の北イングランドへの旅は「光と大気と水の画家」ターナーの原点であり、ノラム城は彼がその後も特に好んだモチーフ。
▲サー・ジョン・エヴァレット・ミレーの《オフィーリア》(1851-2年)。シェイクスピアの「ハムレット」第4幕第7場、正気を失ったオフィーリアが小川で溺死する場面を描いている。今回の展覧会の白眉であり、黒山の人だかりとなっていた。
▲ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの《プロセルピナ》(1874年)。冥界の柘榴を一粒食べてしまったためハーデスに留まらなければならなかった神話の女性。ロセッティはミレーらと共に結成されたラファエル前派兄弟団の一員ではあったが、ミレーらが求めていた自然主義には共感せず、唯美主義と象徴主義の方向を目ざした。
▲ジョン・シンガー・サージェントの《カーネーション,ユリ,ユリ,バラ》(1885-6年)。描かれた2人の女の子が手にしているのは日本の提灯。パリ滞在時にモネの友人となり、印象主義の色彩感覚を学んだサージェントは、毎夕、光がちょうど適正になる数分間しか仕事ができず、この絵の完成までに2回の秋が費やされた。