奈良大和四寺のみほとけ

2019/07/21

特別展 三国志」に続いて、東京国立博物館本館で「奈良大和四寺のみほとけ」。

奈良県北東部に所在する岡寺・室生寺・長谷寺・安倍文殊院の四寺は、いずれも七〜八世紀に創建された古刹で、きわめて魅力に富んだ仏像を伝えています。奈良時代に流行した木心乾漆造の岡寺・義淵僧正坐像、平安時代初期の重厚な特色を備える室生寺・釈迦如来坐像、鎌倉時代に高度な技術で作られた長谷寺・十一面観音菩薩立像、安倍文殊院本尊の像内に納められていた文書など国宝四件、重要文化財八件を含む名品を展示します。

……という惹句に惹かれて足を運んだのですが、こじんまりした規模ながら予想外に存在感のある仏像が並んでいて見応えがありました。

岡寺・義淵僧正坐像〈国宝〉
岡寺を開いた義淵僧正の像と伝えられていますが、実際には賓頭盧尊者像として作られたものであるようです。痩せてはいてもどっしりした身体に力感があり、皺だらけの顔には高い精神性が漂います。岡寺には2017年に訪れていますが、そのときにこの像を見た記憶がないなと思ったら、この像は奈良国立博物館に寄託中とのこと。なるほど。
室生寺・釈迦如来坐像〈国宝〉
興福寺の僧・賢璟が勅命により室生寺を創建した当初の本尊だった可能性があるという坐像。穏やかな顔立ちとおおらかな身体つきが見る者に安心感を与えてくれます。こちらは2016年に室生寺を訪れたときにその弥勒堂でお目にかかったものと思われます。
室生寺・十一面観音菩薩立像〈国宝〉
同じく室生寺でこれも拝見済ですが、会場の最も奥まったところで一段高く、前に十二神将のうち巳神・酉神〈重文〉を、右隣に地蔵菩薩立像〈重文〉を置いて、像高2m近い堂々たる姿で拝観者を見下ろしているその姿には畏敬の念を覚えました。ただ、光背が薄い板に彩色で文様を描いたものというのは、そういう様式のものなのだとわかってはいても素人目には少し残念な感じ。

これらのほか、会場に入ってすぐの正面にやや小ぶりな銅・鍍金の十一面観音菩薩立像〈重文〉が鈍い金色に光っていて、その細かい細工が実に見事でしたが、その奥に並んでいた赤精童子立像〈重文〉と難陀龍王立像〈重文〉の大胆な造形やまだ鮮やかさが残る極彩色のインパクトもまた相当なものでした。特に難陀龍王立像は唐冠を戴いた中国の役人姿で、頭上の龍が前方に向かって見る者を威嚇するよう。長谷寺にも室生寺訪問と同じときに訪れていますが、本尊の巨大さに圧倒されたせいか、これらの像を拝見した記憶がありません。

また、安倍文殊院からは仏像の出展はなかったのですが、ここには快慶作の文殊菩薩五尊像〈国宝〉があるので、いつかは足を運んでみたいと考えています。

足を運ぶと言えば、どうやらこの四寺は提携関係にあるらしく(?)、四寺共通拝観券もあるそうです。安倍文殊院以外には訪れたことがあるので四寺を回る機会がくるかどうかは微妙ですが、一応記憶にとどめておこうと思います。