川本喜八郎展

1997/09/20

NHKの人形劇『三国志』『平家物語』の人形作家である川本喜八郎氏の展覧会を、新宿の三越美術館で見ました。自分にとっては人形アニメーション「道成寺」「火宅」の作家としての川本氏に学生の頃から心酔しており、その業績が一覧できるこの展覧会を楽しみにしていました。

会場には、初期のさまざまなパペット(ミツワ石鹸の3人娘など)と共に『三国志』『平家物語』に出演した膨大な数の人形が一堂に会しており、その多さもさることながら、一体一体の緻密な造形に圧倒されました。

そして、予期せぬ出来事が二つありました。

まず、川本喜八郎氏本人が会場にいて、サイン会が催されており、ためらうことなく写真集を買ってサインしていただきました。初めてじかにお見掛けした氏は既に72歳ですが、1冊ごとに丁寧にサインをし「ありがとうございます」と声を掛けておられました。

さらに、長年入手したいと思いながら廃盤になっていたため諦めていたLD『道成寺・火宅』が販売されていて、これも直ちに購入しました。自宅でさっそく見てみましたが、20年近く前に「道成寺」や「火宅」を初めて見たときの感動がいささかも衰えずに蘇ってきました。

▲摂津の国、生田の里を歩く旅の僧(「火宅」より。以下2点も同じ)
▲小竹田男(ささだおのこ)と血沼丈夫(ちぬのますらお)の弓比べを見つめる莵名日処女(うないおとめ)
▲死後の世界で写経をする莵名日処女

◎この「火宅」の原典である能「求塚」を実際に観たのは14年後のことでした。